先項で書いた麦藁手について一言。麦藁手(むぎわらで)は尾張瀬戸窯で江戸後期に流行した文様で、鉄と朱赤(赤楽と呼ぶ顔料)が使われている。単純さの中に瀟洒な華やかさが漂い、かつては柳宗悦に、新しくは白洲正子によって賞賛された。
瀬戸の古民芸を代表する生活雑器のひとつであり、柄の縞模様が麦の穂に似ている所から麦藁手と呼ばれるようになった。赤い発色の縞模様は、採土に手間がかかるため、今ではほとんど生産されていない。写真は共に江戸期の麦藁手の逸品。
瀬戸麦藁手が出品されている同時期、わたしは「伊万里 染付印判唐草に丸紋図 茶碗 10客」と「古伊万里 金彩 染錦 色絵 膾皿」を落札した。特筆ものが出品されているとき、他の商品は比較的安価に落札できる。前者は1000円、後者は2000円と、開始価格で入手した。
茶碗は向付やお通しに使えるし、膾皿は煮物やスープなどに重宝する器である。ものぐさなわたしにとって、膾皿はチャーハンや焼きそばなどにも応用の利く便利な器である。共に明治期の作品。