ヴィロン、モナ・カフェ・エ・ブティック、ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション、メゾン・カイザー、ベッカライ・ブロートハイム、ルヴァン、ユーハイム・ディ・マイスター丸ビル店、ラ・フーガス、ラ・ブランジェ・ナイーフ、プーヴー、グードファリーヌ、横浜のパン・ド・コナ、伊勢原のブノワトン、鷺沼のビゴの店、千葉のル・クール、松戸のパオ、福岡のジェラール・ミュロ、京都のたま木亭、大阪のア・ビアント本店とル・シュクレ・クール等々、バゲットやカンパーニュのようなハード系のフランスパンが旨い店である。残念なことに神戸は一軒も入っていない。
今回久しぶりに神戸へ行って一日パン屋巡りをした。そして意気沮喪した。かつて神戸のパンは美味かった、それは私の自慢のひとつだった。フィリップ・ビゴがドンクを離れたのは1972年、その辺りから神戸のパンの凋落が徐々にはじまった。もうひとつ気付いたのが、神戸のパンは東京のそれと比して値が高い。おそらく競争がないからだろう。焼きも随分とあまくなってしまった。
その間に東京では若手のブランジェが多く生れた。数軒のパン屋とは懇意にしていて、窯を見せていただくこともある。仕事は大変だし、労働時間は長い、しかし「意地っ張り」で書いたような理不尽な修行はない。その闊達さが若者を魅了する。
神戸へ行く理由はまだ残されている。ただ、パン屋へは二度と行かない。