レイアウトが崩れる方・右メニューが表示されない方: >>シンプル・レイアウトへ

« パソコン | メイン | ホロカ温泉旅館 »

天変地異説   一考   

 

 東京都と同じ震度五の地震が和歌山であった。大きな被害がなかったのが幸いだが、前震災では宮城県で震度六〈一町村のみ震度七〉、神戸では震度七だった。地震の規模、すなわちマグニチュードは東日本大震災が他を圧するが、震度では神戸が最大だった。
 東北大によると、津波は高さ6メートル、時速23キロに達した時点で鉄筋の建物群を次々と押し流したようである。地震もさることながら、今回最大の災害をもたらしたのは津波である。
 「神の業 鬼の手創り 仏宇陀 人の世為らぬ 処なりけり(桂月)」と詠まれた仏ヶ浦のことは掲示板で幾度となく触れた。シャコタンブルーを想わせる鮮やかなブルーと生物のいない白色の海底の対比はわたしを愕かせた。仏宇陀の海を死滅させたのは人間であって、それも一種の厄災である。
 明治期にひとまず高台へ移住したにもかかわらず、ひとは低地へ戻り、今回の厄災を招いた。人は代謝する生物、記憶は受け継がれない。人生は一代限りにして同じことが繰り返される。それにしても、まるで戦後の情景が蘇ったかのようである、灰燼とヘドロの差こそあれ。
 今回の天変地異説の証しとでも云うべき異変によって東北は変わった。詩人はこのような状況をいかに捉え、いかに対処するのか。東北一円が仏宇陀の海と化したかのようである。
 いやしくも文学に興味を抱く者なら、このような変事を眼にして、如何に感じ、如何に思惟するのか。既存の言葉では捉えきれない事象の海が拡がっている。

追伸
 岩手には浄土ヶ浜がある。入り江を形成する岩塊の外海側には、入り江側とは対照的な荒々しい浸食が見られる。剣の山(針の山とも)、賽の河原、血の池等、同じ東北に位置する恐山の地名呼称と共通する。


←次の記事
「ホロカ温泉旅館」 
前の記事→
 「パソコン」

ですぺら掲示板2.0トップページへ戻る

このページについて...

2011年07月13日 15:58に投稿された記事のページです。

次の記事←
ホロカ温泉旅館

前の記事→
パソコン

他にも
  • メインページ
  • アーカイブページ

  • も見てください。

    アーカイブ

    ケータイで見るなら...


    Google
    別ウィンドウ(orタブ)開きます。

    牛込櫻会館(掲示板1.0他)内
    ですぺらHP(掲示板2.0他)内
    Powered by
    Movable Type 3.34