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陳鶏   一考   

 

 饂飩の腰を強くするための添加物については当掲示板で何度か触れてきたが、地鶏も堅いものと相場は決まっている。肉質を堅くするのは簡単で、飼育期間を三〜五箇月(比内鶏は百八十日)と長くし平飼い(放し飼い)にする。ところで、日本食鳥協会の国産銘柄鶏の定義による「在来鶏」(四十一種)と日本農林規格(JAS)でいう「在来種」(三十八種)とは若干異なる。面倒なので詳しくは書かない。ただ、戦後アメリカから導入されたブロイラーはコーニッシュやプリマスロック、ロードアイランドレッドなどを元に品種改良が進められた。そして、現行の比内鶏は雄の比内鶏と雌のロードアイランドレッドを掛け合わせたものである。ここでブロイラーと地鶏の違いについて書きたいのではない。従ってはなしを飛ばす。
 先日、比内地鶏偽装で逮捕者が出た。廃鶏を比内地鶏とはまさに偽装以外のなにものでもないが、それを言い出せば東京の焼鳥屋で廃鶏を扱っていないところを探すに苦労する。そして廃鶏を廃鶏と表示しないところが大半である。なかには単に地鶏と表記している、これは立派な詐欺商法である。おそらく、数千人の逮捕者が出るのではないかとひそかにほくそ笑んでいる。
 関西では廃鶏を陳もしくは陳鶏(ひねどり)と記述する。韓国の陳鶏料理は有名だが、ですぺらの薫製に陳鶏を用いたのは、繁く付き合う韓国人から教わったからに他ならない。
 私は若い頃から陳鶏に馴染んできた。というよりも、引き揚げ者が営む露店は陳の焼き鳥か鯨の串カツと大体の見当はつく。満州から共に引き揚げてきた父の知己は陳の焼き鳥からはじまって饂飩屋へと出世したが、そこの鴨南蛮には陳鶏が使われていた。詳細は審らかとしないが、中野に住んでいた折、近所の饂飩屋がフランス鴨を鴨南蛮に用いていた。その胸肉が堅くて歯が立たない、これなら国産の合鴨の方が良いのにと往時の連れ添いと語らったものである。
 陳鶏は卵用鶏(レイヤー)のなれの果てである。陳る、要するに老生した鳥であるが故に脂肪は少なく身は堅い。鳥インフルエンザを畏れてケージに閉じ込められた地鶏を喰うのなら、いっそ陳鶏を陳鶏として楽しめばというのが同じく老生した海馬の意見である。


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2008年05月03日 00:12に投稿された記事のページです。

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