昨夜、TBSの報道の魂「光と音を失った女子大生」の放送があった。某大学生が体中の神経に腫瘍ができる難病、神経線維腫症2型を発症、一昨年秋に聴力を、昨年春には視力を失い盲聾者となった。月に1回抗癌剤アバスチンの点滴治療を受けるも、彼女の病気には保険が適用外のため、1回の治療で15万円の実費がかかる、と番組で紹介されている。
その後「2006年4月21日、中外製薬が製造販売承認を厚生労働省に申請し、翌2007年4月18日治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の治療薬として製造販売承認を受ける。2013年6月14日には初発の悪性神経膠腫(グレード3、4)を含む悪性神経膠腫に対する効能・効果、用法・用量追加の製造販売承認を取得」となった。
放映の前月にアバスチンは保険対応となった。初発でも再発でも悪性神経膠腫であれば保険診療で使用ができる。医師、看護師、薬剤師がこの薬剤の使用に関して十分な知識を有することが条件となる。保険診療が認められても薬剤費だけで月に数十万円ゆえ、高額医療費の対象となる。自己負担額は患者の年収によって異なるが、一般的な3割負担の患者で、外来では毎月8万から10万円ほどの負担となる。
「混合診療の解禁により、国保制度の圧迫や医療格差が広がるのを危惧する」というのがあるが、これは既得権の権化たる医師会の意見でしかない。この場合の「医療格差」がなにを意味するのかわたしにはさっぱり分からない、おそらくどなたにも分かるまい。
それにしても目が見えず耳も聞こえない盲聾者とは筆紙に尽くしがたい。外界との一切の接点が失われるのである。今回の厚生労働省の製造販売承認は快挙である。すべての高度医療、免疫療法が等し並みに保険診療として扱われるようになればなにも云うことはないのだが。