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道産いと少しを   一考   

 

 昨日は三時間の予約。手伝いがいらしたので、厨房へ籠ることができた。油が使われないので、煮物ばかりのコースだったが、最後にお好み焼きも焼いた。この次はいつ作られるか分からない。それにしても、食べ物が予約制ではどうにもならないのだが。
 専門と言っては烏滸がましいが、魚を捌くのは得意である。カサゴのことを関西ではガシラという。そのガシラからオコゼ、鯤、鱧、太刀魚、十種ほどの鰈や河豚など、瀬戸内で捕れる魚ならなんでもこいである。もっとも東京では魚が高いので煮物に専心している。こちらは関西風で、東京のひとには物足らない味付けだと思う。しかし、肉じゃがから烏賊と蒟蒻の煮付けに至るまで、妥協する気はまったくない。私には私の調法があって、気に入らなければ食さなければよいのである。
 煮付けはことごとくが濃口醤油と薄口醤油が一対一に味醂が二の同割である。濃口はキッコーマン、薄口はヒガシマル、味醂はタカラの本醸造を用いる。これは料理人の基本で、ややこしいものは滅多に使わない。ややこしいものとは饂飩や蕎麦の出汁に東京でよく使う溜醤油である。溜は中部地方ではさまざまな料理に活用されているが、関西では主に刺身醤油として用いられる。
 味醂には小細工を施す。焼き味醂がそれで、甘味を調整して天つゆと湯豆腐の出汁を作り分ける。天つゆは甘く、湯豆腐の出汁は辛くである。辛いで思い出したが、上述の烏賊と蒟蒻の煮付けには鷹の爪が必需品である。蒟蒻が入る料理にはほとんどと言ってよいほど鷹の爪を用いる。従って、筑前煮の隠し味にも使う。
 少量の鷹の爪は結構だが、朝鮮料理のそれは遠慮したい。キムチから冷麺に至るまで、あればかりはご勘弁願いたい。モルト・ウィスキーはおろか、日本酒の香味もなにも分からなくなる。やはり、朝鮮料理には甲種の焼酎しか合わないのであろうか。そういえば、中華料理もタイ料理もモルト・ウィスキーには合わない。モルト・ウィスキーには積丹の生海胆かエゾ・アワビの肝、海螺貝、イバラ蟹の内子、牡丹海老、サロマ湖の北海シマ海老、宇登呂の鮭トバなどがよく似合う。一度、道産の海産物をごく少量取り合わせてモルト会を催したいと思っている。


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2007年12月14日 08:26に投稿された記事のページです。

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