貴重な翻訳書を頂戴しながら、無音に過ぎ行き恐縮致しております。とりわけプルーストの奥記にてストーリーを追うことの虚しきを語り、表現の部分部分に着目する、本読みの醍醐味を大胆に語られている箇所など、読んでいてぞくぞく致しました。卓れた読み手ならではの示唆に富んだ読書論として拝読させていただきました。
近頃、鳥瞰図とか筋立てなど、わたしは意にも介さず、さりげない文章に罩められた筆者の吐息や搏動にのみ讃歎致しております。間違いなく、本邦初のプルースト訳に尽きることのない表現のそして文学の葛藤の極限を視る思いです。
またお会いできる日を楽しみに。