体調がよいので、この一年我慢していたものを食している。例えばフルーツがそれで、葡萄、二十世紀、雷電メロンなどを試食している。試食と書いたのは血液検査と睨めっこしながら食べているからである。カリウムは大丈夫だが、果物が含む水分が理由で体重が増え続けている。食べるのは構わないが、体重はしっかりと管理するようにと医師からの注意。それやこれやで、この三日間飲食を中止した。二キロほど体重を減らそうと思ったからである。計算通り、三日で二キロ減らし、ドライウェイトは元に戻った。荒っぽい体重管理だが、「見事な管理」とお誉めの言葉を頂戴した。もっとも、絶食したのは内緒だが。
蛋白をもう少し増やすように云われたが、これは難儀である。ちょっと食べれば体重が規定を超過する。そして体重の超過分が食べ物なのか水分なのかがわたしにはよく分からない。要は栄養を摂れと云うことなのだが、難しい註文である。透析をはじめる前の蛋白制限食と透析後のそれとではまったく異なる。透析食なるものがわたしにはよく掴めていないようである。速効で血液検査に表れるので、もっかあらゆる食べ物を試している。三箇月ほどあれば、大筋が分かると思う。
それにしても、量はともかく、自由な食事というのは楽しい。食材が増えただけでも嬉しい。例えば刺身だが、山葵もしくは柚子胡椒だけで頂戴していたのがポン酢を使えるようになった。わたしは白身魚が好きなので、ことのほかポン酢は合う。刺身の味わいに奥行きが増したようである。