ときを同じくして、キングスバリー社からグレン・スコシアの十四年ものがボトリングされた。四十六度のシングル・カスク、樽はBRL。
グレン・スコシア蒸留所は一九九四年に操業中止。蒸留所は前世紀末にロッホ・ローモンド・ディスティラリーが買収。スプリングバンクと共にキャンベルタウンに残された僅か二つの蒸留所の一だったが、スプリングバンクの援助を得て操業を再開。特徴のないラベルと月並なブランドで損をしているが、一本筋の通った貴重な味わいと絶妙のバランスを内に秘めたモルト。陽にかざすと骨まで透ける干鰈のごときデリケートなこく、フレッシュな味わい。スプリングバンクの持つ押しの強さはないが、微かなスモーキー・フレーバーと芯のある甘味が心地よい余韻をもたらす。
十四年ものディスティラリー・エディションがなくなり、かつての十二年ものに戻った。ボトルとラベルはロッホ・ローモンド・ディスティラリーのリトル・ミルと同一。なお、ディスティラリー・エディションよりキングスバリーのボトルが数段美味。