対象が金品であれ名声であれ、人を欺いてかたりとれば広義な意味で詐欺になる。このところ、偽ベートーベンや理化学研究所の某研究ユニットリーダーが、かたり、いかさま、ペテン師でなかろうかと騒がれている。
偽ベートーベンは原作者を名誉毀損で訴追すると宣う。せっかく得た地位なり名誉なりを疵付けられたことへの私怨に駈られているだけである。詐欺師の風上にも置けないとはこのことで、姑息と云うの他ない。
もう一方は女性である。個人が組織を利用したのか、組織が個人を利用しようとしたのか定かでない。偽ベートーベンと異なるのは謝罪会見がもっかのところなされていないことである。言い換えれば、確信犯的要素が強い。わたしはこのまま突っ撥ねていただきたいと思っている。いずれにせよ、わが国に彼女が踏み止まれる場は既にない、海外逃亡あるのみ。
研究不正には、特に悪質なものとして捏造(fabrication)、改竄(falsification)、剽窃(plagiarism)の3つがあり、略してFFPと呼ばれるそうである。マイレージサービスの別称であろうが、神戸のフルーツ・フラワーパークの略称であろうが、知ったことでない。そもそも、論文捏造やデータ改竄を科学への背信行為だと決めつける大方の学者やマスコミの思い込みが腑に落ちない。だとすれば、プトレマイオスやガリレオ、ニュートン、ドルトン、メンデル、ミリカン等はどのように解釈すれば良いのだろうか。ガリレオは実験を重視する現代経験科学の祖とされながら、「新科学対話」で実験を自ら行ったのかとの問いに「試みていないし、その必要もない。なぜなら落体の運動はその通りであり、それ以外はありえないと断言できるからだ」と堂々と述べたそうな。
今回の事件を論じるにジョン・ロング事件、エリアス・アルサブティ事件、マーク・スペクター事件、ヘンドリック・シェーン事件などを持ち出すのはいかがなものか。平仄が合わないのはどちらの方であろうか。そもそもわたしはオリジナルなものを信じない。著すものから考えることまで、ことごとくは剽窃であり、盗作であって、偽作そのものである。北条団水の「昼夜用心記」に見られるがごとく、「かたり」の話法の巧みさに一瞬酔い痴れればそれこそ本望。
追記
削除されたが、24日の朝日新聞のインターネットサイトに、「小保方さん、『大人AKB 48』で歌手デビュー!(うそ)」とのタイトルで、小保方氏が割烹着姿の写真とともに登場。「ご存じの通り、今私は八方塞がりの状態です。生き地獄です」「もう全て無くしました」とした上で、「このまま一生逃げ続けるわけにもいかない」ので、「30歳以上対象の『大人AKB 48』」に応募したい、などと相談する内容が著されている。「デビュー曲は『人生切り貼りしちゃえるNO!』」「あとは新垣さんに曲を作って頂ければ、話題性も十分かと」などの記述も。朝日に相応しいおちゃらけな内容であった。