またとない機会なので、七月は北海道へ行こうと思っている。十年前まで、連れがあるときは四輪で、ひとりのときは二輪で北海道を駈け抜けた。海、岬、湖、原生花園のあらかたは訪れた。宿は常に大地、山海の珍味を求めての旅でもあった。
あれから走り方も変わり、興味の対象も大きく揺らいだ。なによりも、私自身の変貌が著しい。今度行くときはどんな相貌で北海道が迎えてくれるのか。もしかしたら、過去を擬えるだけの旅になるかもしれない。まあ、そんなことはどうでもよい。恋人に逢いに行くのだから、注文はなにもつけない。ただ、私を抱きしめてくれさえすれば。