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再開発   一考   

 

 ○源ビルといっても、ライオンズマンション同様、いたるところにあって赤坂にも数棟ある。ここで話題にするのはTBSのすぐ横の○源ビルである。ですぺらが入っているビルと比して床面積は十二倍、そこそこの大きさの雑居ビルだった。それを外資系の不動産屋が買収した。彼等にビルを経営する気は端からない。店子を追い出してビルそのものをリニューアルするか、建て直して売り抜け、利鞘を稼ぐのが目的である。いずれにせよ、通常なら立退料で一悶着起きる筈だったが、外資系が買ってほどなく、全テナントの家賃が倍に値上げされた。
 小泉時代の法律改正で店子の権利は骨抜きにされた、目的は再開発を容易にするためである。営業が成り立たなくなった店子はわずかの掴み金を手に泣く泣く出て行かざるを得なかった。○源ビルに限らず、赤坂ではTBSビルのオープニングに向けて外資系の会社が暗中飛躍している。
 先々週の木曜日、そのような会社の役員と語らった。これからは座っただけで一万円、一杯飲んだだけで一万円、二万円というような高級店、もしくは薄利多売のチェーン店のみ生き残ってゆく。味や商品構成に独自性を持つ個人商店は誰も求めていない、とのお話だった。その消息は飲食店に限らない、出版であれなんであれ同じである。魚、青果、精肉、漬物、乾物、葉茶屋、総菜屋、文房具、書店等々が犇めきあう市場や商店街が消え、コンビニに取って代わった。コンビニの商品構成はほぼ一律である。家庭の献立が地域性を失って等し並になってゆくのは当然の結果である。それを求めたのは個々の住民であり、地域社会であった。

 さて、新築になれば賃貸料は二倍に跳ね上がる。前述の役員によると赤坂界隈の適正な賃貸価格は坪四万円だそうである。二十坪の珈琲店で一杯二百円なら、月二万杯、一日八百杯の珈琲を売るのが損益分岐点になる。従業員が二部制で五名、席数が二十五として三十二回転である。そんな店はわが国のどこにもない。通常は四回転、されば珈琲一杯の適正価格は千六百円になる。新橋駅前を持ち出すまでもなく、小料理屋が消えて風俗店が蔓延る理由がここにある。
 ですぺら固有のことはここでは書かない、必要すらないからである。ただ、店の先行きが決まらなかった、決まらなかったというよりは決められなかった、その理由を述べたつもりである。


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2007年04月04日 21:56に投稿された記事のページです。

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