透析患者が注意しなければならないのは血圧とリンとカルシウムの過剰である。理由は血管が脆くなること。特に糖尿のひとには顕著に表れる。今のところ、リンによる血管への影響は見られないが、迂闊に済ませると大変なことになる。鮪は最悪の食品だが、煮魚や焼き魚を思えば、刺身はまだましである。そう思って刺身を食してきたが、リンが減らなくて困っている。今日も本院の看護師からリンについて注意を受けた。
リンの這入っていない食品はない、だから困惑するのである。増えだしたのはこの一箇月、とすれば理由はやはり刺身か鮨だと思われる。
牛肉にせよ、魚肉にせよ、蛋白質を摂れば必ずリンが付いてくる。蛋白質一グラムに十二、十四ミリグラムのリンが含まれる。蛋白かリンか、悩ましいところである。フルーツ、チョコレート、ナッツ類は食べていませんか、との訊いに、問題になるほど食べてはいないと応える。低蛋白米は止めてください、分かっています。蛋白の低い食品は相対的にリンが増える。丸干し、畳鰯、縮緬雑魚、煮干、イカナゴ、シラス干し、柳葉魚のような小魚。牛乳やチーズやバターをはじめとする乳製品もしくは乳製品を原料とするケーキ、プリン、チョコレートなど菓子類。玄米やライ麦のような非精製の穀物。ナッツ、栗、銀杏などの種実類。結着剤を用いた食品もリンの含有率は高い。例えば、豆腐、アイスクリーム、麺類、ハム・ソーセージ・蒲鉾などの練り製品。他ではリン酸塩を添加物として使ったもの、醸造用剤、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、変色防止剤、酸化防止剤などが考えられる。清酒やワインは特にリンが多い。その伝でいけば佃煮や漬け物も食べられない。
しかし、血液の検査結果がもたらすのは悪い面だけではない。白血球の低減やフェリチンが徐々にだが減少しつつある。食べ物による調整はほぼ限界である。あとは薬、特に吸着剤の助けを借りるしかない。