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個別のケース    一考

 

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 病に関する書き込みが暗すぎるとの指摘を頂戴した。殊更に暗く書いているつもりは毛頭ない。ただ後人のために、わたしが置かれている身体の状態をいささか詳しく綴ったに過ぎない。
 「献腎移植」で著したように、慢性腎不全の治療法は腎移植と人工透析の二つに分けられる。そして、人工透析の患者の5年生存率が60%、10年生存率36%、20年生存率16%にとどまるのに対し、腎移植のそれは95%、91%、82%に達する。また子供の場合,人工透析をすると発育が止まるケースが多々見受けられる。それゆえ、現状では腎移植が最良の治療法となる。
 血液型不適合は大した問題にならないが、リンパ球クロスマッチ陽性の場合はさまざまな拒絶反応が術後に起こる。腎不全患者の貧血に対する治療が輸血ではなく、エリスロポエチンなどに変わったために輸血での抗HLA抗体が産生されにくくなった。しかし、わたしの場合は移植手術の3年前に憩室からの下血が理由で21単位の輸血を受けている。従って、HLAフルマッチ(ゼロミスマッチ)は望むべくもなかった。そうした拒絶反応の症状としては、尿量の減少、尿たんぱくの出現、血中クレアチニンの上昇、発熱などがある。
 
 健康な状態では、微生物による病気は発症しないが、免疫抑制療法を受けている状態では様々な感染症を惹き起こす可能性がある。とくに導入期は免疫抑制が強く行われるので、肺炎その他の感染症に罹りやすく、重篤になりやすいので注意が必要。維持期には免疫抑制剤の量は減り免疫力も若干回復するが、結核などの細菌や真菌(カビ)、ウイルスの感染に要注意。
 移植後にかかる感染症としてよく知られているのはカンジダによる食道炎や肺炎、そしてサイトメガロウイルス(CMV)による肺炎や潰瘍、網膜炎などである。わたしはサイトメガロウイルスによる潰瘍性腸炎で苦しめられた。患部は最初は大腸だったが、途中から小腸に転移した。看護師によると過去体験したことのない大量の下血だったそうで、13単位の輸血を受け、ヘモグロビン値は8にまで戻している。

 2012年07月の腎移植から2013年11月までの間に8回、3箇月間の入退院を繰り返した。拒絶反応と感染症が理由だが、わたしのケースは稀なようである。クロアチニンは通常で2.5、最も状態の良いときで1.9、こちらも思わしくない。複数の病院関係者に訊ねたところ、他の移植患者の術後の経過はもう少し順調なようである。ちなみに、クロアチニンは1.1から高くても1.4までに下がるらしい。
 思うに、病と云うのは個体差があって、単純に類比するのは意味がない。他人がうまく行ったから自分もうまく行くとは限らない、その逆も云える。感染症にしても、症例は千種万様、軽重し難きものである。大方は術後の最初の年に起こるが、遅い症例では移植後数年で発症するケースもある。

 冒頭で述べたように、わたしには自分の身体のことしか分からない。後人の参考の一助にと願いつつ書き記している。病を明るく快活に描くなど不可能である。淡々と事実を書き連ねてもやはり悄々たる心象風景を重ねることになる。次回は透析時と移植後の食生活の劇的な変化について述べたい。

追記
 巻頭の図は移植腎が左になっているが、余程の事情がない限り右側である。腎臓は元々背中側にあるが、移植腎は腹側に設けられる。


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2014年02月19日 01:13に投稿された記事のページです。

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