大道寺将司死刑囚が2017年5月24日、多発性骨髄腫により収監中の東京拘置所で死去。著書に「友へ 大道寺将司句集」「鴉の目 大道寺将司第2句集」「棺一基 大道寺将司全句集」などがある。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170524/k10010993351000.html
蚊とんぼや囚はれの身の影は濃き
汗疹して今日の命を諾へる
干蒲団死者に貰ひし命かな
揺れやまぬ生死のあはひ花芒
身ひとつに曳く影ながし九月尽
厭はれしままにて消ゆる秋の蝿
木菟啼いて吾が病臭に噎せにけり
身の奥の癌の燃え立つ大暑かな
月光のきはまりて影紛れなし
天日を隠してゆける黒揚羽
止まりて柵(しがらみ)越ゆる秋の水
滝氷柱いのちのとよみ封じをり
水底の屍照らすや夏の月