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樽について   一考   

 

 某ウィスキー解説書には緯度の関係でスコットランドでオークは採られないと書いていた。わたしはなんの疑いもなく信じていたが、佐々木幹郎さんがアイラ島から帰られ、オークの森の写真をブログへ掲載なさった。調べたところ、

 http://www.ballantines.ne.jp/scotchnote/17/

で書かれていた。以下に紹介する。

 熟成を目的としてウイスキーの貯蔵が始まったのは19世紀後半で、まずヨーロッパから輸入されてきたワインやシェリーの空き樽が使われ、次いで50年ほど前からはバーボンの空き樽が大量に使用されるようになった。次に述べるがこの時代までにスコットランドのオークはほとんど枯渇しており、地元の樽で作ったウイスキー樽は作られなかったのである。

 ピート湿原が広がる荒涼とした風景はスコットランドを代表する風景の一つであるが紀元数千年までは広い範囲が鬱蒼とした森林であった。特にローランド地方や、ハイランドでも海岸部はオークの森林に被われ、オークはスコットランドを代表する樹木であった。これらの森林がほとんど消滅した理由は気象変化もあったが何と言っても人間の活動による。森林は草地への変換のために伐採されたが、オークは船の建造、建築用材、家具、皮なめし用のタンニンの原料、燃料として非常に有用であったので18世紀頃までに大量に伐採されてしまった。しかしながら、資源として利用するには不充分でも今でもオークはスコットランドでよく見かける樹木である。現在私がいるグラスゴー大学の構内でもよく見られるし、グラスゴー市のシンボル・ツリーでもある。
 スコットランドのオークはセシル・オーク(Sessile Oak: Quercus petrae)で、フランスのコニャックの熟成に使われるオークと同種、イングランドやスペインのコモン・オーク(Common Oak: Quercus robur)とは種類が異なっている。スコットランド産のオークで作った樽で熟成したスコッチ・ウイスキーはどんな味がするか出来れば飲んでみたいものである。

 キリスト教の歴史を知らないでフランス文学は理解できない。同様にスコットランドの歴史を知らずしてスコッチウィスキーについて語ることは出来ない。この当たり前のことをわたしは失念していたようである。恥を知るとはこのことで、赤面の至りである。
 「シャルドネ荘園」とのブログでは樽香について詳述されている。

 http://plaza.rakuten.co.jp/chardonnay/diary/200804020000/

 樽香のみならず、地質、タンニン、フェノール化合物(フェノール酸、酒石、アントシアン)等々について実に詳しい。オーガニック、循環型農業(パーマカルチャー)を基本とし、北海道で葡萄栽培を主とした農業を営まれる方だが、生産者側の貴重な意見に充ちている。ぜひお読みいただきたい。


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2011年03月01日 04:19に投稿された記事のページです。

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