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自死と移植   一考   

 

 23日午後10時45分ごろ、埼玉県越谷市南越谷の公園で、男性が倒れているのを近くの住民が発見、110番通報した。男性は既に死亡しており、遺体のわきに猟銃と遺書があった。「警察に迷惑を掛け申し訳ない。人工透析で疲れました」と書いてあった。越谷署は男性が頭を撃ち自殺したとみている。
 透析治療苦に猟銃自殺の上記記事が産経新聞にあった。越谷市内で一人暮らししている無職の五十七歳男性で、東京都公安委員会から猟銃所有の許可は得ていたという。
 個体差があるので一概に云えないが、透析治療は日常生活への復帰を目的とする。しかし、わたしが通うクリニックの朝の部で働いているのはわたしだけである。みなさんの覇気のなさと接するに情けなくなってくる。近頃は挨拶することすら嫌になってきた。復帰が嫌な者は透析を受けなくても良いではないかとすら思う。
 透析患者に自殺者が多いのは周知の事実だが、そうした自殺者からの臓器移植がこのところ続く。親族への優先提供は、改正臓器移植法の柱の一つで、全面施行前の10年1月に一部施行という形で認められた。だが、親族優先の規定は自殺による提供を認めていない。臓器移植は「命のリレー」であって、その主旨から云っても大きな矛盾を孕んでいるからである。
 「国内での臓器提供数は、年間7000〜8000件行われるような米国などと比べて少ない。過去最高となった昨年でも113件(脳死後32件、心停止後81件)で、腎移植を希望している待機患者は3月31日現在で1万2201人いる(毎日新聞5月)」とあるが、平均待機年数は約十七年に及ぶ。その間、透析などでしのぐが、移植できないまま感染症や合併症で死亡するケースが過多を占める。
 先日の腎移植は母から長女への移植だった。娘は先天性水腎症で、小学校低学年で父親から生体腎移植を受けたが、機能が低下し、人工透析を受けていた。マスコミでは自殺の件は伏せられたが、典型的な密室医療となってしまった。
 他にも、鬱病患者で自宅で縊死を図った二十七歳の女性。関東甲信越地方の医療機関に入院中だった二十歳代の女性。信越本線で轢死を図った十七歳の少年等々、特に鬱の女性は死ぬ僅か三箇月前にドナーカードを拵えている。まるで自殺者が臓器供給源になっているかのようである。


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2011年05月23日 08:21に投稿された記事のページです。

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