このところ、ブルーノートのCD版を買っている。
アート・ブレイキー、ウエス・モンゴメリー、キース・ジャレット、キャノンボール・アダレイ、クリフォード・ブラウン、ジェリー・マリガン、ジミー・スミス、ジョン・コルトレーン、ソニー・クラーク、ソニー・ロリンズ、チェット・ベイカー、チック・コリア、ナット・アダレイ、ハービー・ハンコック、バド・パウエル、ハンク・モブレイ、ベニー・カーター、ホーレス・シルヴァー、マックス・ローチ、マル・ウォルドロン、リー・モーガン、ルー・ドナルドソン等々である。
別にブルーノートがすべてでないし、なかには嫌なものもある。例えば、ミシェル・ペトルチアーニがそれで、夭折の天才と謳われているが、ピアノが走りすぎて原曲がさっぱり掴めない。ジャズ・ピアノは得てしてアグレッシヴに疾走するものだが、ミシェル・ペトルチアーニは才に溺れている。コルトレーンのような暗さがどこにもない。重度の身障者であればこそ、失意あるいはピアニストとしてのコンフリクトを際立たせてほしいと思うのだが。
ブルーノートの4200番台はフリー系の作品が目立つ。オーネット・コールマンの「ゴールデン・サークル」をはじめ、ドン・チェリーやセシル・テイラーのブルーノート初演も4200番台である。オーナーのアルフレッド・ライオンも背に腹はかえられず、ブームに乗って経営難を凌ごうとしたのであろう。サム・リバースはその典型なのだろうが、フリージャズの代表作とも云うべき盤に、RVGコレクションの「フューシャ・スイング・ソング」がある。ところが、この盤のなかにはジョー・ヘンダーソンやスタン・ゲッツが取り上げている名バラード「ベアトリス」のオリジナルが収録されている。ジャズマンの書いたバラードとしては出色の出来だと思う。ただし、これ一作のみである。
フリーの合間にハンク・モブレーやリー・モーガンのジャズ・ロックあり。ウエイン・ショーターやボビー・ハッチャーソンらの新世代、ハンコックの「スピーク・ライク・ア・チャイルド」などと云う実験作も含まれるが、総じて駄作が多い。謂わば、ブルーノートの断末魔と云えようか。
ブルーノートを買うのは、わたしにとって自分の青春買ってくる、なのである。例えば、ビル・エヴァンスやキース・ジャレットはソロ・コンサートを除くと原曲の美しさを際立たせるがごとき演奏が多い。神戸のジャズ喫茶バンビーを思い起こすのはそんなピアノ曲を聴く時なのである。
追記
話はあくまで4200番台に限られる。例えば4000番台(1950年末〜1960年代にかけて吹き込まれたアルバム)だとアート・ブレイキーの「ハーレムの使徒たち」、ソニー・ロリンズの「エイジアティック・レエズ」、ホレス・シルヴァーの「フィンガー・ポッピン」、アート・テイラーの「シーダス・ソング・フルート」、ドナルド・バードの「マイ・ガール・シャール」、ケニー・バレルの「ミッドナイト・ブルー」、ジャッキー・マクリーンの「ブルー・ロンド」などが収録されている。