同室の患者のことだが、五百グラム取り置いて三千七百の除水との声が聞こえた。二日で四千二百である。これでも節制している方である。節制などなにもしていない患者がいる。どのみち良くはならないのだからとの気持は分かる。しかし、自分が苦しい思いをするだけである。一日あけて体重の3パーセント、2日あけて5パーセント以内の制限を守らなければ、いらぬ負担が心臓に掛かる。排尿がなくなると結果的に心臓との闘いを余儀なくさせられる。
十キロの除水という剛の者がいたらしい。当然入院となり、透析に十時間以上掛かったようである。三箇日は特に酷くなるそうで、酒とアルコール分解の水と食い物で過半数の患者が5パーセントを超過するそうな。看護師から三箇日の食事には注意するように五月蠅く云われている。もっとも、わたしのような一人住まいにそうした心配は無用である。わたしには正月もなにもない、何時もと同じである。鮪、数の子、田作、黒豆、根菜の煮付け、紅白の蒲鉾等々、お節料理はどれを取っても身体に悪い。といって多量のリンを含んだ中国製冷凍餃子を食べるわけもなく、重金属が這入ったワインを飲むでもない。せいぜいが餅一切れと蜜柑一個を余分に喰うぐらいである。
一日と四日は透析だが、二日と三日は暇である。高速道路が混むので遠出もできない。季村さんから頂戴した本はこんな時にしか読まれない。関さんから多量の眼薬も頂戴している。今年の正月は読書と洗濯で過ごすつもり。