ですぺら
ですぺら掲示板1.0
1.0





« 前の記事「鴉の失意」 | | 次の記事「スプリングバンク追加」 »

一考 | さりげないとは

 Mさんへ
 昨夕は恐縮、貴方を励ますどころか、私があの体たらくでは問題です。飲み屋は非日常でないといけないのですが、歳とともに涙腺のゆるみっぱなしです。一月十四日以降、酒が入ると悲しくなるのです。済まなく思っております。
 「真っ向から意見を述べるのではなく、もう少しさりげなく書けないのか」とのご指摘、忝なく存じます。「種村季弘の箱」編集の折に吉行淳之介さんの「『幻に化す料理』集成」を再読、改めて驚かされました。「食物漫遊記」を「幻に辿り着く」物語と見立てての話なのですが、その趣向、その呼吸、いずれをとっても美事。種村さんの人となりとその嗜好を描いて比類ない逸品と思いました。薄田泣菫を持ち出すまでもなく、肯綮に中る名品とはさりげない文章のなかにしかあらず、達意の文章とはこういうものよと畏れを抱きました。また、「隠し味」をた
 菊地信義さんからは、メタファーが読めない編集者ばかりになってしまいました。これでは玉も石もごた混ぜにされてしまいます、とのご指摘を受けました。もっか、自分を相手のアナロジーに苦戦しておりますが、自分自身を編集の対象にするのは至難の業なのです。だからこそ、貴方のような好敵手を得たことを喜んでいるのです。御迷惑と存じますが、今後ともどうかよろしくお引き回し頂きたく、伏してお願い申し上げます。



投稿者: 一考    日時: 2003年04月23日 16:13 | 固定ページリンク





« 前の記事「鴉の失意」 | | 次の記事「スプリングバンク追加」 »

ですぺら
トップへ
掲示板1.0
トップへ
掲示板2.0
トップへ


メール窓口
トップページへ戻る