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ふと思い起こした言葉が涙を誘いました、久しぶりに。「友」の死を思い起こしたのです。あれからまだ二箇月半しか経っていません。でも二十年くらいの歳月を経たような気がするのです。
概念は言語によって表現され、その意味として存在します。だからこそ「友」の概念の整理を、すなわち相手との対話を私はかまけてきたのです。いままでお付き合いいただいた方はほとんどが年長者でした。従って当方に遠慮があり、例え疑問に感じてもそれを口には出せなかったのです。また編輯を生業になさった方ならお分かりいただけるのですが、黒子ゆえの強いられた沈黙がございました。「そうじゃない」「いや、そんなものではない筈だ」との疑いを抱いても、人品骨柄にかかわる議論を闘わせるのはすべてのケースにおいて不可能でした。やばいと思う直前にはなしを相手へのオマージュにすり替えるか黙するか、もしくは「まあ、いいから飲みましょうよ」の繰り返しに終始するのが常でした。編輯者同士の酒席では極めて辛辣な言葉が飛び交うのですが、その手の仲間内での雑言が嫌で、私は概ね沈黙を選択するか、下ネタに振るかしてお茶を濁してきました。なぜ嫌かと言いますと、一方で編輯し本を拵えながら、一方で毒舌を吐く、その整合性のなさが許せなかったのです。「嫌なら出版するな」「あたまに来るならやめちまえ」と自らに怒鳴りつけたくなるのです。
編輯に限らず、どうやらこの世の中、何処へ赴こうとも本音と建前があるようです。それは恋情の足を引っ張る時と生活のようなものです。人は間違いなく現在を、刹那を生きているのですが、その一方で、明日飯粒がなくなるとか来月の家賃をいかにして工面するかとか、あらぬことにも執心しているのです。そうした不純な面、すなわち「自分自身の中の悪」に思いを致せば、
すべては妥協または諦観の産物なのかもしれないなどと考えたりもするのです。
「友とはなにか」「友ってどんなものなのだろう」現況への満足もなく、判然としないままに齢五十五に至りました。そんな時なのです、「一考さん、ゲームをしようよ」。「人生はたちの悪い冗談」を地でゆく人が現れました。彼は「友」に確たる概念を抱いていました。「人品骨柄にかかわる議論」が、批判が双方向で行われること、互いの原理原則をぶつけ合えること、そしてその原理原則の主人であるところの自分自身を信じないというもっとも大切なことを繰り返し諒解しあえること。その最後の諒解がなければ、議論がゲームになりませんから。
蟋蟀は九回脱皮すると言われます。また蟋蟀の成長は、昼が短いと成長が早くなる短日型です。共にいるかぎり、脱皮を際限なく続けましょう、あなたとならできそうな気がするのですが。「あなたとなら・・・」この一点に彼の論理のからくりが、あやかしがありました。ゲームのなかでは頻繁に、あなたがわたしになり、わたしがあなたになります。「それ自体では目に見えない観念が、アナロジイによって、可視的なものになる」ように、互いの見えなかった部分が滲透しあうことによって、白日のもとに曝されていきます。言い換えれば、あなたでもない、わたしでもない、そして誰でもないところの存在、「友」に明解なひとつのかたちが与えられていったのです。「友」が、対置するところのものではなく、相対するところのものでもなく、謂わば伸縮自在なオブジェのような共作物であり、明確な輪郭を保つ観念そのものであったと申せば、横須賀さん、いかがかしら。
無名子さんへ
当掲示板をはじめたころ、何でもありと記しました。それでなくとも、名前などは単なる記号ぐらいにしか思っておりませんので、実名であろうが匿名であろうが、さしたる問題ではないでしょう。
書き込まれたこと、並びにその詳細を私は存じ上げませんので、なにを申すこともできません。また、貴方の奥歯さんへの眷恋の情の発露だとするならば礼を逸するのは私の方です。ただ、プライヴェートなことであればあるほど、次のステップ、新たな精神の領域を示唆するものであってほしいと願わずにはいられません。貴方なればこそ、いますこし抽象性を持たせられなかったかと、愚考する次第です。
掲示板とは申せ「友が死んで悲しい」などという意味のない無責任な文章を私は書きたくないのです。レトリックも標榜致しません。いくら技巧を凝らした文章であっても、そこに肉声がなければ意味がないからです。文章の背後から滲みでるメタファー、そのメタファーにしか真実はないのですから。「友」についてとの駄文を前に置きました真意をお分かり頂ければ幸甚に存じます。
掲載しようかどうか迷ったのですが、ですぺらのお客さんで横須賀さんとのバトルを楽しんでいらした方もいらっしゃいます。ご参加には事前の連絡が必要ですので、下記矢野さんか私宛にどうかよろしくお願い致します。なお、「故人の遺志により供花、香典等は辞退」に相成っております。
横須賀功光さんを偲ぶ会
会場 資生堂パーラー
4月21日月曜日 17時から19時
中央区銀座8-8-3東京資生堂ビル5F
お問い合わせ スティル 矢野有里子
港区元赤坂1-5-11-201 Tel03-3497-0190 Fax03-3497-0345
ATCFさんへ
ご来店ありがとうございました。気がつかなくてすみませんでした。土屋守さんのご紹介かと思います。今後ともどうかよろしくお願いいたします。
エイコーンから蒸留所元詰の良品が入荷されています。まずはスプリングバンクから。
【スプリングバンク '89】
ポート・パイプの13年もの、54.2度のカスク・ストレングス。
欧州向けの専用ボトルで、3120本のリミテッド・エディション。
同様の変わり種にラム・ウッドの12年ものがあります。89年蒸留で、ボトリングは02年。54.6度のカスク・ストレングス。バーボン樽で7年、デメララ・ラムの樽で5年熟成させた逸品です。
【スプリングバンク '74】
28年もの、46度の加水タイプ。
ドイツ向けの専用ボトルで、630本のシングル・カスク、カスクナンバーは1157。2003年2月25日のボトリング。
同様のドイツ向け専用ボトルに89年蒸留の12年もの、58.1度のカスク・ストレングスがあります。
次ぎはラガヴーリンです。
【ラガヴーリン12年】
57.8度のカスク・ストレングス。
02年末発売のファースト・エディションは58.0度でした。03年3月発売のセカンド・エディションはわずかにアルコール度数が落ちました。しかし、香味に変わりはなく、美味なモルトです。
【ラガヴーリン25年】
57.2度のカスク・ストレングス。9000本のリミテッド・エディション。こちらはまだ賞味しておりません。
17回で紹介しましたマーレイー・マクデヴィッドのミッションの一本としてボトリングされた
【ラガヴーリン '79】
アメリカン・オークの23年もの、46度、600本のリミテッド・エディション。
共々、アイラ党の私にとってはうれしい限りです。今月末にも異なるボトラーのラガヴーリンが頒布されます。
ディアジオ社のニュー・カスク・ストレングスのラガヴーリンを紹介したついでに、同社の会員に頒布されるフレンド・オブ・クラシック等々、高級品の一覧をどうぞ。
【オーバン '69】
32年もの、55.1度のカスク・ストレングス。6000本のリミテッド・エディション。ニュー・カスク・ストレングス。
【クラガンモア14年】
47.5度、4987本のリミテッド・エディション。フレンド・オブ・クラシック。
【バリンダロッホ・キャッスル・プライヴェート・ストック】
17年もの、51.4度のカスク・ストレングス。中味はクラガンモア。
【グレンキンチー12年】
58.7度のカスク・ストレングス、5010本のリミテッド・エディション。フレンド・オブ・クラシック。
【タリスカー15年】
60.0度のカスク・ストレングス、蒸留所の売店にて販売のボトル。本品の他に59.9度のボトルも入荷されています。
【タリスカー '89】
10年モノ、59.3度のカスク・ストレングス。フレンド・オブ・クラシック。
【タリスカー '81】
シェリー・カスクの20年もの、62.0度のカスク・ストレングス。9000本のリミテッド・エディション。02年末ボトリングのニュー・カスク・ストレングス。
【タリスカー '75】
シェリー・カスクの25年もの、59.9度のカスク・ストレングス。6000本のリミテッド・エディション。01年末ボトリングのニュー・カスク・ストレングス。
【タリスカー '73】
リフィール・アメリカン・オークの28年もの、43.3度のカスク・ストレングス。100本のリミテッド・エディション。01年ボトリング。
【ダルウィニー '66】
36年もの、47.2度のカスク・ストレングス。1500本のリミテッド・エディション。02年ボトリングのニュー・カスク・ストレングス。
話ついでに、スプリングバンクのセカンドラベル 「ロングロウ」を定期的に頒布しているインデペンデント・ボトラーはイタリアのサマローリのみ。その一覧です。
【ロングロウ '87】
12年もの、45.0度の加水タイプ。ムーン・インポートとのジョイント・ボトル「ドリームス」の一本。99年のボトリング。
【ロングロウ '87】
12年もの、55.0度のカスク・ストレングス。ミレニアム記念ボトル。99年のボトリング。
【ロングロウ '87】
13年もの、45.0度の加水タイプ。00年のボトリング。
【ロングロウ '87】
15年もの、45.0度の加水タイプ。354本のリミテッド・エディション。02年のボトリング。現在入手可能。
他ではマーレイ・マクデヴィッドからも90年蒸留の9年もの、46度のロングロウが頒布されています。ボトリングは99年。なお、ロングロウのディスティラリー・ボトルには通常の10年ものの他に、ブルー・ボックス、蒸留所ラベル、テキスト・ラベルなどがあります。テキスト・ラベルのカスク・ストレングスは絶品です。詳細はいずれまた。
先だってパシフィック・カレドニアンのアイル・オブ・ジュラ '99を購入致しました。3年もの、60.7度のカスク・ストレングス。447本のリミテッド・エディションで、ジュラ蒸留所のマスターブレンダーのリチャード・パタースンと同蒸留所長マイクル・ヘッズ両氏によるボトリングです。ディスティラリー・コンディションですが、従来のエディションと異なり強烈にピートを焚いています。レダイグ15年ものを想起させる強いピート香、パワフルでスモーキーなフィニッシュに驚かされました。
その若いヘヴィリー・ピーテッド・ウィスキーと13~20年、21年以上のジュラのヴァテッド・モルトが頒布されました。題して「ジュラ・スーパーステーション」45度のディスティラリー・ボトルです。2002年9月13日の金曜日にシェリー・バットへ移され、2003年2月18日にボトリング。4830本の欧州向けリミテッド・エディションです。そのうちの100本だけが輸入されました。初回のボトリングは2002年12月13日で、1500本は即完売。ブランドは13日の金曜日に縁があるボトルだからとの由。ジュラのイメージを大きく変える一本です。
以下はスコッチ・モルト・セールスのボトルならびに取り扱い品の紹介です。
ブローラとラガヴーリンに次ぐケルティック・クロスの第二弾としてスプリングバンクとカリラが頒布されました。詳細は以下のごとし。
【スプリングバンク '75(スコッチ・モルト・セールス)】
ケルティック・クロスの一本。バーボン・カスクの27年もの、46度。
エディンバラのスコティッシュ・インデペンデント・ディスティラーズ社によるボトリング。リリースはスコッチ・モルト・セールス社。僅かに加水されているが、それが成功。クリーミーなバターの香り、バランスよく、厚みのある長いフィニッシュは特筆もの。
先月、スコッチ・モルト・セールスのディスティラリー・コレクションの一本として頒布されたスプリングバンクは74年蒸留、オロロソ・シェリーの28年もの、48度のカスク・ストレングスでした。長期熟成品は60年代から70年代へ移行しつつありますが、久しぶりに足腰の強いスプリングバンクが続きます。
【カリラ '91(スコッチ・モルト・セールス)】
ケルティック・クロスの一本。11年もの、46度。
カリラにしてはいくぶんスムースでまろやか。
ウィスキー・エクスチェンジとロンバードのボトルならびに新しいシリーズの紹介。
【カリラ '90(ウィスキー・エクスチェンジ)】
12年もの、58.8度のカスク・ストレングス。
輪ゴム臭を思わせる刺激的な薫香と強烈なフレーバー、飲むに連れヨード香がこれでもかと押し寄せてきます。トップからラストまで堪能できるパワフルなモルト。
【ブローラ '82(ロンバード)】
ジュエル・オブ・スコットランドの一本。20年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。 リッチでスムース、ナッツのキャラクター。2003年のボトリング。蒸留所は1983年に閉鎖、もともと生産量の少ないモルトであり、徐々に在庫が市場から消えつつある。
【ロッホサイド '81(ロンバード)】
ジュエル・オブ・スコットランドの一本。20年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。
ライトな芳香でミディアムドライ。2001年のボトリング。蒸留所は生産を中止しており、1997年には熟成庫も閉鎖。
【タリバーディン '89(ロンバード)】
ジュエル・オブ・スコットランドの一本。13年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。
フルボディでフルーティーな味わい。南ハイランドを代表するウィスキー、2003年のボトリング。
ディスティラリー・ボトルは10年ものですが、他にジム・ビーム・ブランド(JBB)からスティルマンズ・ドラムの一本として25年ものと30年ものが頒布されています。スティルマンズ・ドラムは共に河内屋さんで扱っています。インデペンデント・ボトラーのタリバーディンはキングスバリー、ダグラス・レイン、ブラックアダーから頒布されていますが、いずれもが66年蒸留の長期熟成品です。従って、ボトラーの13年ものははじめてではないかと思います。
ジュエル・オブ・スコットランドはロンバード社のメインとなるシリーズで、すべてがシングル・カスク。冷却濾過やカラーリングを行わず、46度からカスク・ストレングスにてボトリング。今回が二回目の頒布。
ロンバードから新しいシリーズ「ディスティレーション・エリア・モルト」が頒されました。
同シリーズは比較的若いモルトで、蒸留所名を明かさず、海にかかわりのある名前を冠したシングル・モルトです。初回はドリフトウッドとタイダル・エブの二点。
【ドリフトウッド(ロンバード)】
ノン・エイジの40度。
ディスティレーション・エリア・モルトの一本。中味は北ハイランドのモルト。ブランドの意は流木。
【タイダル・エブ(ロンバード)】
ノン・エイジの40度。
ディスティレーション・エリア・モルトの一本。中味はラフロイグと思われる。ブランドの意は引き潮。
最後に、カリラのヒドゥン・モルトが4月1日から値上げされました。
みなさん、こんにちは。管理人の櫻井です。今日は宣伝させてください。
この度、ネット通販ショップDeepMacを始めました。
プレオープンです(プレオープンという意味はまだ、一部でしか発表していないのですね。)
マックの専門店になっております。
また、Windows系の商品も卸から引けますので、欲しい商品があればお問い合わせください。
みなさまのご来店をお待ちしております。
マッキントッシュ専門店DeepMac
http://www.deepmac.com/
う、またしても頃合の塩梅が。
さて、既に御含み置き願えている事と存じますが、標題、展覧会が開催されるそうです。同館サイトからの詳細抜粋は以下に。
せたがや文化財団 設立記念事業「没後20年 寺山修司の青春時代 展」
会 期:平成15年4月26日(土)-6月15日(日)
開館時間 :午前10時―午後6時(入場5時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日(5月5日開館、翌日休館)
観 覧 料:一般500円、大学・高校生300円、中学・小学生200円、65歳以上250円、団体料金有
概 要:東京では初出品となる高校時代の書簡を含め、「文学者としての寺山修司」の側面を紹介する由。
住 所:東京都世田谷区南烏山1-10-10
展覧会図録:B5判、152頁、予価1,400円(4月26日~)
トップはこちら→ttp://www.setabun.or.jp
関連頁はこちら→ttp://www.setabun.or.jp/terayama.htm
付記:世田谷文学館の常設展にはムットーニさんの作品、『猫町』『月世界探険記』『山月記』がございます。
さて、同じ文面にて失礼致します。
管理人様。
ネット通販ショップ開店おめでとうございます。
Win系などでお力添え賜りたくなりました折には是非宜しく御願い申し上げます。
みなさんへ
勝手な店主が行き当たりばったりに営むですぺらを御贔屓くださりありがとうございます。常日頃から心底で感謝致しております。
のっけから私事で恐縮ですが、些少にせよ、月単位で黒字が出たのは2000年12月と2001年12月の二箇月のみ。三年半ほどですぺらを続けてきましたが、去年の五月からは慢性の赤字続き、これ以上店を維持するのが不可能になりそうな雲行きです。今月末にですぺらを閉店するか続けるかを決めるぎりぎりの状況がやって来ます。よしんば続けるにせよ、年内一杯が限界ということになりましょうか。お世話になったみなさんには申し訳なく、こんなことを著すのは心苦しいのですが、最後の御贔屓を賜りたく、どうかよろしくお願いいたします。
どこからか、「ざまあみろ」との声も聞こえてきそうですが、それは私がみづからに突きつけてやまなかった、謂わば座右の銘とも称すべきもの。ですぺらの寡多録には「人は描かれては波に掻き消される暫定的な存在・・・営みのすべては儚くうつろなもの。ですぺらもまた、夜ごとの演目を終え、やがてなにごともなく消滅。その日までは媚びを売り顰蹙を買う、いたずらな搏動におつきあいいただければ幸甚」と開店のときから明記致しております。
どなたかが「さよならだけが人生さ」と申したらしいのですが、されば「ざまあみろだけが人生さ」が私の私自身への戒めなのです。人生などという、たちの悪い冗談のただなかに寄寓するにさいし、他の戒めなど考えようもなかったのです。みづからへの訓戒を他者から示唆される事態を世間では「身からでた錆」と申します。
次回みなさまとお会いするのはわが心のふるさと北海道かと思われます。でも、その前に赤坂のシングル・モルトを例え一箇月でも、一週間でも余分に楽しめないかとの、これはささやかな執心なのです。逼迫しております。重ねてどうかよろしくお願いいたします。
~いや違いますって ( ・ω・)
さてもかつて似たような御言葉を西ノ地で拝領した記憶が云々と此方に書込みさせて戴きましたのは何時の事でしたしょうか。彼の折にては区切りの時節、拙メ膝を折って其れまでの御愛顧に御礼申し上げた記憶が御座います。その際には御苦笑賜っていた記憶がございますが、この東の地でも再び御挨拶申し上げならなくなるとは。
彼の地では”ウヰスキーな御方の人数が結果として望むべくもない地ではむべなるかな、東に参ればそうはなりますまい”と想像がてら申し上げておりましたのは、全くの夢の幻であったという事で御座いましょうかしらん。
う~ん、さすれば一考様の北放蕩が始るので御座いましょう、何時の日にか東国の、いやさ北方の土地にでも宿を求めた際の奇遇を御期待申し上げる他なさそうです。恐らくは北の地にて野営やらなにやらの先達として活躍なさるのではと御推察申し上げます~、東野においで賜りたいのですがそれが叶わないのでしたら如何ともし難く。残された時間を堪能し次なる機会を御期待申し上げさせて戴きたく。
でもスプリングバンクの面白そうなのは、許す限り教えてくださいねっ(←最悪っ
付記:放蕩には、駐車場代が許すのでればサイドカーが面白いかもしれません。結構色々な事に遭遇するそうで。某社○―ジョンのカッパ・サイドカーなど如何でしょうか、癖も少ないそうですし(爆
私は寒いのは苦手なので、東京を北限にしたいものです。
ここのところ、お花見の季節のためか、イラク攻撃のテレビ中継のせいなのか、
ですぺらでは、カウンターの上を閑古鳥がギャーギャーうるさいぐらい飛び回るは、
店のすみっこにはペンペン草ははえるはで、とんでもない状態です。
家では健康のためにと思って作っていた麦ご飯の麦の割合が、二割から四割になり、
一考のパンツから作った私のティーバックはほつれてくるし。
ということで、皆様の暖かいアイノテを。 ア~イ~ヤ。
ちゃう、ちゃう。愛の手を。
でも手ぶらじゃなくて、お財布をお忘れなく。
私はですぺらが大好きです。今夜七時過ぎ頃に伺いたいと思います。
(ただ、体調がちょっと不順なので、ひょっとして行けなくなるかもしれません。そうしたら、ごめんなさい)。
今晩はおじゃまいたしました。久しぶりに人混みの中に出たのでなんだかとてもくたびれてしまって、早く帰ってきてすぐに眠りました。今頃起き出してきています。
勝手に考えたのですが、北海道にライダーズハウスを作る前に、ですぺらを移転できませんか?
神保町にです。
ですぺらには本が好きな人が沢山来ます。出版関係者も沢山来ます。
神保町には、出版社はたくさんあるし、取り次ぎも書店も古本屋もたくさんあります。
そこにですぺらがあれば打ち合わせに使えるし、仕事帰りにちょっと寄りたくなります。そして、古本屋巡りの後、本の街神田の紙袋を両手に提げて、成果を自慢しにふらっと寄ってしまいます。だって、ですぺらに行けばきっと誰かがいるんですもの。
あの南柯書局の渡邉一考さんがやっているお店とあれば、きっと古本屋ガイドやタウンガイドにも載ります。
大体、ですぺらは赤坂値段ではないのです。とてもとても安いのです。
(といっても値上げされると私にはとても厳しいのですけど。)
しかも、常連さんばかりです。神保町界隈にいらっしゃいそうな方ばかりです。それに、なんとなく赤坂より神保町の方が家賃が安そうです。
一考さん、北海道に行ってしまう前に、神保町に行きませんか?
ですぺらがなくなるのはさみしすぎます。
松友さんへ
カッパーはともかく、サイドカーにはかねてから興味を抱いています。二輪駆動で雪中を疾駆する夢をよく見ます。逆夢になるか正夢になるか、人には明日すらが五里霧中、雲をも掴む思いで生きとし生ける日々を・・・間違いました。藁をも掴む思いでした。
さて、お申し越しのスプリングバンク、掲示板で値を公表しますと酒屋さんから恨みを買いますのでリストのみ。うまいまずいの詳細は店ででもお話致しましょう。
スプリングバンク10年, ,10年,46度, , ,(DB),ファースト・エディション00年春,
スプリングバンクCV, ,12年,46度, , ,(DB), ,
スプリングバンク12年, ,12年,46度,シェリー, ,(DB),赤マーク,
スプリングバンク12年, ,12年,46度,シェリー, ,(DB),緑マーク,
スプリングバンク'89,'89,13年,54.2度,ポート・パイプ,3120本,(DB), ,
スプリング・バンク・ラム・ウッド,'89/02,12年,54.6度,ラム, ,(DB),バーボン7年-デメララ・ラム5年,
スプリングバンク'89,'89,12年,58.1度, , ,(DB),独向けプライベート・ボトル,
スプリングバンク'74,'74/03,28年,46度, ,630本,(DB),独向けプライベート・ボトル、シングル・カスク,
スプリングバンク15年, ,15年,46度, , ,(DB),2002年ボトリング,
スプリングバンク21年, ,21年,46度,シェリー, ,(DB), ,
スプリングバンク21年, ,21年,46度,オーク, ,(DB),ダンピー・ボトル,
スプリングバンク25年, ,25年,46度,オーク, ,(DB),ダンピー・ボトル,
スプリングバンク30年, ,30年,46度,オーク, ,(DB),ダンピー・ボトル,
スプリングバンク25年, ,25年,46度, , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク30年, ,30年,46度, , ,(DB),正規、白ラベル,
スプリングバンク30年, ,30年,46度, , ,(DB),並行、白ラベル,
スプリングバンク35年, ,35年,46度,シェリー, ,(DB),白ラベル。ミレニアム・シェリー・カスク,
スプリングバンク40年, ,40年,40.1度, , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク45年, ,45年,40.1度, , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク50年, ,50年,40.5度, , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク'67,'6796,28年,46.0度, , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク'65,'65,30年, , , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク'66,'66,33年, , , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク'65,'65/95,29年,46.0度, , ,(DB),白ラベル,
スプリングバンク'62,'62/95,32年,46度,オーク, ,(DB), ,
スプリングバンク'62,'62,29年, , , ,(DB), ,
スプリングバンク・ダァ・ヴィーレー'92,'92/99,7年,46度,シェリー,1000本,(DB),99年12月発売、オーガニック,
スプリングバンク・ダァ・ヴィーレー,'92/99,7年,59.6度,リフィール・シェリー,1000本,(DB),オーガニック,
スプリングバンク・ローカル・バレー'66,'66,32年,54.4度,バーボン, ,(DB),オーガニック、樽違い3種あり,
スプリングバンク・ローカル・バレー'65,'65/01,36年,47.6度, , ,(DB),オーガニック,
スプリングバンク・ローカル・バレー'65,'65,36年,49.1度, , ,(DB),オーガニック,
スプリングバンク・ウエスト・ハイランド'66,'66, , ,シェリー, ,(DB),オーガニック,
スプリングバンク'67,'67, , , , ,(ウィスク・イー),土屋守コレクション,
スプリングバンク'91,'91,9年,46度,オロロソ・シェリー, ,(キングスバリー),バルデスピノのドン・ゴンゾーロ,
スプリングバンク'91,'91,8年,46度,オロロソ・シェリー, ,(キングスバリー),バルデスピノのドン・ゴンゾーロ,
スプリングバンク'90,'90,8年,46度,リフィール・バーボン, ,(キングスバリー), ,
スプリングバンク'93,'93, ,61.1度, , ,(クライズデール), ,
スプリングバンク'93,'93,6年,60.6度, ,290本,(クライズデール), ,
スプリングバンク'93,'93,5年,61.3度, ,350本,(クライズデール), ,
スプリングバンク'87,'87,12年,57.2度,バーボン・ホグス,300本,(ケイデンヘッド),オーセンティック・コレクション,
スプリングバンク'80,'80,18年,53.4度,シェリー,582本,(ケイデンヘッド),オーセンティック・コレクション,
スプリングバンク21年, ,21年,カスク, , ,(ケイデンヘッド), ,
スプリングバンク'67,'67,32年,46.8度,シェリー, ,(ケイデンヘッド), ,
スプリングバンク'67,'67,32年,44.6度,シェリー,228本,(ケイデンヘッド), ,
スプリングバンク'66,'66,21年, , , ,(サマローリ), ,
スプリングバンク'97,'97/02,5年,45度, , ,(シグナトリー),スティル・オブ・スコットランド,
スプリングバンク'89,'89,11年,46度,オーク,362本,(シグナトリー),アン・チルフィルタード・コレクション,
スプリングバンク21年, ,21年, , , ,(シグナトリー), ,
スプリングバンク12年, ,12年, , , ,(シグナトリー),ストレート・フロム・ザ・カスク500?,
スプリングバンク'69,'69,30年,50.0度,シェリー, ,(シグナトリー),ダンピー・ボトル,
スプリングバンク'69,'69,28年,52.3度,シェリー,590本,(シグナトリー),ダンピー・ボトル,
スプリングバンク'67,'67,32年,49.1度,オーク,225本,(シグナトリー),ダンピー・ボトル,
スプリングバンク'75,'75,27年,46.0度,バーボン, ,(スコッチ・モルト・セールス),ケルティック・クロス,
スプリングバンク'74,'74,28年,48.0度,オロロソ・シェリー, ,(スコッチ・モルト・セールス),ディスティラリー・コレクション,
スプリングバンク'67,'67,33年,41.4度, , ,(ダグラス・レイン),オールド・モルト・カスク,
スプリングバンク'65,'65,34年, , , ,(ダグラス・レイン),オールド・モルト・カスク,
スプリングバンク'67,'67,35年,40.5度, , ,(ダンカン・テイラー),ピアレス,
スプリングバンク'67,'67,34年,40.9度,バーボン, ,(ハート・ブラザーズ),ファイネスト・コレクション,
スプリングバンク'65,'65,30年,43度,オーク, ,(ハート・ブラザーズ),ファイネスト・コレクション,
スプリングバンク'67,'67,34年,40.9度, , ,(ハイ・スピリッツ・コレクション),スコティッシュ・カラーリスト、伊のボトラー,
スプリングバンク'89,'89,11年,43度,オーク, ,(ヴァン・ウィー),アルティメット,
スプリングバンク'90,'90,9年,43度, , ,(ブラックアダー), ,
スプリングバンク'90,'90,9年,57.9度,オーク, ,(ブラックアダー), ,
スプリングバンク'67,'67,30年,カスク, , ,(ブラックアダー), ,
スプリングバンク'65,'65/96,31年,42.7度, , ,(ボトラーズ), ,
スプリングバンク'91,'91,8年,46度,リフィール・シェリー, ,(マーレイ・マクデヴィッド), ,
スプリングバンク'89,'89,9年,46度,バーボン, ,(マーレイ・マクデヴィッド), ,
スプリングバンク'65,'65, , , , ,(マーレイ・マクデヴィッド), ,
スプリングバンク21年, ,21年,54.8度, , ,(マッカーサー),柑橘系の香が強い,
スプリングバンク'91,'91,9年,60.35度,リフィール・バーボン, ,(マッキンタイア), ,
スプリングバンク30年, ,30年,50度, , ,(ジョン・ミルロイ), ,
スプリングバンク'85,'85,11年,50.0度, , ,(ムーン・インポート),ルネッサンス,
スプリングバンク'67,'67,31年,45.8度,バーボン, ,(ラ・リザーヴ), ,
スプリングバンク'65,'65,35年,46度,リフィール・シェリー・ホグス, ,(リキッド・ゴールド),カレドニアン・セレクション,
スプリングバンク・ファウンダーズ・リザーヴ, , ,46度, ,1800本,(ロッホデール),02年末ファースト・エディション,
スプリングバンク'91,'91/01,10年,50.0度,バーボン, ,(ロンバード),ジュエル・オブ・スコットランド,
スプリングバンク'91,'91,8年,58.5度,オーク, ,(ロンバード),ジュエル・オブ・キャンベルタウン,
スプリングバンク'65,'65,31年,46度, , ,(ロンバード), ,
スプリングバンク'65,'65/91,25年,46度,オーク,4樽,(ロンバード), ,
みなさまへ
八日はみなさんありがとうございました。もっとも、九日からは何事もなく元通りの暇な店に戻りましたが・・・。それにしても、ありがたかったのは久しぶりに米が買えたことです。かようなこともあろうかと、りきさんから頂戴した稲庭饂飩をはじめ、我が家には非常食がそれなりに蓄えられています。しかし、私のような世代は飯粒におみおつけがないと胃の収まりどころがなく、ふっくらとした飯粒が「枯れ野」の夢のなかを「飛び散らう」始末、難儀なことでございます。
ですぺらの方は月末までじっくりと考えて結論を出します。かなり悲観的ではありますが。
二階堂奥歯さんへ
八日は失礼致しました。女性客が多く食堂状態になり、厨房にこもりっきりになってしまいました。貴女のお母さまに挨拶すらかなわず、恐縮しております。よろしくお伝え下さい。
建設的なご意見に感謝。神保町は最初に出店を考えた場所でした。神保町には昔からの友人も多く、数人の古書店主に相談もしました。でも、あの街は午後八時を過ぎるとゴーストタウンになります。全員から反対されてあっけなく諦めたのです。また、女房を質に入れても本を買うのが本好きでして、本が好き酒が好きというのは素天堂かフクさん、もしくはお邪魔ビンラディンか私ぐらいなものでしょう。さらに、一献傾けるのは居酒屋と相場が定まってい、肴も百円までの冷や奴か塩辛と相場は決まっています。神保町が昔から貧乏町と揶揄されるのも、そのあたりに理由があるのでしょう。
フクさんへ
この二~三箇月、さまざまな雑用に追われつづけ、当掲示板以外のネットへの接続はほとんどしていないのです。九日に管理人さんから聞き及び、貴方のHPを見ました。心配をお掛けし申し訳なく思っています。でも、事情のいかんを問わず、貴方とお会いできるのは私の喜びとするところです。櫻井さんと共に久しぶりの置酒歓語、一夜の酔いに身を任すべく冀求致しております。
???T?から日本での評価は低いが美味なモルトを紹介してほしいとのことで、ちょいと文章をでっち上げました。おそらく人の目に触れないと思いますので、載せておきます。
オスロスク
【グレンヒース(スコッチ・モルト・セールス)】800円
10年もの、40度。中味はオスロスク。
かつて、グレン・マレイを核とした同名のピュア・モルト・ウィスキーが頒されていたが、本品はまったく異なる。オスロスク蒸留所のシングル・モルト3樽をボトリング。1000本のリミッド・エディション。
ディスティラリー・ボトルと比してまろやかさ、潤沢なこくと味わいで優る。色は淡く、カラメル香もなく、シェリー酒のテイストが濃厚。
蒸留所の創業は1974年と新しいが、既に数々の品評会で受賞し、国際的な名声を得ている。クラガンモアと共に、スペイサイドのよさをすべて備えた銘酒。ディスティラリー・ボトルは「シングルトン」のブランドでボトリングされていたが、2002年よりユナイテッド・ディスティラーズ社の「オスロスク10年」に変更された。
イアン・マクロード゙社からポート・フィニッシュの11年もの、ケイデンヘッド社のオリジナル・コレクションからシェリー・ウッドの10年ものが、他のボトラーではドナート社のダン・イーディアンとマーレイ・マクデヴィッド社から加水タイプのボトルが頒布されている。また、ダグラス・マクギボン社、ダグラス・レイン社、ケイデンヘッド社のオーセンティック・コレクションから数種のカスク・ストレングスが頒布されている。
クレイゲラヒ
【クレイゲラヒ '89(ダグラス・レイン)】1000円
オールド・モルト・カスクの一本。12年もの、50.0度のプリファード・ストレングス。360本のシングル・カスク。
蒸留所の創設は1888年。株主のひとりピーター・マッケイが1890年にブレンデッド・ウィスキーのホワイト・ホースを発売。爾来ホワイト・ホースのメイン原酒となり、シングル・モルトとして出回る量は極めて少ない。
ディスティラリー・ボトルはユナイテッド・ディスティラーズ社の花と動物シリーズだが、それと比して遙かにリッチ。アイリッシュ・クリームの香り、オレンジやナッツの風味、長く濃密なフィニッシュ。最良の食後酒のひとつ。
イアン・マクロード社、ハート・ブラザーズ社、シグナトリー社、ゴードン&マクファイル社、サマローリ社などから加水タイプのボトルが頒布されている。また、ボトラーズ社、イアン・マキロップ社、ユナイテッド・ディスティラーズ社のレアモルトからカスク・ストレングスが頒布されている。
グレンアラヒ
【グレンアラヒ '91(シグナトリー)】1300円
シェリー・バットの8年もの、43度、限定902本のシングル・カスク。
女性に人気のエレガントな食前酒であり、僚友アベラワーと通底する味わいを持つ。きれのよさは心地よく、極上のフィニッシュに飲み手を誘う。オーク・カスクにはない、アーモンドのようなナッツ系の香りが特徴。
仏蘭西のペルノ・リカール社が所有する蒸留所はアベラワーとグレンアラヒ。クッキーやキャンディの甘さ、まろやかな喉ごし、すこぶるデリケートな香り、軽くのびやかな酒質等々。仏蘭西ならでは、と想わせる所が愉快である。
シグナトリー社からは数種の加水タイプが、ケイデンヘッド社、ゴードン&マクファイル社、ダグラス・レイン社からカスク・ストレングスが頒布されている。
グレンロッシー
【グレンロッシー '89(ダグラス・マクギボン)】1000円
プロヴァナンスの一本。10年もの、43度。
すがすがしい白檀の香りと糖蜜と干し草の匂い。フレッシュでドライな喉ごし、麦芽とシェリー香のアクセントを得て、フィニッシュは徐々にスパイシーに。
リンクウッドやロイヤル・ロッホナガーと共にソフィスティケーテッドなウィスキーとして識られる。
ディスティラリー・ボトルはユナイテッド・ディスティラーズ社の花と動物シリーズだが、それと比して円熟度高く、よりスイートな味わい。重厚な香りと切れ上がりの暖かさが絶妙。
インタートレード社、ゴードン&マクファイル社、シグナトリー社、ヴィンテージ・モルト社、ブラックアダー社、イアン・マクロード社から各種加水タイプのボトルが、アデルフィ社、ダグラス・レイン社、イアン・マキロップ社からはカスク・ストレングスが頒布されている。
ストラスミル
【ストラスミル '91(ゴードン&マクファイル)】900円
コニッサーズ・チョイスの9年もの、40度。
キース地区特有の熟した果実の香りと長く続くスパイシーなフィニッシュが特徴。
インデペンデント・ボトラーズのボトルとしては最も新しい。
ディスティラリー・ボトルはユナイテッド・ディスティラーズ社の花と動物シリーズだが、それと比して薫り高く、ラスト・ノートで優る。
ウイルソン&モーガン社とシグナトリー社から数種の加水タイプのボトル、またダグラス・レイン社とイアン・マキロップ社からも数種のカスク・ストレングスが頒布されている。
ダルユーイン
【ダルユーイン16年(ユナイテッド・ディスティラーズ)】1400円
花と動物シリーズの一本。43度のディスティラリー・ボトル。
アイランズのタリスカー同様、ジョニー・ウォーカーの核となる原酒モルト。
マルティニック・ラムの香りを持つフル・ボディ。ホットな辛口でアフター・テイストに特徴がある。フィニッシュが長く、スモーキーからビターへと次第に変化していく。
ゴードン&マクファイル社、サマローリ社、ハート・ブラザーズ社などから加水タイプが、アデルフィー社、ゴードン&マクファイル社、シグナトリー社、ダグラス・レイン社、イアン・マキロップ社、マッカーサー社からはカスク・ストレングスが頒布されている。
バルミニック
【バルミニック '90(アデルフィ)】1100円
11年もの、59.7度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。
ヘザーハニーの香り、甘辛のバランスが佳く、ジンジャーを想わせるスパイシーなフィニッシュが長く続く。グレントファースと共に、スペイサイドの隠れた銘酒。入手可能な間にぜひ味わっておきたい逸品。
ディスティラリー・ボトルはユナイテッド・ディスティラーズ社の花と動物シリーズにて1991年の発売。他にゴードン&マクファイル社のコニッサーズ・チョイスはお薦めの一本。
ゴードン&マクファイル社、ハート・ブラザーズ社、ヴィンテージ・モルト社、ブラックアダー社、イアン・マクロード社から加水タイプのボトルが頒布されている。アデルフィ社、ハート・ブラザーズ社、ハイ・スピリッツ・コレクション社、イアン・マキロップ社、イアン・マクロード社、ユナイテッド・ディスティラーズ社のレアモルトからカスク・ストレングスが頒布されている。
ピティベアック
【ピティヴェアック '86(イアン・マクロード)】1300円
チーフテンズの一本。バーボン・ホグスヘッドの14年もの、43度。4樽、1074本のリミテッド・エディション。
ディスティラリー・ボトルはユナイテッド・ディスティラーズ社の花と動物シリーズだが、本品はそのオイリーな舌触りはなく、きれのよさがそのままホットなアフター・テイストに繋がって行く。
ダフタウン蒸留所に隣接する。仕込用水からポット・スティル、熟成庫までを共にする、謂わば弟でありながら、兄とは異なり個性的。蒸留所は93年に閉鎖。
自己主張が強く、ダルユーインのようなホットな辛口。ピリピリ感を伴うフィニッシュが比較的長く続く。同じ飲むなら、ダフタウンよりこちらがお薦め。
ブラックアダー社とイアン・マクロード社から加水タイプのボトルが、キングスバリー社、ケイデンヘッド社、ダグラス・レイン社、イアン・マキロップ社からカスク・ストレングスが頒布されている。
ブレヴァル
【ブレイズ・オブ・グレンリヴェット '89(ケイデンヘッド)】1200円
オーセンティック・コレクションの一本。バーボン・ホグスヘッドの10年もの、62.2度のカスク・ストレングス。限定288本のシングル・カスク。
アルタナベーンとは兄弟蒸留所だが、こちらは重厚な味わい、噛み応えのあるボディ。メイプルシロップや干し葡萄の甘い香り、蜂蜜のような深くまろやかなこくとオレンジ・ピールの風味。フィニッシュは長くドライ。
創業は73年と新しいが、ストラスアイラと共に傑出したモルト。ストラスアイラが甘すぎるという方に強くお薦め。
蒸留所名はブレイヴァル。シーバス・リーガルの原酒モルトのためディスティラリー・ボトルはなく、インデペンデント・ボトラーを介してやっと入手可能になった。
キングスバリー社、ケイデンヘッド社、シグナトリー社、ダグラス・レイン社からカスク・ストレングスが頒布されている。特筆すべきはスコッチ・モルト・セールス社とハート・ブラザーザ社から頒布されたマディラ・フィニッシュのボトル。樽由来のフレッシュ・ミントとオレンジの花の香り、心地よい甘味の中に秘められた爽やかな酸味が美味。
ベンリネス
【ベンリネス '88(ゴードン&マクファイル)】1000円
ゴードン&マクファイル社のコニッサーズ・チョイスの一本。9年もの、40度。
糖蜜やカラメルのヘビーな香り、厚みのある優れた食後酒。クロフォードの原酒モルトだが、ブレンドされた製品とは異なり、すこぶる辛口に仕上がっている。
ウォッシュ(もろみ)の一部を3回蒸留するのが、ベンリネスの特徴。大半は2回蒸留だが、それに3回蒸留を施したものを加えることによって、よりライトタイプのモルトになるという。ドライだが、ボディが厚く、リッチなフィニッシュ。
ハート・ブラザーズ社、ヴィンテージ・モルト社、ブラックアダー社などから加水タイプのボトルが頒布されている。ダグラス・レイン社、ブラックアダー社、ボトラーズ社、イアン・マキロップ社、ユナイテッド・ディスティラーズ社のレアモルトからカスク・ストレングスが頒布されている。
グレンユーリー・ロイヤル
【グレンユーリー・ロイヤル '76(ゴードン&マクファイル)】1500円
コニッサーズ・チョイスの21年もの、40度。
アーモンドの香りに、蜂蜜、ピスタチオ、アンゼリカ、ミントの味わい。ライト・ボディだが、酒質は堅く、しっかりしている。緑葉もしくは樹皮を噛んだようなフィニッシュは長く、シナモンの華やかな芳香が残る。
アロマティックなウィスキーを代表する、東ハイランドの隠れた美酒。1985年に蒸留所は閉鎖、ライセンスは92年に取り下げられた。
ヴィンテージ・モルト社から加水タイプが、ケイデンヘッド社、シグナトリー社、ダグラス・レイン社、ユナイテッド・ディスティラーズ社のレアモルトからカスク・ストレングスが頒布されている。とりわけ28年もの、58.4度のレアモルトはオロロソ・シェリーのアロマが顕著。
ノックドゥー
【ノックドゥー '89(ケイデンヘッド)】1100円
オーセンティック・コレクションの一本。バーボン・ホグスヘッドの10年もの、56度のカスク・ストレングス。限定306本のシングル・カスク。
ディスティラリー・ボトルのブランドは「アン・ノック」だが、「ノックドゥー」とは味わいガ異なる。アン・ノックは麦芽の風味と微かなスモーキー・フレーバーを持つフレッシュなキャラクターが売りだが、ノックドゥーは完熟林檎や西洋梨、スコッチ・バターの艶のある香りなど、遙かに濃厚でパワフル。香味に求心力がありベクトルも強く、クリーミーなラスト・ノートを堪能できる。
アデルフィ社とケイデンヘッド社のカスク・ストレングスの他、ディスティラリー・ボトルで21年と23年ものカスク・ストレングスが限定頒布されている。共に傑出したボトルである。
フェッターケアン
【フェッターケアン12年】700円
40度のディスティラリー・ボトル。
2002年10月の発売。ブランドと蒸留所名が統一され、熟成年数が10年から12年に、アルコール度数が43度から40度に下げらた。当初は1リットルボトルによる頒布。
旧ボトルの「オールド・フェッターケアン」と比して確実にまろやか、唇に触れた時のえも言われぬ甘味。ホワイト&マッカイの原酒モルトのひとつ。
芳ばしいヘーゼルナッツや胡桃の風味、甘辛のバランスにすぐれたユニークな食前酒。スムースでシルキー、清爽なフィニッシュ。ミディアム・タイプ。
フェッターケアンは熟成庫の広さと保管する樽の量が多いことで識られる。
キングスバリー社とマッカーサー社のカスク・ストレングスの他、旧オーナーのジム・ビーム・ブランドからスティルマンズ・ドラムの一本として26年ものが頒布されている。さらに、現オーナーのキンダル・インターナショナル社からシングルカスク・セレクションと銘打って72年、73年蒸留のカスク・ストレングスが頒布された。かつてシグナトリー社から80年蒸留のヴィンテージものがボトリングされたが、スティルマンズ・ドラム同様、特筆大書すべき逸品だった。
一考さま
わざわざ言及頂きまして恐縮至極です。約一月ぶりとなりますが、今晩伺わせて頂きますので、また宜しくお願いします。(ただ別の飲み会の後となりますので多少遅くなるやもしれません)。
毎度のことではありますが、文章にて現せないほどに楽しみにしているのです。ですぺらに向かうエレベーターに乗り込む時の程良い緊張感も、また。寛ぐためにバーに行くのに、どこか背筋をしゃんとしておきたくなるような――。
さて、先に書き込みさせて戴きました「没後20年 寺山修司の青春時代 展」[平成15年4月26日(土)-6月15日(日)、世田谷文学館にて]ですが、やんごとなき御方の御好意により招待券が片手で数えられる範囲を超える塩梅でdesperaさんに贈られているそうです。
という事で、御希望の折は声をかけてねとの一考様の由。
同じ投稿で御容赦を。
一考さま
スプリングバンクの詳細御教示痛み入ります。より踏み込んだ範疇は是非御店にて御願い申し上げます。
さて、彼の地では拙メ煩悩の多さゆえ『仙人目指してます』などと申し上げておりましたが、実は貧しさの余り霞を口にし酒をもて日々過ごしたかっただけの事でした。やはり霞では腹は膨れないですね。
先週土曜にお伺いしました某若こと若尾です。
アドベックをはじめとする珍しいモルト、大変楽しくいただきました。
また、貴重な資料などお分けいただき感謝しております。
族長より「俺が行くまで潰すな」との言伝です。
私も、インディペンデントボトラーズのモルトを楽しめる場所として大切にしたいと思いますので、
諸般の事情を吹っ飛ばしてでも頑張っていただきたく、よろしくお願いいたします。
若尾さんへ
わざわざのお出ましありがとうございました。シングル・モルトに関する資料はいろいろ有ります。すべてオープンにしておりますので必要なものが御座いましたらお知らせください。
石橋さんへのメールにも記したのですが、「日本のメーカーはバイクは作るが乗り方は教えない、その間隙を埋めてきたのがケンタウロス・・・謂わばバイクの文化史を担ってきた」との大将の文言に興味を惹かれてのお付き合いで御座います。私もささやかながら、シングル・モルトの側面、謂わばボトラーの文化史をいつの日か著したいと願っております。
過日、横浜へ参った折には大将より蛸料理の馳走に与り恐縮致しております。横浜へ行こうと思いつづけているのですが、店の方がかんばしくなく、日曜、祭日はその足しにとアルバイトに明け暮れております。見兼ねた常連の編輯者から次回の連休の間にと原稿依頼を頂戴しました。臨時収入が続くあいだはですぺらも大丈夫です。大将に心配をお掛けしたことを深くお詫びするとともに、くれぐれもよろしくお伝え頂ければ幸甚です。
まだわからないのです。
この世に生まれて何年もたつのにまだわかりません。
まだ、「自分」が一番わかりません。
だから、一考さんのおっしゃる「自分」なんてないのだ、という言葉がよくわからないのですよ。
「自分」なんてないのだという、その立場を選んでいるのは一考さんの「自分」ではないのですか。
それ自体、ひとつの貴方の、「自分」のあり方ではないのですか。
その選びひとつに、一孝さんが滲み出ているではないですか。
いくら否定しても否定しても、「自分」とは残ってしまうものだと思います。 否定する感情がある限り、その感情の中に「自分」が立ち現れます。 どんなに隠そうとして、殺そうとしても、生きている限りそれは漏れてしまうものです。何かをひとつ選ぶたび、全てを持ち得た可能性は消え、ひとつという現実が手に残ります。そのひとつに、どうしようもなく自分は現れてしまうのです。たったそのひとつに、たったひとつのくせに、そこにはすでにあふれんばかりに自分が充満してしまっています。
それは、考えただけでもとても恐ろしい。そして、恐ろしいと一語選んで綴ったそのぶんだけ、またその恐怖はいやますのです。他者からみれば、気にも留めないことかもしれない。しかし、それは救いですらありません。
問題は、何故私が「あれ」を選ばず「これ」を選んだのかということなのですから。だから、選びをすることはとても恐ろしいのです。けれども、現実に生きていこうとするならば、何かを選び続けなければ生きていけないのです。今日、朝起きて食べるもの着るもの、仕事に行けばどの手順で物事をすすめるのか、終わればどうするのか、家に帰るのかどこかへ寄るのか、お風呂に何時に入るか、就寝前に何をするのか。
確かに、このような選びは極々当たり前な日常生活です。誰だってしていることです。しかし、「自分」の選びと完全に全ての選びが一致するほかの人なんているでしょうか。決していません。そのようなことはあり得ないのです。なぜなら、「自分」は「自分」であって、「他人」や「貴方」ではないからです。
だから、何かを選び続けるかぎり、つまり生きているかぎり「自分」がないということが、私には到底考えられないのです。そのような選びをする「なにか」を「自分」と呼ぶかどうかは好みの問題かも知れません。
しかし、そのように考えている「なにか」を、今現在の私は便宜的に「自分」と呼ぶことにしています。なぜなら、他に呼びようがなく、この私の手が、実際にパソコンの前に座り、この文字をつづらせているのですから。
一考さんの「自分」と、私のいう「自分」の範囲が違うのは承知の上。
でも、そうであればこそあえて聞いてみたいのです。
そう、だから、わからないのです。まだわからないのです。
「自分」がないということが、いまだわからないのです。
全て、何をしてもかんがえても、この世は神さまの掌の中。
だけど、目指しているのは「自分」があるだのないだの、わからないだのなんなのかだの、
かような迷い言を抜かす地点を超えることなのです。
自分の存在から解放されることなのです。 自分の存在から逃れることなのです。
それができれば「自分」はプラスでもなくマイナスでもない絶対値ゼロになれる、と思っているのです。
自分で自分を認識しなくなる地点、自我が融解する地点。
そこまで、ゆけば、その地点ならば「自分」はもうないと信じているのです。
かの地点へいたる道は何処か探し続ける、考え続ける、
換言すればそれが生きていくということ。
少なくとも今現在の私にとっては。
ノアの箱船から飛んでゆき、二度と戻ってこなかった鴉がときおり無性に羨ましく。
>薫子さん、一考さん
昨日いっていたメモ書き、細部調査のうえ、
さっき、メールしました。
メールの内容から確認していただけると幸いです。
多分、作家名とかはこれであっているはずです。
本当にいろいろとご迷惑をかけます。
しかし、恐ろしいほどのラインアップということが調査して
分かりました。
本当に忘れられた作家たちばかり。
(^^;;
4月26日の夕6時から9時にかけて第6回目のですぺらモルト会を催します。会費は6000円、メニューは以下のごとし。
1年分のボトルの取り置きは不可能ですので、2箇月分ずつ紹介させて頂きます。1年間で120の蒸留所のシングル・モルトを味わうことになります。
年内の開催は毎月第4土曜日、従って次回は5月24日です、どうかよろしく。例によって、ウィスキーの解説はその日にお渡し致します。
4月
スキャパ('85 イアン・マクロード)
ブナハーブン('90 ダグラス・マクギボン)
キャパドニック('74 イアン・マクロード)
グレンアラヒ('91 シグナトリー)
グレン・マレイ('89 シグナトリー)
コンヴァルモア('77 ケイデンヘッド)
ストラスミル('91 ゴードン&マクファイル)
グレンドロナック('88 ケイデンヘッド)
ディーンストーン(12年)※
ティーニニック('82 ゴードン&マクファイル)
5月
ボウモア('92 ドナート)
トーモア(10年 ダグラス・マクギボン)
バルミニック('90 イアン・マクロード)
ブレイズ・オブ・グレンリヴェット('89 ケイデンヘッド)
ベンリアック(10年)※
マッカラン('90 ドナート)
グレンロッキー('75 ダグラス・レイン)
ダルモア('88 ダグラス・マクギボン)
バンフ('66 ダグラス・レイン)
オーヘントッシャン・スリーウッド※
愛子さんへ
私にも「自分」はわかりません。わかっているのは暫定的な存在だということだけなのです。雲も風も木立も鳥もそして人も、生あるものすべては暫定的なものだと思っています。「約束された滅びへのみちのり、『年々歳々花相似、歳々年々人不同』間違いなくひとは変わり、最後は土塊へと昇華されてゆくのです」と横須賀功光さんへの追悼で著しました。その思いはおそらく終生かわらないのではないかと思っております。
貴女の実存主義的な姿勢に対してですぺらでは中途半端な物言いに終始しました。従って、いずれこのような書き込みがなされるのではないかと思っていました。ただ、進行形で「自分」と格闘なさっている貴女と人生の大半を抛り投げてしまった私とのあいだの時間差、すなわち年齢差にはいかんともしがたいものがあるのです・・・などと書けば嘘になります。年齢に責任を転嫁すれば、事態を中二階へ置き去りにすることになります。やはり、真っ向から意見を述べないといけないのでしょう。内容が内容だけにちょいと疲れます、時を費やして気長にやりましょうか。
昨日は横須賀さんを偲ぶ会が銀座であったのです。ですから横須賀さんに託けていつも通りのことを記します。
人は核となるような自分を常に持っているわけではありません。相対し、人と語り合うときだけ、仮説としての自分が存在するのです。そういう存在の危うさ、虚しさ、切なさのようなものをしっかり携えて彼はやってきました。その「仮説としての存在」が彼の原理原則だったのです。真実により近いものは、言葉の端々から滲みでるメタファーのなかにしかない。そしてそのメタファーによって焙りだされ、アナロジーによって射抜かれたとき、未分化なものにはじめて明瞭な形態が与えられ、可視的なものに変化するのだと。これも横須賀さんとの諒解事項のひとつでした。「分かっちゃいないね」が彼の口癖だったと、これもかつて著しました。曖昧なものを彼は忌み嫌いました。対象に確たる輪郭を与えるために、話し合おう、言葉のゲームをしようと、それが私に突きつけられた彼の匕首だったのです。
高いところと低いところ、昼と夜、現実と想像、そういった境界線を設定できない概念を二項対立の図式で捉えるのは間違いではないかと私は思うのです。貴女はカトリックなので、二項対立や二律背反などの概念に馴染んでいるのでしょうが、元来相克しないものを相克するかのごとく位置づけるのは無理があるように思います。
話が佳境にはいってくると横須賀さんが「にじり寄ってくる」と書きましたが、にじり寄るどころか、体をぴたりと添わせてくるのです。心身ともに融合を試みるといった按配でした。彼にとっては自己と他者との融合、その一点のみが踏み越えねばならない最後の垣根ではなかったかと思うのです。先だって「『友』が、対置するところのものではなく、相対するところのものでもなく、謂わば伸縮自在なオブジェのような共作物であり、明確な輪郭を保つ観念そのものであった」と著しましたが、それは横須賀功光というユニークな精神の私なりの解釈なのです。
人はみな他者に託けて文章を著します。しかし、述べるところは自分のことだけ、もしくは解釈とは自己の能力ないしは物差しにおいてしかなされず、人の数だけ異なる解釈が共存するのが世の常なのです。それはそれですこしも悪いことではないのです、ただ、横須賀さんはまるで異なりました。横須賀さんは一種の入れ子構造とでも称すべき包括的融合を求めてきました。それは自分を信じるとか信じないとかの問題ではなく、まったく無防備に自己をさらけだしての趣向であり、自らが不確かで揺れ動く存在ならばいっそ激しく揺すってみようかとの魂胆であったと思われます。かかる場にあって、既存の価値観や定規はなんの役にも立たず、取りうる武器は唯一アナロジーのみ。分からない自分を、やはり分からない他者と重ね合わせ、アナロジーの世界に深く身を沈めることによってなんらかの形が見えてくるのではとの、おそらく最初にして最後のぎりぎりの選択。言い換えれば、彼がですぺらで試みた最終のクリエーションに私が立ち会わされたのだと、いやいっそ彼と私であるが故に可能になったクリエーションだったと解釈致しております。
「選択がひとつの立場の闡明」である。よく用いられる文言ですが、この「選択」との言葉に内包されるいかがわしさが気になります。生物は与えられた環境に適応し順応して生きてゆくのであって、その環境を選択できないところに存在の悲しみがあるのではないのでしょうか。また、生きてゆくとは死をむかえるまでつづく道程であり、仮説なり暫定なりの繰り返しではありませんか。どうしてその生きるとの不安定かつ不確実な行為に「立場の闡明」が必要なのでしょうか。人の精神に闡明は必要です。しかし「立場」が冠されれば話は別です。立場、立ち位置、拠ってたつ規範、アイデンティティ、どのように申しても結構、それらは口の端にのぼった瞬間、指のあいだから零れる砂粒のように消えてゆきます。なぜなら、精神は運動でありエネルギーであって、固着した精神など精神ではないからです。偽善に類することに思いを致すのは、時を費やすのは徒労ではありませんか。
私は「『自分』なんてないのだという、立場を選ん」だことは一度も御座いませんし、「『自分』のあり方」を求めたことも一度も御座いません。自己と他者とが融合し合うようなところがもしあるとするならば、未知な新しい精神の領域を得られるようなところがもしあるとするならば、その時こそ有効と思われる選択を試みたいと心しております。対象が雲であろうが、風であろうが、木立であろうが、鳥であろうが、横須賀功光という名の人であろうが、それが何処の地にあろうともそこへ赴きたい。この世に仮に有効と思われる選択があるとするならば、それは融合を示唆するところのものに対して費やされた時間と情熱の重量のみ。その重みこそが「友」であり「愛」であり「観念」ではなかったのか。
「ノアの箱船から飛んでゆき、二度と戻ってこなかった鴉」の失意の一端がお分かり頂ければありがたいのですが。
Mさんへ
昨夕は恐縮、貴方を励ますどころか、私があの体たらくでは問題です。飲み屋は非日常でないといけないのですが、歳とともに涙腺のゆるみっぱなしです。一月十四日以降、酒が入ると悲しくなるのです。済まなく思っております。
「真っ向から意見を述べるのではなく、もう少しさりげなく書けないのか」とのご指摘、忝なく存じます。「種村季弘の箱」編集の折に吉行淳之介さんの「『幻に化す料理』集成」を再読、改めて驚かされました。「食物漫遊記」を「幻に辿り着く」物語と見立てての話なのですが、その趣向、その呼吸、いずれをとっても美事。種村さんの人となりとその嗜好を描いて比類ない逸品と思いました。薄田泣菫を持ち出すまでもなく、肯綮に中る名品とはさりげない文章のなかにしかあらず、達意の文章とはこういうものよと畏れを抱きました。また、「隠し味」をた
菊地信義さんからは、メタファーが読めない編集者ばかりになってしまいました。これでは玉も石もごた混ぜにされてしまいます、とのご指摘を受けました。もっか、自分を相手のアナロジーに苦戦しておりますが、自分自身を編集の対象にするのは至難の業なのです。だからこそ、貴方のような好敵手を得たことを喜んでいるのです。御迷惑と存じますが、今後ともどうかよろしくお引き回し頂きたく、伏してお願い申し上げます。
松友さんへ
スプリングバンクの追加です。マクロード社から三点同時頒布、すべてシングル・カスクのカスク・ストレングス。値は17349、18106、19114の順です。カスクのコンディション次第ですが、安いと思います。ただ、事前に味見ができないので私は見送ります。
スプリングバンク'75,'75,27年,53.7度,バレル, ,(イアン・マクロード),チーフテンズ,
スプリングバンク'74,'74,28年,55.0度,バット, ,(イアン・マクロード),チーフテンズ,
スプリングバンク'72,'72,30年,46.0度,ホグスヘッド, ,(イアン・マクロード),チーフテンズ,
稲葉真弓さんの「風変わりな魚たちへの挽歌」が河出書房新社から上梓されました。発売日は4月30日、編集は太田美穂さん、装幀は菊地信義さんです。全員が店のお客さんでもあり、安原顕さんの古い友人でもあります。表題作の他、四篇が収録されていますが、表題作は「海」83年2月号に掲載されました。既に二十年前のことになりますが、その前後、稲葉さんや安原さんと繁く飲み歩いたことを思い起こします。「これからの幻想小説を担うのは稲葉だよ」との安原さんのにぎやかな声がいまでも聞こえてきます。「風変わりな魚たちへの挽歌」一篇に彼も私も酔いしれていたのです。
稲葉さんは愛知県生まれ、73年「蒼い影の傷みを」で婦人口論女流新人賞、80年「ホテル・ザンビア」で作品賞、92年「エンドレス・ワルツ」で女流文学賞、95年「声の娼婦」で平林たい子賞を受賞、他に三冊の詩集がありますが、そちらは12月に掲示板で書きました。
稲葉真弓さんと太田美穂さんが二十八日にですぺらへいらっしゃいます。サインなら可能と思います、稲葉さんの著書をお持ちの方はどうぞ。
26日のモルト会に佐々木幹郎さんがいらっしゃいます。昨年、書肆山田から詩集「砂から」が上梓されています。佐々木さんは高橋睦郎さんと一緒にスコットランドからアイルランドを旅行なさっています。シングル・モルトには一家言お持ちの方です。にぎやかな会になりそうで、私も楽しみにしております。
山崎剛太郎さんの著書「一秒四文字の決断──セリフから覗くフランス映画」が春秋社から上梓されました。山崎さんがフランス映画の字幕翻訳を手掛けられて半世紀になりますが、その間、折に触れて綴られた文章をまとめしもの。映画ファンにはこたえられない一本と申せましょう。
1985年7月に山崎剛太郎さんの小説集「薔薇物語」が雪華社から上梓されました。当時、私は雪華社の編集長でした。「戦前の短い一時期の、甘美な憂愁の空気を湛え」た作品、「一人の若くして虐殺された作家」の悲しみとはかなさを封じ込めた作品に魅せられて「薔薇物語」を出版したのです。栞は立原道造、堀多恵子、加藤周一、高野悦子、中村真一郎、小山正孝、矢内原伊作、白井健三郎、新庄嘉章という豪華メンバーで、中村真一郎さんは栞の他、書評まで著して下さいました。立原道造が示唆するのは堀辰雄のそれとは異なるユニークな悲しみであり、プルースティアンに相応しい肌理の細かい文体への共鳴でした。
文学からリリシズムが喪われて久しくなります。「一秒四文字の決断」によって清澄な氏の文章にふたたび巡り会い、颯爽とした氏の声貌に接する機会を与えられたことに感謝致します。
「出版をお祝いする会」は2003年5月31日(土)正午より2時まで。
品川駅前のホテルパシフィック東京 白珠・漣の間。会費は10000円。
連絡先は株式会社春秋社総務部内「山崎剛太郎さんの著書出版をお祝いする会」事務局。
千代田区外神田2ー18-6 電話03ー3255-9610です。
なお、出席の連絡は5月6日までにお願いします。
一考様
頃合の悪さは隠しようもなく御容赦下さいませ。
スプリングバンク詳細追加の御教示痛み入ります。醸造年からいえば'72,30年がとても興味をそそるところです、この御歳でこの価格というのも。ですが、御値段記述して大丈夫でせふか、ちょっとふあん(;´Д`)
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