駐車場の真ん中にブロック製の塵の集積場がある。その壁面と車とのあいだに蜘蛛の巣が張られる。取っても取っても夜のあいだに張られている。透析治療のため朝八時半に出掛けるが、必ずや立派な巣が造営されている。
十数度巣を除去したところで、肝心の蜘蛛がいないのに気づいた。ブロック塀をくまなく探したが見付からない。蜘蛛がいないにもかかわらず、夜な夜な巣は造られる。わたしは頭を抱え込んでしまった。もしやと思って後輪のタイヤハウスの裏側を確認する。豈図らんや蜘蛛の住処はタイヤハウスだった。よりによって車に巣食うとはふてぶてしい奴である。
先週の金曜日は土砂降りで雹が降り、震度4の地震があった。その最中、隣町まで麺麭を買いに出掛けている。流されもせず、泥水を被りながらしがみついていたに違いない。わたしは蜘蛛を裏庭の木々が植わっているところへそっと運んだ。