戯ると書いてそぼると読む。好きな言葉なのだが遣った記憶がない。存在それ自体がそぼれているので、なにをいまさらの感がある。
そしていま戯(たわむ)れているのは煙草である。先だって書いたパイプを探し出したとき、紙巻き用のパイプが二本出てきた。十代、二十代前半の頃はパイプを用いていたのだが、Sさんから似合わないよと言われて止めた。他方、人文書院元編集長の谷さんは一貫してパイプ煙草を燻らせていた。彼が似合って私がなぜ似合わないのか、Sさんからその理由は聞かずじまいになった。頸動脈瘤の予兆が私にあったのかと思う。
家ではパイプ葉を嗜んでいる。最近はボルクムリーフのオリジナル・ウルトラ・ライトをベースにブレンドを楽しんでいる。ただ、車中でパイプは吸われない。また、出先で癖のある煙草は気おくれする。そこでゴールデンバットを専らにしている。紙巻き用パイプの出番である。
ゴールデンバットは沖縄産のラム酒を用いていると人づてに聞いた。真偽のほどは分からないが、ラム酒特有の甘味はほとんど感じられない。沖縄のバイオレットにもラム酒が用いられているのだろうか。
若い頃はオリンピアや獨逸のゲルベゾルテが好きだった。あの種の土耳古葉はまったく見掛けなくなった。似た香りのパイプ葉があればご教示いただけないだろうか。