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活性炭  | 山崎利彦    

一考さん、申し訳ないです、誤解される表現でしたね。
活性炭、保険適応のある「薬」です。但し、高価なので折角頂いた手帳を御活用されては如何かと、御勧めした次第です。
数年前まで、血清クレアチニンが5を超えると意味が無いと言われていましたが、最近は積極的に使用しているようです。
近々サンプルと検査結果を持って伺いますね。


投稿者: 山崎利彦      日時: 2009年09月13日 19:35 | 固定ページリンク




あれこれ  | 一考    

 今日は雨、駐車場から店までの途次に休憩するお気に入りのベンチが濡れそぼっている。為方なく歩き続ける。脇腹にはじまった痛みが骨をつたわって全身に拡がってゆく。いくどとなく立ち止まるがどうにもならない。情けなくて涙がでてくる。行きはともかく、帰りはちはらさんに車を回してもらっている。思い返せば、駐車場まで歩いて帰ったのは三度しかない。やがて歩かれなくなると聞いていたが、ここまでとは。

 山崎診療所で血液検査を済ませる。忝なくも山崎医師からクレアチニンは6.55で安定しているとの連絡。減塩が効いていているようである。素材に含まれるナトリウムはともかく、食卓塩はまったく使わなくなった。医師から尿毒素を吸着させる活性炭の使用を薦められる。保険の適用外で、高価なものらしい。椰子殻や竹炭でよければ自分で作ればと思う。

 赤坂でフランスパン(バゲット)が旨い店は三軒、うち一軒は4.3グラム、他は4.5グラムの塩を用いている。塩抜きを作ってもらえまいかと相談したが断わられた。自前で作るしかなさそうである。
 寿司米の合わせ酢はご飯2合に対して米酢36cc、砂糖16グラム、塩10グラムが標準であろう。いろいろ試してみたが、塩は6グラムまでしか減らせない。それ以上減らすと寿司でなくなる。米以外の具材に含まれるナトリウムを考慮するとやはり禁止品目のようである。


投稿者: 一考      日時: 2009年09月12日 20:09 | 固定ページリンク




カホウということ  | 素天堂    

一考さんがお世辞という言葉を自身の辞書に持たない人なのは、短いお付き合いながら、よく存じている。
だから、一考さんが愚作をblogで取り上げてくれるというから、きっと、素人の遊びを冷やかすのだと思っていた。
一考さんが書いてくれるのなら、悪口でもうれしいと思って、快諾したら思いがけない褒め言葉を頂いた。そりゃあ、うれしいけれども、後が大変かもしれないから、今のうちに、謝っておきます。貧乏人の旦那芸は、四畳半でこそ光る。過褒におごらず、小さく、小さく遊んでいきます。一考さんの笑顔を果報と心得、出来ることからゆっくり、まったりと進んでいきます。それでご勘弁。


投稿者: 素天堂      日時: 2009年09月11日 06:41 | 固定ページリンク




黒死館逍遙  | 一考    

 先月末、素天堂こと山口雄也さんと新宿ナベサンへ行く。丸二箇月ぶりである。一杯に一時間ほどかけてゆっくりとウィスキーを二杯飲む、そこで山口さんは酔っ払って退場、三杯目に口をつけたとたんに異変が起こった。店に迷惑は掛けられないので、慌てて外へ出る。脂汗が顎から滴り落ちて、腹部がきりきりと痛む。途端にしゃがみ込んで動かれなくなる(これは最近のパターンである)。胃痙攣を想わせる激痛襲来。
 なんとか移動できるようになったのは次の日の夕五時、血液検査の日だったがそれどころではない。纔かずつ戻る体調に恐怖と悲しみが宿る。わたしの内臓はどうなってしまったのだろうかと。主治医が酒を飲めるのは今うち、無理をしてでも飲んでおいた方がと云ったかいわなかったかはともかく、もう懲り懲りである。

 素天堂さんから「黒死館逍遙」第九号・黒死館輿地誌略を頂戴した。こちらでの紹介ははじめてかもしれない。小栗虫太郎を語らせて松山俊太郎さんと山口雄也さんの右にでる者はいない。
 およそ研究と名の付くものは鳥瞰図を引き関連図書を博引旁証するを常とする。しかし、素天堂さんのエッセイには逍遙と打たれている。これは大事なことで、書誌学をよくするひとにしばしば見られる癖のようなもの、大向こうからのアプローチを意図して避ける旦那衆の芸事のような屈折した趣向が見られる。言い換えれば、彼は好きかってに典籍を読み散乱し、そのなかから随意に論理を組み立ててゆく。エッセイを書くために本を読むのでなく、本を読んだ結果としてエッセイが生まれ落ちるのである。従って、知識のひけらかしに彼は一顧も与えない。
 ある日を境に彼の文章から連体詞や指示代名詞に見られる「コソアド」が極端に減った。減ったと云うよりは皆目見られなくなった。おそらく校正を受け持つ奥方の影響と思われる。失礼なものいいだが、かつての持って回った云い方が消え失せ、随分と素直な文章になった。それ故、溝の口で育った著者自身の幼年期の思い出がパスカーヴィル家の犬とクロスオーバーする箇所など、無理なく読まれる。
 「黒死館逍遙」第九号はテーマが絞られている。それが奏効し、文章の乙張が利いている。結句に用いられた「ボスポラス以東」は種村さんのいう亞細亞と欧州の識閾「ヴォルガ」を想起させる。「テレーズの住んだところ」にみられるごとく、彼のイマジネーションはとどまるところを知らない。谷沢永一さんの手によって明治大正文学が書誌学の対象になったように、素天堂さんのようなすぐれた読み手によって、やがて昭和の時代も書誌学の対象になってゆく。
 最近読んだ書冊のなかで一押しのエッセイである。志を持つ編輯者が着目されんことを願う。


投稿者: 一考      日時: 2009年09月09日 20:04 | 固定ページリンク




往き来  | 一考    

 四つ脚の生活が続いたので、両膝が出血し大きな瘡蓋ができていた。それとは別に、腎臓の影響で身体を掻きむしるため、小さな瘡蓋が至るところにできていた。薬の効用か、それらが綺麗になった。
 瘡蓋が消滅したのはよいのだが、身体の疲れは日一日とひどくなってゆく。息切れと目眩いに襲われ、駐車場から店までの一キロが十キロにも二十キロにも思われてくる。途中には公園のベンチ、階段、ホテルの植木の縁など休むところはいくらでもる。それらを利用する回数が日ごとに増えてゆく。店へ這入れば元気になるのだが、往き来に難儀させられる。
 午後もそうだが、午前中に起きられないので、病院へ行っていない。しばらく血液検査をしていないのである。他の病院なら結果を知るに一週間から一箇月かかる。検査ペーパーが欲しいだけなので、山崎医師にお願いしようかと思う。それだと一日で済む。血液検査は食事療法の結果ならびにクレアチニンと尿素窒素の値の推移が分かる。いまのわたしにとっては唯一の存在証明である。


投稿者: 一考      日時: 2009年09月08日 22:28 | 固定ページリンク




雲水の減塩レシピ集  | 一考    

 「膠原病、全身性エリテマトーデス」を検索していて、「オイラの生き様ブログ」へ、そして「雲水の減塩レシピ集」へ辿り着いた。「1日5g以下の塩分生活を送る、料理好きな男の減塩料理レシピ。素人ですが、減塩食のお役に立てれば・・・」と書かれている。SLEのみならず、滅茶役に立つブログとレシピ集である。

 http://unsu.blog90.fc2.com/


投稿者: 一考      日時: 2009年09月07日 06:44 | 固定ページリンク




無塩食品  | 一考    

 松友さん来店、無塩パンや無塩麺についていろいろ教えていただく。療養食で検索していたので、今まで気付かなかった。松友さんのおかげで食材が一気に拡がった。早速、取り合わせて註文。深く感謝申し上げる。

http://www.google.com/search?hl=ja&source=hp&q=%E7%84%A1%E5%A1%A9%E9%BA%BA&lr=

 無塩パンに関しては、塩の替わりにオレンジ果汁で味を調えたとあるのが気になった。フルーツのなかでオレンジはもっともカリウムの含有量が高い。某メーカーの減塩だしの素や減塩醤油同様、ナトリウムの替わりにカリウムを使うのであれば同じである。こちらはもう少し調べてからにする。


投稿者: 一考      日時: 2009年09月07日 05:44 | 固定ページリンク




腎結石  | 一考    

 ウィキペディアによると、慢性腎不全から透析導入に至る症例では、糖尿病性腎症38パーセント、慢性糸球体腎炎32パーセント、高血圧に伴う腎硬化症7.6パーセントとなっている。他に、難治性ネフローゼ症候群や家族性遺伝性疾患の多発性嚢胞腎などがある。
 医師からは、「大まかに云って糖尿から透析に這入るひとは透析患者の90パーセントを占める」と聞かされた。その医師の診断書によれば、わたしの末期腎不全の原疾患は腎結石となっている。某サイトには「痛風から始まる腎障害が重症化すると、腎不全になり、透析が必要になる」と書かれている。
 一年前にクレアチニンが2.0になり、痛風に悩まされた、他方この十六年間腎結石を患ってきた、要するに予てより兆候はあった。ただ、この一年で血液の状態はドラスティックに変化した。丼もの、麺類、フランスパンなど、比較的塩分の高い食べ物が好物だったが、それだけでここまで悪化するものなのかどうか、透析を目前にしていまなお、一抹の疑問が残る。
 疑問が氷解したからと云ってどうということはない。現に末期腎不全を疾んでいるのだし、恢復不可能な病気だということも知っている。あるがままを受け容れるとの基本はなにも変わらない。ただ、腎不全の因果関係を知っておきたいだけなのだが。

 http://medical-checkup.info/article/44598029.html

 上記は検査前の予備知識ならびに血液検査の結果習得に最適のサイトと思う。


投稿者: 一考      日時: 2009年09月02日 19:20 | 固定ページリンク




国民食  | 一考    

 「低タンパク米」が解答になったかどうか心許無いが、この一箇月のわたしの経験を率直に述べたつもりである。本当は身長と体重も書かねばならないが、このところ急速に体重は変わりつつある。従って、医師からの指示は「身勝手」に書いた通り。
 療養食を一度でも食べた人なら分かるように、間食をしなければ蛋白質、カロリー共に制限内に収まる。仮に療養食でなくとも、療養食並の量であれば収まる筈である。だからこそ、問題になるのは塩分だと思っている。そちらの制限値が守られているかどうか、わたしには自信がない。一日に一食、まったく食卓塩を使わない、非常に不味い食い物を我慢して摂っている理由はその自信のなさにある。ひとが摂取する塩分の六割強は食卓塩、醤油、ソース、ケチャップ、味噌等の調味料由来である。他方、大方の食品には元々ナトリウム、カリウム、マグネシウムが含まれている。うっかりすると、両々相俟って簡単に制限値を超えてしまう。
 わたしは栄養士からの指示に従い、一日の食塩相当量5グラムを極力守ろうとしている。この食塩相当量5グラムはナトリウム1.9グラムである。ナトリウムと食塩相当量との関係は約2.54倍、ただし、実際の食塩含有量は食塩相当量(計算値)よりやや低くなる。
 チャーハンであれ、焼きそばであれ、炒めビーフンであれ、野菜炒めであれ、健常者が食べて旨いと感じる炒めものには一人前1.1から1.3グラムのナトリウムが這入っている。これは食塩相当量にすると2.8から3.3グラムになる。汁物すなわち温うどんやラーメン、汁ビーフンになると値は二、三倍に跳ね上がる。その理由はつゆに含まれる塩分である。前項で書いた某メーカーのバゲットには約4グラムの食塩が含まれている。それにバターが加われば、わたしにとってどうにもならない食品になってしまう。つゆ抜き、バター抜きならまだしも。
 生きていくために必要な食塩相当量は成人で一日1.5グラム、WHOの指針は6グラム以下だが、日本人の平均摂取量は12グラムとされてぃる。ちなみに、昨今のラーメンの濃厚スープだと一杯で12グラムを超える。日本人の寿命を縮めるために支那ソバをラーメンに改竄したとするなら、発案者の心がけは見事というほかない。日本人は長命に過ぎる、ラーメンが国民食といわれるまでに育ったことを慶賀に思う。

 http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/salt.html


投稿者: 一考      日時: 2009年09月01日 15:18 | 固定ページリンク




颱風  | 一考    

颱風の影響は六時から七時がピークとか、従って本日の開店を七時半に遅らせます。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月31日 17:38 | 固定ページリンク




低タンパク米  | 一考    

 LGC米は低グルテリン米の一種で体内に吸収されるタンパク質量が約二分の一になる。タンパク質には易消化性タンパク質と難消化性タンパク質とがあって、前者にはグルテリンが、後者にはプロラミンが含まれる。従って、なにを基準に計算するかで、数値はまるで違ってくる。また、生産地域や栽培方法もさまざまなので、数値はなおさら一定しない。炊飯後のカロリーや総タンパク質量に関する質問が多いが、かんたんには応えられない。
 米180cc(150グラム)は炊飯すると約350グラム、2.3倍ほどの重さになる。従って180グラムの飯なら78グラムの米が必要で、春陽を例にとると、総タンパク質が3.9グラム、易消化性タンパク質が1.87グラムとなる。要するに低タンパク米が含有するタンパク質は大体2グラムで計算すればよろしいかと。「体内に吸収されるタンパク質量」と頭に書いた理由である。
 春陽でもひかるくん56でもLGC米でもさしてタンパク質の含有量が変わるわけではない。あとは香味と値段だろう。わたしは5キロ1,850円の晴米を用いている。送料735円と振込手数料を入れて、180グラムだと一食44円ほど(光熱費は別)になる。低タンパク米のパック飯が180グラムで210円(送料は別)だから、炊飯米を購入する方がはるかに安くつく。

 似た質問がネット上でなされているが、答えは書かれていない。そしてそこでは餃子のタンパク質について触れられているが、餃子はメーカーによって大きさも具材も味付けも異なる。よって餃子ひとつのタンパク質にいかほどの意味があろうか。
 「腎臓病食品交換表」を基準にするところから療養食ははじまるが、上記と同じ理由で鵜呑にはできない。同書によるとフランスパン(バゲット)とクロワッサンには190ミリグラムのナトリウムが含まれているが、知己のパン職人にいわせると、パンの大きさや重さを決める基準値はどこに置いているのかとなる。通常のクロワッサンが190ミリグラムとするなら、バゲットは4000ミリグラムを軽く超えるナトリウムが含まれているそうである。欧州では事情を説明して塩分抜きのパンを焼いてもらうようだが、日本ではそれはできない。わたしは食卓からフランスパンとドイツパンを永久追放した。
 タンパク質やカロリーに執着するのも大事だが、それ以上にナトリウムの摂取量は問題である。塩分換算すなわち食塩相当量はナトリウムの含有量を常に超える。こちらはさらに繁雑な計算が必要になる。われわれはよりアバウトだが個々の好みに則した計算法を身につけるしかない。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月28日 12:27 | 固定ページリンク




肉じゃが  | 一考    

 海藻はカリウムの含有量が多くて原則禁止だが、心太(ところてん)と海蘊(もずく)はかまわない。トロロ昆布も少量だと問題ない(もっとも大量に食べられないが、微かな潮の香が気に入っている)。芋類もカリウムは多いが、菎蒻は栄養士のお薦めである。この辺の消息がうまく掴めない、ひとつずつ覚えてゆくしかなさそうである。
 昨日は塩を用いない肉じゃがを大量に拵えた。二リットルの鍋に醤油とインスタントの減塩だしの素をティースプーン各二杯、他は差し障りのない味醂を同四杯。牛バラ肉を五十グラム、大きな玉葱を一つ半、馬鈴薯を六つ。以上で塩分に換算して約五グラムになる。三日かけて食べるのだから、ナトリウム、カリウム共に問題なし。結果、醤油を一杯追加することになったが、水を沸かすところからはじまって所要時間二十分というのが結構。
 毎日メニューを考えるのは面倒臭い、以前はカレーを大量に作り置きしていた。カレーも肉じゃが同様、塩抜きで拵えられる。小麦粉を使わなければ塩分換算で約六、七グラムで収まると思う。そうすると一食あたり700ミリグラム、低蛋白米と併せても規定内。仮にナンと食べても食塩相当量は一枚につき700ミリグラム、ちょっと危険だが、他を控えればなんとかなりそうである。こちらは所要時間三十分。

 ここまで書いて幹郎さん来店。腹痛の理由はやはり空腹にあるとの指摘を受けた。朝夕二食の療養食では身体がもたない、分かっているのだが、毎度考えるのが億劫なのでついつい食事を抜く。さすがに一食だと仕事中に眩暈がする。ついこの間も素天堂さんを尻目にサンドイッチを貪る。とりあえず低蛋白米の量を十グラムほど増やそうと思っている。制限値を目一杯食べないと寿命がさらに縮まりそうである。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月28日 02:36 | 固定ページリンク




身障者手帳  | 一考    

 身障者の手続きがこんなに面倒なものとは知らなかった。役所の担当者は同情しきりだが、医師側の書類が個々の病院の条件によって異なる。北海道で起きた事件を境に安易に認めないとの風潮(自己規制)ができあがったのかもしれないが、月五十万円の診療費をもたらす患者の囲い込みに真意がありそうである。そこには個としての医師と組織としての病院の葛藤も絡むようである。微妙な問題なので固有名詞は一切省くが、透析をはじめてからでなければ診断書・意見書を書くことはできないのが相場のようである。
 資格認定は書類提出から一箇月半あとだが、発症から認定までのあいだ、個々の患者が負担するであろう金数がわたしには理解できない。病気をすると湯水のように金は消えてゆく、それはわかっているのだが、世の中には貯えを持たないひともいる、そのようなひとはどうするのであろうか。貧乏人は迂闊に病気もできない。
 わたしの手に負える問題ではないので、またまた主治医を煩わせることになった。休日にもかかわらず、山崎医師は電話に齧り付いて、この難儀からわたしを救ってくださった。感謝の一念あるのみ。

 昨夜、帰りしなに車に乗ろうとして足首を捻った。今朝から痛みがあったが上記諸用のため、終日動き回った。そのせいで骨折箇所が腫れあがっている。折角くっつきかけたところが外れたような痛みである。湿布を施したが、今日明日は忙しい、困ったものである。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月27日 12:02 | 固定ページリンク




ブランド品  | 一考    

 かし原のほんねりという羊羹を食べている。上部を鋏でぴっと切って絞り出す、棹というのも烏滸がましい一口羊羹である。その練り羊羹を掲示板へ書いたのを目にとめた伊藤敬さんがとらやの羊羹を担いで来店。かし原には申し訳ないが、こちらは真物の羊羹である。種村さんご推奨の「岡山の焼鳥」でもない、正真のとらやの羊羹である。とはいえ、わたしは差別はあまり好まない、よって越谷と赤坂の地域差を体現した羊羹とでもしておこうか。
 伊藤さんがお持ちになった羊羹は五種全品材質が異なる、値も違うのか気になるところだが、などと書き出すとはなしはいじましくなってくる。ひょっとすると、否、間違いなく、わたしの一箇月分の食費より高価に違いない。大層な出費をさせてしまった。わたしの落書きを気に止めてくださった伊藤さんには感謝のしようもない。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月26日 03:56 | 固定ページリンク




類推  | 一考    

 ちはらさんが林達夫を読みたいという。最初ならと、「歴史の暮方」と「共産主義的人間」の仙花紙本を持ち出すも、気になって理由を尋ねた。彼女がいうには類推を知りたいとのこと。本を読んでも裏の意味を読み解くところまでは手が及ばないらしい。マラルメでも読むのなら林達夫も悪くはないが、最初がそれなら、類推がスイスイ進まず自爆する。そもそも類推なんてものは小中学生の頃に読むであろう詩歌がその能力の骨格を決める。三十路になれば生活体験がそれを補うものである。
 そこで、柿沼さんが編輯した種村さんの「楽しき没落」所収のキング・コングの図像学からまず薦めた。彼女はキングコングを観ていないという。ゴジラのようなものだが、観る必要などどこにもないとわたしが応える。あのエッセイは図像学とのタイトルからしても、類推の構造をうまく説きほぐしている。種村さんは往時を振り返って、映画評論の依頼しかなかったのでと仰有っていたが、託つけてものを書くという表現の本質が繰り返されたのが最初のエッセイ集「怪物のユートピア」だった。
 キング・コングの図像学一篇を読んだちはらさんの目は輝いていた。類推のみならず、種村さんの底意地の悪さ、悪意のようなものを読み取ったようである。彼女は既に類推の渦中にある。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月25日 19:18 | 固定ページリンク




ポテトフライ  | 一考    

 店の烏龍茶がなくなったので買いにゆく。遅かったので売れ残った寿司が安売りになっている。高蛋白に高カリウムだがどうしようかと迷う。海苔などで巻いていなければよいのにと考える。巻き寿司を半本食べると他になにも食べられなくなる。しかし今日は休み、あとは野となれ山となれ、と思い切って贖った。当然、醤油は抜き、先程から眺めているが、まだ手はつけていない。
 moonさんからのメールの末尾に「食餌療法のお料理、不味そうですね」とある。塩抜きの料理なんぞ喰えるわけがない、「負け惜しみ」と書いた理由である。過日、ポテトフライと格闘した。栄養士のお薦めはパン粉をつけたイモフライだが、わたしはポテトフライが食べたい。塩の替わりにチリペッパーとバジルを用いた。食べられなくもないが、きっと馬居七郎兵衛や大谷五郎右衛門なら腰を抜かしたに違いない。
 蜂須賀家とチリペッパーの関係についてなど、さぞかし面白い文化史ができると思うが、今のわたしにそのゆとりはない。いずれにせよ、食べられるものの一覧表をつくり、あれやこれやと試行しなければならない。試作品をつくるに一年は掛かると思っている。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月23日 21:49 | 固定ページリンク




塩、塩、塩  | 一考    

 干し肉から干物、乾酪から漬物、揚句は米、麺麭、麺類までが食べられなくなった。昨日までは普通の食生活を送っていた、それがある日突然、療養食への切替を強いられたのである。医師や栄養士が責付くのは当然かもしれないが、同居人までがやいのやいのと急き立てる。
 わたしは料理人ではあっても栄養士ではない。蛋白質45グラム、塩分5グラムと書けばそれまでだが、なにを食べればその数値に収まるのか、想像すらつかない。塩分5グラムを三食で割れば1.6グラムほどになる。しかし、食品そのものに這入っているナトリウムを除くと使える塩は最大でも7、800ミリグラムになる。これでは味付けはできない。
 われわれが蕎麦を打つ場合、蕎麦粉と水以外は用いない。しかし、生であれ乾麺であれ、売られている蕎麦にはナトリウムが這入っている。それどころか、夥しい種類の「副剤」が紛れ込んでいる。蕎麦でありながら、小麦粉の含有量の方が多い商品が大半である。
 一輪の素麺には400ミリグラム、150グラムの饂飩玉には700ミリグラムのナトリウムが這入っている。この饂飩が曲者で、コシや食感を良くするために添付される「副剤」は蕎麦の比ではない。メーカー名は書かないが、企業秘密とやらで実にちゃらんぽらんな成分表示になっている。なかには小麦粉の成分表示をそのまま写したものさえあった。
 麺類でナトリウムが這入っていないのはビーフンとデュラム粉を用いた一部の乾燥パスタのみ。ケチャップは論外として生クリームやパルミジャーノやゴルゴンゾーラすら使わないパスタなど考えられるだろうか。この辺りでわたしは頭を抱え込む。
 先日、道端でしゃがみ込んだと書いたが、あの激痛は空腹のなせる業でなかったかと思う。今は朝夕の二食だが、蛋白質は18グラム、飯を含めて28グラム、塩分は2グラムしか摂っていない。常食になるものをもっか探し回っている。当分は試行錯誤がつづく。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月23日 17:20 | 固定ページリンク




透析延期  | 一考    

 ギブスを嵌めて二十日が過ぎた。自宅ではギブスを外しているが、状態がぐんぐん良くなってゆくのが分かる。今月末には間違いなく恢復する。塩煎餅かフランスパンで全快祝いをしたいと思っている。
 ここまで書いて、実は昨夜動かれなくなった。素天堂さんの奥さんが来店し、帰られて十五分ほどの後片付、外へ出た途端に激痛に襲われ、道端へしゃがみ込んでしまった。ちはらさんに車を回してもらったが、帰宅後も痛みは間断なくつづく。午後二時過ぎになってようやく二十六時間ぶりに食事を済ませた。腹痛の理由は判らないが、病人であることを思い知らされた一日だった。

 わたしが透析を受けるなど信じられないと、木村さん、幹郎さん、山崎医師までが仰言る。その透析の導入だが、取り敢えず半年の猶予を得た。薬と食事療法が効果を呈し、血液の状態がすこぶる落ち着いている。クレアチニンと尿素窒素の値が同率で、ごく僅かだが下がっている。クレアチニンは7.21から6.4になった。導入延期はその分まるまる命存えるということである。喜ぶべきか。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月22日 15:41 | 固定ページリンク




苦言  | 一考    

 漢字に関して苦言のメールがあった。食餌療法と書きたくないので、食事療法を用いている。この変遷に関しては主治医から既に聞かされている。
 鏡花が豆腐を忌嫌い、豆府を用いたのはよく知られている、神戸で贔屓にした豆腐料理の店は豆富と表現していた。ちなみに、豆富は木版印刷の時代に遣われている。
 わたしは漢字についてむづかしいことは云わない、通じればそれで良いと思っている。永田耕衣さんは造語の達人で、エディタースクール出身者による校正なら大半の文字が刎ねられてしまう。しかし、あの造語にこそ耕衣さんのひととなりが顕れている。談林の時代、およそ漢字は自由だった。遡れば、輸入品に満足せず、適宜国字を拵えてゆく器用さを持っていた。そこには文字に対する柔軟な日本人の特性が反映されている。岩波や筑摩の生真面目乃至唐変木な校正によって近年多くの漢字が修正され統一されてきた。なにごとによらず、そういう風潮をこそ危惧している。

追記
 moonさんからメール到着、彼は食餌療法を用いている。個人の趣味にわたしは口を挟まない。それよりも、彼の自炊の記はおもしろい。そのうち紹介しようかと思う。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月22日 14:56 | 固定ページリンク




もやし炒め  | 一考    

 街のトンカツ定食なら、カロリー、ナトリウム、カリウムともに制限値を超えてしまう。そこで、半裁のトンカツを作った。厚みはそのままに、面積を半分にする。塩は控えめにあとはトンカツ屋のそれと仕様は同じである。間違っても、デミグラスソースやトンカツソースを使ってはならない。かつてファーストフード店でなんにでもソースをかける人がいた。一方、ソース、醤油、ドレッシングを几帳面に遣い分ける人がいる、これらはどちらも生活習慣のようなもので、止められるものなら止めた方がよい。ご飯にマヨネーズ、お好み焼きにソースとマヨネーズを塗りたくるようなもので、昔はそのようなものをかけはしなかった。店のスモークになにをかければよいのかとの質問が舞うが、思い込みとは怖ろしいものである。

 配いである。キャベツがカレー粉と相性が良いように、もやしは酢と相性がよい。フライパンに油を入れ、鷹の爪を刻んだものを焙煎するように炒める。そこへ酢ともやしを入れるだけだが、酢が強いと思ったら、前項で書いた割醤油を三滴ほど滴らせばよい。舌当たりが柔らかくなる。鷹の爪と一緒に豚バラを入れても旨い。当然、塩胡椒は用いない。わたしならこれだけで、充分一食の副食になる。
 トンカツがもたらすカロリーは配いで低減される。肉の大きさ次第だが、おそらく蛋白は十二グラム以下、低蛋白米を百五十グラムで規定内に収まる。ナトリウムはトンカツの豚肉に振りかける分だけである。
 食事療法は総量規制である。従って、要諦は普段当たり前のように使っているソース、醤油、マヨネーズ類を止めることからはじめるべきである。さすれば食域は拡がり、量を減らせば禁止品を食することも可能になる。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月21日 16:22 | 固定ページリンク




青春  | 一考    

 サバト館の広政かをるの通夜が17日にあったとあまねさんから連絡が這入った。詳細を確認する気もないのでそれきりになっている。彼女とは十代からの付き合いだが、二十六歳の折りに一度呼び出されたのを最後に会っていない。わたしにとっては天敵のような存在で、不快感以外なにもない。
 南輝子さんの文章(当掲示板の「読書」で紹介)にロクサンの同居人として彼女が出てくるが、同居人ではなく女房だった。その後離婚、京都在の生田耕作と彼女を引き合わせたのはわたしだった。それを契機に彼女とわたしの仲は急速におかしくなっていくが、この件にかんしてはそのうち詳しく書こうとおもっている。
 天敵はともかく、これで十代からの知己は居なくなってしまった。個であり孤であることを確認すべく、昨夜はラ・ボエームを聴き涙した。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月20日 07:55 | 固定ページリンク




シーグラム社について  | 一考    

 国立にお住まいの方からシーバス・ブラザース社について問い合わせがあった。曰く「イスラエルの資本が入っているか」どうかという内容だった。これはシーバス・ブラザース社でなく、正確には親会社のシーグラム社のことと思う。下記サイトをご覧あれ。

http://alternativereport1.seesaa.net/article/98523841.html

 ヴォルヴィックで思い出したが、イスラエルとパレスチナの闘いは水利権を根こそぎ奪うための闘いであって、現在では周辺の公水はことごとくがイスラエルの管理下にある。ヨルダン川西岸、ガザ、ゴラン高原のパレスチナ人口が減り続けている理由は生活用水の供給制限によるもの。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月18日 21:38 | 固定ページリンク




割下  | 一考    

 前項で「減塩醤油、減塩味噌、減塩マヨネーズ、減塩ソース、減塩だしの素等々がある」と書いた。しかし、大半は塩化ナトリウムを減らした分、塩化カリウムやマグネシウムを添加している。正確には低ナトリウム商品というべきで、さらによろしくない結果を身体にもたらす。低ナトリウムを必要とする病気があるのかと思って調べるも、そんな器用な病気は存在しない。カロリー半分やサプリメントと同じで、所詮は健常者のための食品に過ぎない。
 別に難しいものではないので、マヨネーズやドレッシング、出しの素ぐらいは自分で作ればよいのだが、醤油や味噌となるとさすがに面倒である。一方、透析患者のブログを読んでいると、薄味の方が素材の味がよく分かるといった、「負け惜しみ」と頻繁に出遇う。わたしの食事療法はまだはじまったばかり、私流負け惜しみに関してはおいおい書き込んでゆく。

 醤油は大きく別けて白、薄口、濃口、たまりの四種類があるが、たまりがもっとも消費されるのは東京である。饂飩や蕎麦の真っ黒な出汁にみられるように、関東ではたまりを色づけと甘味を出すために多用する。関西でたまりと云えば寿司に用いるぐらいであろうか。そしてナトリウムの含有量は前述の順に多い。要は色が薄いほど塩分濃度が上がるのである。減塩中濃ソースはできても減塩ウスターソースはできないのと理屈は同じである。
 素天堂さんから聞いたはなしだが、彼は濃口と酒と白出汁を同割りにしたものを食していたらしい。いわゆる割醤油だが、わたしが試みたのは濃口1、たまり0.25、味醂0.25、白出汁5の割醤油である。この場合の白出汁には昆布はつかわない、昆布にはカリウムが多いので、鯖節や鰹節を用いる。鰹出汁のコツはひとつ、プロが作る白出汁と素人のそれでは鰹節の量が十倍ほど異なる。要するに、想像を絶するくらい大量の鰹節を使えばよいのである。
 たとえ割醤油にしても使用量は減らさなければなんのための割りなのか分からなくなる。わたしはこの割醤油をさらに薄めて丼ものの割下として用いている。食事療法とはどこまで薄めたものに耐えられるか、その根比べに相違ない。

追記。
 山崎医師来店、食事療法による地域活性化をはかりたいとの壮大な計画を伺う。前述したごとく、わたしは新参者だが、余生が食事療法であることに異存はない。香辛料やスモークに関する知識を活かせそうな気もする。透析患者が食べられる懐石料理、饂飩やカツ丼があっても不思議ではない。最後ぐらいは人の役に立つことを考えてみようか。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月18日 02:47 | 固定ページリンク




後発品に関して  | 山崎利彦    

こんにちは。過大な御褒めを頂き恐縮です。「個」に対する概念は、実は私は一考さんに教わったような物なので、逆に恥ずかしかったです。
さて、戸田中央病院の処方箋に関してですが、プラチビットとサロベール自体が後発品です(各ワンアルファ=アルファロール、ザイロリック=アロシトールの)。
後発品薬の検索用に比較的面白い(?)サイトが在りますので御活用下さい。http://www.genecal.jp/
後発品の使用に関しましては我々現場医師に大きな混乱が在るのは事実ですし、私自身もかなり翻弄されています。
「薬には味付けなんて無いんだから、主成分が同じならどんな物でも一緒だ」と平然と言ってのけるような政治家が導入をしてますから当然ですが。
実は薬には「主剤」と「副剤」で成り立っていて、「主成分」と云うのは主剤のみを指しています。ので、副剤に関しては実は後発品はかなりいい加減です。
吸収率やアレルギーに関与するのが副剤である場合も少なくなく、この辺りが充分に判らない後発品はかなり使い難いと云う現実もあるのです。
また、供給体勢や安全性確保、情報提供状況等は後発品メーカーによっては全く明らかでないどころか殆ど連絡も取れない会社もあります。
従って、安易に「後発品への変更可能」とした場合は、全く知らない薬剤に変更される危険がある為、後発品を指定して使用する場合が多々あります。
私も後発品を使用する場合は、先行品を使用する場合以上に気を遣います。「安ければ危険でも良い」と云う訳には行かない上に「許可したのは医師」と
我々に責任が転嫁される危険性もあり、この辺りが日本で後発品が浸透しない最大の原因があると、私は考えています。


投稿者: 山崎利彦      日時: 2009年08月17日 19:09 | 固定ページリンク




新規の病院  | 一考    

 戸田中央総合病院へ行く。今回は初診、精密検査は次回ということで、処方箋をもらう。ワンアルファがプラチビットに、ザイロリックがサロベールに、ニューロタンがミカルディスに変わってい、最下段にジェネリックス医薬品への変更不可と書かれている。薬剤に知識はまったくないが、なんとなく釈然としない。薬剤以外にも診察自体に多くの疑問が生じた。主治医に相談しなくてはならない。
 診察はさておき、駐車場からの出しな、千二百円を請求された。時間四百円だが、駅前の市営駐車場は時間百円、病院の駐車場のすぐ隣の百円パーキングは三十分百円(これでも高い)である。広大な駐車場だが、わたしが赴いたときは満車。病人の弱みにつけ込んで暴利を貪る、すこぶる不愉快な病院だった。五時間で二千円、週三回で六千円、月に二万四千円の駐車場代が必要になる。このような病院で長時間に及ぶ透析を行うのかと思うと、うんざりである。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月17日 14:39 | 固定ページリンク




気付かされたこと  | 一考    

 店をお手伝い下さっている素天堂さんを昨夜お送りした。方向は西、わたしにはもっとも不案内な場所である。ナビはついているが、アンテナが機能していないので役に立たない。隅田川がどうの橋がどうのといわれても、ちんぷんかんぷんである。神戸か明石ならどのように細い道であっても精通している。しかし、東京西方は鳥瞰図すら引かれない。左右どちらの車線を走ればよいのかすら分からない。何キロ先であれ、次が右折か左折かが分わかっていないと直進もおぼつかない。事故の大半は信号周辺で起こる、そして信号周辺は車線変更禁止である。それやこれやで素天堂さんにはすっかり迷惑をお掛けした。申し訳なく思っている。

 初日と二日目は松葉杖を使わなかった。それが災いして右足首が腫れあがった。初日は本当は九時に店を閉めたかった。それほどに痛みが酷かったのである。三日目からは松葉杖を用いたが、それでもなお腫れは引かない。湿布を施したちはらさんから大目玉を頂戴したが、老いてからの骨折は大変だと気付かされた。
 話序でに、中学校を卒業したときに身長は170センチだった。十五年前に腎結石で明石市民病院へ入院したときが169センチ、都立豊島病院へ入院したときが168センチ、それが今回の入院で166センチになっていた。腎不全のせいで、カルシウムが下りてこないので骨粗鬆症になっている。医師によるとまだまだ小さくなってゆくそうである。MRIを撮ったときに脳がスカスカになっているのに気付かされたが、背骨までが萎縮している。そうやって、やがて存在は形迹なく消えてゆく。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月16日 23:44 | 固定ページリンク




パピヨン  | 一考    

 退院後はじめて二食を満足に頂戴した。メインディッシュは三センチ角の唐揚げ一箇、二センチほどに切られた茄子と椎茸が半かけ、あとは菠薐草のお浸し二種である。ちなみに唐揚げには低蛋白の小麦粉が使われ、塩は使っていない。それに低蛋白米が百五十グラム。それにしても小さな一欠片の唐揚げがメインディッシュとは。療養食を食べる度に思うのだが、普通の食事をしてきた人には絶えられないだろうと思う。透析患者の半数が一年未満に死んでゆく理由のひとつは苛しい食事療法にある。隠れて焼き肉や寿司を食べ、症状を悪化させてゆく。わたしはこのような粗食には馴れ親しんでいるので平気だが。
 いま食している内容だと二食であってもカロリー、蛋白共に制限範囲に収まっている。そこでわたしは菓子を摂っている。菓子といっても食べられるものは限られる。練り羊羹、ミニ最中、コーヒーゼリー、ボンタンアメ三粒のうちの一種、といったところ。ちなみに練り羊羹は駄菓子屋で売っている一箇二十グラムのもので、これを一ミリずつ前歯で刮げるようにして食べている。ただ、ここにはわたしの自由がある。糖尿の人には申し訳ないが、このささやかな菓子が韃靼を渡るパピヨンに思われてくる。
 山崎さんとの帰路、EDについて語り合った。本題は透析患者とEDだったが、はなしは透析にとどまらない。揚句は包茎から間違えたマスターベーションの方法にまで及んだが、ここでそのはなしを繰り返すつもりはなく、透析患者に性欲は失くなっているとだけ書いておく。要するに、性欲と食欲というひとを突き動かす大きなファクターを喪ってまで生き続けるという、存在の不思議を主治医と語り合いたかったのである。おそらく、そこには夢見の、そしてイマジネーションの本質があるに違いない。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月15日 13:23 | 固定ページリンク




山崎利彦さん  | 一考    

 山崎医師来店、幹郎さんと一緒になって病について死について語り合う。幹郎さんはずいぶんと山崎医師を気に入ったようだが、然もありなんと思う。医師はわたしを街の不良親父と見立てている、よって気に入らなければ診療拒否も有り得ると考える。しかるに診察に来るということは、どうにもならなくなってなんらの扶けを求めている、そういう時は必要最小限の手立てを講ずる。さらなる診察が必要であっても、そこから先の判断は本人に委ねる。
 このようなことを書くと、まるで医師としての務めを投げ出しているかのようだが、決してそうではない。彼は間違いなく名医である、と同時に不良の扱いにも精通しているのである。わたしが「あと一年生きようと十年生きようと、そのような瑣末なことはどうでもよい」と書くとき、その真意を深く諒解する能力を彼は併せ持っている。
 聞いたはなしだが、スウェーデンでは子と親が同居することはない。親はしかるべき歳になると施設に這入る。施設の看護師は食事を提供するが、摂取行動は手伝わない、腕組みをして黙止するのみ。食べないという行為も食べられないという行為も均しく摂取拒否と判断される。要するにそこで老人を待っているのは餓死である。雑宝蔵経を源流とする「更級の姨捨山」や「木の股年」を想起していただければ結構だが、わが国の老人介護の有り様とはまったく異なる。その根本には個というものへの認識の差違が横たわっている。
 先日、癌を患っている友人に事後報告したところ、その友は抗癌剤の投与を止めたという。最期だけは自らの意志でと云っていたが、われら不良の最期はそうでなければならない。
 主治医と呼んでいるが、山崎さんは泌尿器科の医師である、にもかかわらず、骨折の修理は自分でするからレントゲンだけ撮ってくれ、痔の発作が起きたときも緊急外来で深夜に押し掛けて痛みだけ除去してくれ、と無茶を承知で専門外のことをお願いしてきた。要は全人的に信頼しているのである。山崎さんは医師であると同時に個としての倫理感を持っている。その振幅は尋常な距離ではない。迷いを迷いとして容認するにいかほどのエネルギーが必要かをわたしは知っている。わたしは複雑な存在が大好きである。かかる医師と知り合えたことに深く感謝したい。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月14日 15:37 | 固定ページリンク




身勝手  | 一考    

 「一日の摂取量は1800キロカロリー、蛋白は上限が45グラム、塩分は5グラム、カリウムは1800ミリグラム」と前項で書いた。蕎麦であれ、饂飩であれ、サンドイッチであれ、丼ものであれ、お好み焼きであれ、外食すれば一食でいずれかの数値が超えてしまう。第一に白米が食べられなくなったのは辛い、味のないものを味気なく食べ続けている。昨日も浦和の病院からの帰り、腹拵えをしなくては仕事にならないと思ったが外食はできない、遠回りをして拙宅経由でですぺらへ行く。
 店のお通しでナトリウムを使っていないものはない。スモーク類でなら焼き豚に直接塩は用いていない、しかしタレにはふんだんにナトリウムやカリウムが入っている。いかに簡単な料理とはいえ、味見せずに出すことはできない。もしも味見をすれば、拙宅での食事制限がさらにきついものになる。フードに関して迷い続けている理由である。松友さんが註文なさるピッザやウインナなら味見せずに出せる。この件に関しては何かしらの方策が必要である。
 余談ながら、ウインナなら一本でわたしの一日の許容量を充たす。ヒデキさんがサラミソーセージを持ち込まれていたが、二枚食べればお終い、他には終日なにも食べられなくなってしまう。当分は持ち込み歓迎である。
 クレアチニンと尿素窒素を除いて血液の状態はずいぶんと改善された、降圧剤のせいで血圧も正常値に戻っている。医師のいうことを聞かないわたしだが、だからこそ食事療法だけは守りたいと思っている。
 昨日は駐車場から店までの一キロを松葉杖なしで歩いた。三十分を要したが、いずれ歩かなければならない。山崎医師が骨はまだついていないよと仰有っていたが、それを気にしていては何もできない。どうせ劃られた命である、ある程度の勝手はさせていただく。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月13日 13:23 | 固定ページリンク




初日  | 一考    

 二十六日ぶりの営業再開である、終日店は混み合った、ご来店のみなさんに感謝したい。十一日は通院の日だが、はじめて屋外での歩行訓練、うまくいきそうに思えたのだが、やはり長時間になると疲れる、帰りは疲労困憊だった。初日はちはらさんの協力を得たが、今日からは素天堂さんがお手伝いしてくださるとか、忝なく思う。ふたり併せて百二十四歳、よろしくお願いする。


投稿者: 一考      日時: 2009年08月12日 11:11 | 固定ページリンク




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