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一考 | 強制終了の夜

 川上さんへ
 『恋する肉体koisuru karada』の飛鳥新社からの上梓、おめでとう御座います。
 ちょっと難産のようでしたが、処女歌集に相応しい品のある本になりました。表紙に用いられた貴女の裸体写真も素敵に収まりました。歌人としての技術云々は申しません。腰巻にも著されていますように、貴女の奔放で無垢な感性が短歌の形を借りただけと私は思っています。まだ一年足らずのお付き合いですが、性愛に対する貴女の照射角度のユニークさには舌を巻いております。当掲示板の方々にも購入をお薦めしたいので十首ほど引用させて頂きます。

   つい先刻(さっき)逢ったばかりの男性(ひと)の手を握りしめてる
   堕ちないように
   眼を閉じて舌を絡めてふと気付くあなたの顔が思い出せない
   そそくさと離れて事後の処理をするどの男性(ひと)の背も同じ表情
   左手の指枷(リング)窓から放り出し最早誰にも飼われまいとす
   肉の芽に性具を押し当てて果つる・強制終了・の夜
   クシャクシャに丸めて欲しい掌(て)の中でどんな形も思いのままに
   ・好きだよ・と云って気持ちは無くていい刹那の我が溢れ出すまで
   道端にツバ吐くような射精して「ごちそうさま」のある筈もなし
   してもいぬ目隠し気付けば外されて少女の我を殺せしアナタ

   禽獣の咽喉(のど)にタオルを詰め込んで突き殺すまで壁薄き檻

 初めて原稿を読ませて頂いた折の印象は仏蘭西のすぐれた心理小説、恋愛小説に触れた時のそれと共通するものが御座いました。貴女のなかには間違いなく男女を超えた表現者としての眼差しが息づいています。あまりにも素直、あまりにも実直な貴女と表現者としての貴女の意思、そのあわいをこれからいかように埋めていかれるのか。貴女と共に同時代を生きるという愉しみをお与え下さったことに感謝致しております。必ずや、次回は短編小説を試みられるよう願い上げます。



投稿者: 一考    日時: 2002年05月28日 10:31 | 固定ページリンク




一考 | トミーカイラ

 Siestaさんへ
 フェラーリやマセラティは美術館で観るものであって乗るものではなさそうです。アルファロメオ、フィアット、ランチア、ランボルギーニ、アウトビアンキ、デトマソ、イノチェンティ等、他の伊太利亜メーカーと比しても前記二車種は別物ですね。それにしても、セカンド・ギアで160キロまで延びるような車を日本のどこで走らせるのか、かねてより疑問に思っておりました。
 ところで、そのフェラーリやマセラティを置き去りにするような車がわが邦でも造られています。軽さを徹底的に追求したレーシングカーに一番近い市販車として売り出された京都のトミーカイラのZZやRがそれです。
 ZZのボディは主としてアルミ押し出し材で構成されていますが、それにRB31系の200psのエンジンを搭載、車重わずかに710キロです。私の車は300psですが車重は1500キロもあります。
 他にZZ-2、ZZ-3があり、ZZ-2はGT-RのエンジンをチューンしたRB27DETTを搭載、550PSで4輪を駆動して(2駆仕様も可能)最高速度は330km/hを超えます。
 これではフェラーリやマセラティはおろか、GT-RやRX7やNSXですら取り残されます。ステージア260RSオーテックバージョンが世界最速のワゴン車なら、ZZは文句なしに世界最速のレーシングスポーツです。
 当掲示板に写真を掲載できないのが残念ですが、精悍ないい面をしていますよ。ちなみにZZに用いられたアルミ材、すなわち9000番台の超々ジェラルミンのトリプルバテッドのパイプはアラヤのフレームにも使われました。カンパと今はなきサンツアーのパーツを組み込んだ私の愛車の一台です。

 追伸。
 マクギボンの新規入荷のご教示に預かり恐縮致しております。日曜日は車の陸送で忙しいので、土曜日に葛西の河内屋へ出掛けました。さっそく伊藤さんと松友さんが試飲されていましたが、オスロスクのカスクは絶品。5年ものであれだけの香味があるのは嬉しいですね。他にハイランドパークとロイヤル・ブラックラの5年ものカスク・ストレングス、それに仏蘭西で売られているシールダイグのカリラ10年ものを購入致しました。



投稿者: 一考    日時: 2002年05月28日 12:08 | 固定ページリンク




一考 | 書誌学

 京都在の中村さんへ
 かつて私が編みました澁澤龍彦著作目録は意図して省いた書物が少なからず御座います。さして意味があるとも思われない異装本もぞんざいに扱っています。原稿の誤記、私の勘違いも御座います。澁澤さんが亡くなられたあと、あの短い期間で可能な精一杯のことをしたつもりなのです。従って、貴方のような奇特な方が完璧な著作目録を作られるのを待ち望んでいたのです。
 今回の種村季弘さんの著作目録もそうですが、本人が掲載を拒む書物を掲載するのは私には出来ません。生前にお付き合いがあればそのようなケースも多々あろうかと思います。関係のなかった方でなければ完全な目録を拵えるのは不可能なのです。澁澤さんの場合も種村さんの場合も「目録抄」と敢えて記したのはそのような理由があってのことなのです。
 話序でに一言。歴史学者のとなえる芭蕉、国文学者のとなえる芭蕉、または各地の地方史を研究なさっている方々のとなえる芭蕉、俳人のとなえる芭蕉等々、それらには言わずもがな大きなもしくは些細なずれが生じます。そのずれを縦横に月旦するのが書誌学であって、著作目録をつくるのを書誌学とする昨今の風潮は私にはまったく理解できないのです。
 わが邦における書誌学の一端を学ぼうとすれば青裳堂書店から上梓されている「日本書誌学大系」を繙くの他なく、もし文章を著す才覚がないにもかかわらず文学との関わりを断つことかなわずに著作目録を拵え、それを持って書誌学と名付けるならばまさに笑止千万。
 もっとも、貴方はそのような方とは思われません。今後澁澤さんの著書に対するご感想を著されることを強く望みます。
 当掲示板には澁澤さんのファンも多く、ぜひ中村さんのホームページをお訪ね下さい。

 http://www08.u-page.so-net.ne.jp/xc4/candy/shibusawa/index.html



投稿者: 一考    日時: 2002年05月28日 12:30 | 固定ページリンク




一考 | 三光長治さん

 ムーンさんへ
 三光長治さんのエッセイ集は「アドルノのテルミノロギー」です。87年5月に法政大学出版局から上梓されました。他に「新しいワーグナー像を求めて」とのサブタイトルを持つ「エルザの夢」が同じ出版社から刊されていますが、私はワーグナーに興味がなくそちらは購読しておりません。
 三光さんが翻訳されたアドルノの「ミニマ・モラリア」は名訳ですが、同書の106番と「アドルノのテルミノロギー」の60頁に著された同一性の問題を併せ読んだ時の眩暈のようなものを忘れることが出来ません。他に「荷風瞥見」と題するエッセイが収録されています。頗る噛み応えのあるエッセイです。
 三光さんとはじめてお会いしたのは瞑草舎の西岡さんの紹介、「青銅時代」の例会の席にて小川国夫さんも一緒だったと思います。私が存じ上げる仏文学者とは異なりさすがに独文学者、背筋を伸ばしての剛毅な飲み方に感服致しました。
 「青銅時代」の同人の著訳書からは小椋順子さんのドルヴィイ「レア」と金子博さんのボレル「シャンパヴェール」を出版しました。

 過日、書肆山田の大泉さんから頼まれて森乾について調べ事をしたのですが、その森乾さんの著書「父・金子光晴」が同書肆より上梓されました。400頁に及ぶ大冊で2800円は安いと思います。西脇順三郎と共に金子光晴はいいですよ。お薦めの一著です。



投稿者: 一考    日時: 2002年05月28日 13:05 | 固定ページリンク




松友 | デラヘイ135Mも

 漸く観て参りました「フェラーリ&マセラティ展」。今回の展示はキュレーター氏が造形に重きをおいて選択した旨パンフレットに記載がありましたが、正にその通りでした。この展示車両達、恐らくは個人オーナーさんや複数の博物館殿の協力無くしては一堂に会すことは無かったのでしょう、大感謝です。マセラッティは初対面の機種が多く感動もひとしおでした。又、入り口付近のスケール・モデル群の中の大阪万博にやって来たモデューロにも暫し見入ってしまいました。
 既に乗るものである事から離れ展示するに相応しい車があるというのは納得です。この範疇の四輪として、埼玉県は大宮駅傍の「オールドロコ ハタ・クラシックカー博物館」の白眉、1948年式デラヘイ135Mも是非加えさせて下さい。まるで往年の夜会の御婦人方のドレスの如きスタイリング、内装の典雅さは圧倒的です。同車は元々ボディーがオートクチュールであり、コンクール・デレガンスに出場する類のものですので、至極当然の事としてスタイリストが腕を揮ったのでしょう。尚、同博物館はブガッティも数台所蔵し、クラシックカー好きには堪らない場所です。
 名前:オールドロコ ハタ・クラッシックカー博物館
 住所:埼玉県大宮市下町3-7大宮ハタプラザ内
 電話:048-648-0065
 時間:10:00~18:00(毎週月曜日、月曜が祝日の場合その翌日休館)

 さて、話を挫く様で申し訳御座いませんが、トミーカイラZZの最初の型は生産中止が決定しており在庫のみの販売ではなかったでしたっけ、と。少し検索してみますと総生産台数は206台。トミーカイラは今後オートバックスと協力し「ガライヤ」なる車を計画中であると風の噂に聞いております。この中でZZ-2は「RS-01」として既に発表しておりますが、ZZ-3は、どうなるんでしょう。はて。
「ガライヤ」についてはこちらで ttp://www.autobacs.com/asl/
 トミーカイラZZはアルミ押し出し材を車体骨格の基本に用い、その設計思想はロータス・エリーゼに近いものがあります。エリーゼの場合ですと主フレーム単体では何処か一箇所地面に着いていれば片手で楽々持ち上がる程の軽さ、しかも部材の取り付けを接着にて行っていました。恐らくはZZのフレームもかなりの軽さである事が期待され、走りに大きく貢献していると思われます。軽量化が果された車はタイヤの接地状況を常に感じている方が好ましいと存じますが、もともと余裕があるので、やはり操る楽しさが大きいです。何れにしましても高価な車を振り回すのはきっと勇気がいるのでしょうねぇ、と勝手に心配してしまいます。

付記:マクギボンの新規入荷分、大変興味深く、且つ美味しく頂戴いたしました。5年であれだけの香り、舌触り、味が愉しめるというのはちょっとした驚きでした。この場をお借りまして御礼を申し上げます。



投稿者: 松友    日時: 2002年05月29日 19:09 | 固定ページリンク




一考 | 眷恋の人

 29日水曜日朝、矢川澄子さんが黒姫山麓の自宅にて自死なさいました。享年71歳。 矢川澄子さんとは二十歳前からのお付き合いです。澁澤龍彦さんが亡くなられた時は銀花誌上で二人きりの追悼特集を組みました。中井英夫さんが逝かれた折は二人で遺骨を拾 いました。今回、彼女の骨を拾うことすら私にはかなわず、愛する人の死に大きな衝撃を 受けております。種村季弘さんは旅に出られました。私はですぺらを抛り出すわけにいか ないのですが、当掲示板を含め他のすべての作業を一週間休止致します。(この項目の初稿は削除されました)



投稿者: 一考    日時: 2002年06月01日 11:22 | 固定ページリンク




薫子 | 今夜

矢川澄子さんはですぺらの大切なお客様でもありました。
今宵、内輪で矢川さんを追悼しつつ、一考が酔いつぶれたいと申しております。
矢川さんの葬儀の模様などもお話するかと思います。
ご都合のよろしい方はお越し下さい。



投稿者: 薫子    日時: 2002年06月01日 15:29 | 固定ページリンク




ゆきち | 2chの澁澤、矢川関連スレッド

どうも、ゆきちです。昨日は大変お世話になりました。非常に有意義な夜を過ごせたと思っております。

で、早速ですが、昨日話していた、2chでのスレッドです。

http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/972233886/
澁澤達彦好き集まれ!

http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1022850540/
矢川澄子が自殺?

たいした内容ではありませんが、お話になっていた「最近の若い読者」の様子がつかめるかもしれません。ただ、一部頭に血が上りそうな発言もありますので、お読みになる方はお気をつけください。

また
Yahoo!掲示板で「矢川」でも検索結果
http://search.mb.yahoo.co.jp/search?R=&sid=&M=g&p=%CC%F0%C0%EE

同じく「澁澤」での検索結果
http://search.mb.yahoo.co.jp/search?p=%DF%A7%DF%B7&M=

とりあえず、目についたのは、以上です。
一助になれば。



投稿者: ゆきち    日時: 2002年06月02日 10:48 | 固定ページリンク




一考 | ありがとう

 ゆきちさんへ
 早速ご教示いただき恐縮です。
 どなたが編纂なさるのかは存じ上げませんが、遺稿集を編むのは難儀な作業になると思われます。単行本未収録の稿があまりにも膨大です。矢川澄子さんのお仕事を熟知なさっている方が複数担当するにせよ、優に半年はかかるでしょう。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月03日 15:58 | 固定ページリンク




御邪魔ビンラディン伊藤 | 童姦ぢゃ 息み下に下に 非直線

矢川さん急逝の報は ― しかも、病気や事故ではなく自死であったことには、少なからぬショックを受けています。一度ですぺらでお会いして、たいへん品のよい、好感のもてる方だという印象を受け、こうした方が、どこかで健在でおられるというだけで、日本という国もまだ捨てたものではないと思わせるだけのものが、かの女にはありました。少なくとも、死の前日までのかの女は、今の若い女性たちの生き方のひとつのお手本となるべき人ではなかったかな? (わたしにロリコンの気がなければ、おそらく、かの女のような女性をパートナーに選ぶであろうとまで、ここで断言してしまおう!) 好人物で作品はダメというのであれば、(一人の死について当然払われるべき敬意といったもの以上には)惜しむ必要はないのかもしれません。しかし、かの女には、これからもなお、豊饒な世界を展開する大きな可能性がありました。惜しんでも余りある急逝です。 
「その前に、今後噴き出るであろうゴシップに立ち向かわねばなりません。大変なことが起こると思われます、おそらく今月末にも。闘いがはじまります」という一考さんの発言には、全面的な支持と同時に、及ばずながら、何らかの応援をしたいと考えています。
一愛読者としては、生前に彼女を自死から守ることは(それだけの深い付き合いもなかったので)できなかった。そもそも、その機会というものがなかった。けれども死後の名誉は、なんとしても守ってやらなければならない。それが、せめてもの手向けになるのであれば……、といささか感傷的になっています。



投稿者: 御邪魔ビンラディン伊藤    日時: 2002年06月03日 18:18 | 固定ページリンク




一考 | お別れ会

 矢川澄子さんとのお別れ会は7月28日(日曜日)の予定です。詳細は追って掲示させて頂きます。
 相澤啓三さん、四谷シモンさん、高遠弘美さんはじめ、多くの方々がですぺらへ来られました。飲んだくれるしか能のない店主ですが、心のなかで皆様のやさしさに涙しております。また、編輯者各位のご協力により、遺された膨大な量の原稿の居場所もあらかた確認できました。遺稿集は三回忌を目指して編輯に入ります。それとは別に、青土社からユリイカの別冊で追悼特集号が、筑摩書房から「私の一世紀」が上梓される予定です。
 今回の矢川さんの突然の自裁に関して書肆山田の鈴木一民さんと大泉史世さんには多大なご迷惑をお掛け致しました。でも、誰かが防波堤になるしかないのです。お二方の尽力に満腔の謝意を表すとともに、いま暫くの猶予をお願い致したく存じます。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月04日 23:34 | 固定ページリンク




一考 | お詫び

 前項の書き込みはすべて予定であって、決定事項はひとつも御座いません。先走りましたことをお詫び致します。

 なお、「しょぼたま」のCDのレコーディングは、黒姫の矢川さん宅で行われました。矢川さんが深く関わりを持った「たま」のホームページのURLは以下のごとし。
http://members.tripod.co.jp/ukyup/t.html



投稿者: 一考    日時: 2002年06月06日 22:08 | 固定ページリンク




薫子 | お知らせ

明日、6月8日(土)6時よりですぺらにて、須永朝彦さんのカルチャーセンター講座の打ち上げ会が催されます。講座の生徒さんに限らず、須永さんのファンの方なら参加自由です。会費は3000円、よろしく♪



投稿者: 薫子    日時: 2002年06月07日 23:07 | 固定ページリンク




如月 | 下記の掲示板にも・・・。

↓の掲示板にも、矢川さんを悼む書きこみ発見しました。 http://www.ai.wakwak.com/cgi-bin/menote.cgi?book=aura-obscura:anoyo これも、故人の交遊関係の広さを物語るものといえるでしょう。



投稿者: 如月    日時: 2002年06月08日 15:56 | 固定ページリンク




薫子 | またまたお知らせ

 明日、いえもう今日ですね。朝日新聞の朝刊の書評欄に、種村季弘さんが
矢川澄子さんの著書について書かれたそうです。是非ご覧ください。
 ですぺら店主はここ一週間、きっちり毎晩飲んだくれては、
「僕が何を云いたいかというと、」とか「要するにだ、・・・」を
連発しております。入れ替わり立ち替わりお相手いただきました皆様、
ありがとうございました。店主にもそろそろ酔いを醒まして活動開始
してもらわねば。おい、こら、しっかりしいや。



投稿者: 薫子    日時: 2002年06月09日 01:24 | 固定ページリンク




一考 | 感謝

 成田さんへ
 貴重な資料のご送付にあずかり感謝致しております。
 貴女のような方が当掲示板を支えて下さっているのです。ところで「大道あやというひと」が掲載された雑誌名と刊行された日付を御教示頂けないでしょうか。
 「手頃なボーイフレンドと一緒に暮らし、あとは犬たちと烏骨鶏何十羽と」がいれば、タケノコを肴に昼から酒盛りもできたのですが、このような結論を得るしかなかったところに、深い悲しみと憤りを覚えます。長崎へ行く機会にはいまだ恵まれず、年内にでも訪れてみようかと思っています。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月09日 19:27 | 固定ページリンク




一考 | 重ねてお詫び

 あまりにプライベートなことを書き込み、関係者各位の逆鱗に触れました。今後、矢川澄子さんに関する書き込みをすべて中止します。御迷惑をお掛けした皆様に深くお詫び致します。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月09日 19:29 | 固定ページリンク




一考 | 吉岡実詩集「赤鴉」

 五月三十一日は吉岡実さんの十三回忌でした。私は都合で出席できなかったのですが、当日「赤鴉」と題する詩集が参加者に配られました。発行所は弧木洞、限定七十二部の配り本ですから、一般への頒布は御座いません。ご送付くださった吉岡陽子さんに感謝致します。
 同書に附された吉岡陽子さんの「覚書」には「元となったものは、若い吉岡実が、B五版の原稿用紙にペンで清書をしたもので、赤いクロスの厚表紙で製本し、背に横書きで『詩集 赤鴉 吉岡実』と黒く箔押ししてありました。作品に付された日付から、昭和十三年から十五年初めにかけて書かれたものと思われます」と著されています。
 「戯欷」「奴草」の二部構成になっていますが、後者は句集で、前記稿本に含まれていない句作と共に近く形を改めて刊行の予定とか。楽しみな一本です。

 同じ五月三十一日に書肆山田から秋本幸人さんの「吉岡実アラベスク」が上梓されました。四百九十頁に及ぶ大冊であり、実に多様なアプローチが繰り返しなされています。
 「詩でね、変わらない詩人がたくさんいるでしょ。ぼくはやっぱり、絶えず変わりたい。(中略)そうありたいのね。ありたいってことが真実なのか自然なのかわからないんだけどね。やっぱり百年一日同じ詩を書く人も偉いと思うんだけど、ぼくたちは、すべて考えも変わり、環境も変わる。やっぱり変わらざるをえないという感じね」との吉岡さんの言葉をキーワードに、吉岡詩の変遷をたどった「吉岡実の《引用詩》」と「吉岡実晩年の詩境」は特に圧巻。
 死後すっかり現代詩の舞台から忘れ去られた感のある吉岡実さんへの処遇に、かねてより義憤を覚えていた私には最良の贈り物となりました。
 私自身かつて「括弧で括られた〈引用〉への旅」との文章を著したことが御座います。吉岡実さんへの追憶なのですが、一部分を引用して吉岡さんを偲びたく思います。

 柳田国男のいう「俳諧の功力」を抜きにして吉岡詩は語られない。荘周の哲理を何もかも承知の上でおどけとパロディの「俳」に焼き直した松尾芭蕉。その芭蕉を回向し直して上前をはね、大胆この上ない「崇高な諧謔」を示唆した西脇順三郎。また金沢で出会った内藤丈草と夢の共喰いに狂じ、蓑笠をかぶった諺をひねって逝った滝口修造。そして〈引用〉という相互浸透の逆戻りのきかない流れのなかに身を置くことによって、「僧侶」の詩人という貌を剥ぎとり、原形質としての詩人を立ち昇らせようとした吉岡実。彼らにとって、詩とは機知であり、ウィットであり、イロニイであり、パラドックスであり、そして俳であった。
 吉岡実が換骨奪胎の名手であるという点については、おそらく誰しも異存のないところであろう。そしてその萌芽は『サフラン摘み』に収められた「ルイス・キャロルを探す方法」「『アリス』狩り」「示影針」などに容易に見てとられる。また時を同じくして吉岡実は『耕衣百句』を編纂する。この秀句選を手掛けることによって、相互浸透の手法を骨肉化していったものと、私は解釈している。この手法は後に『土方巽頌』という美事なコラージュ集を生む。
 ジャンルとは芸術家の背後にあるもの、彼の前にあるものではないと著したのはチボーデだが、吉岡実もまた、括弧で括られた〈引用〉の活用によって、すべての垣根を取り払い、自在な伸縮という新しい属性を言葉にもたらしたのである。〈引用〉されるものは必ずしも他者の言葉、すなわち作品とは限らない。絵画や音楽のタイトル、歴史や民俗学の断片、出典不明の文言、手を加えられもしくは新たに書き直された箴言、そしてかつて著された自らの作品までもが一人歩きし、勝手気ままに出入りする。括弧で括られた〈引用〉への旅、それは内と外との弁証法、すなわち〈内面性と膨張の弁証法〉に他ならない。〈俳に濡れそぼつシュルレアリスト〉吉岡実は晩年『サフラン摘み』から『夏の宴』『薬玉』を経て『ムーンドロップ』に至る四冊の詩集を遺した。それはわが邦において、ついぞ見かけることのなかった新たな詩の誕生を明示している。土方巽の言葉を借用すれば、吉岡実の詩はまさに命がけで突っ立った碑(いしぶみ)であり、オブジェと化した観念そのものであった。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月09日 23:18 | 固定ページリンク




一考 | (無題)

 例え一部とは申せ、過去著したものを掲示板に載せるとの無粋な真似をしましたのは、ただただ気分を変えたかったからに他なりません。高遠さんではないですが「お急ぎの方はお捨ておきください。」



投稿者: 一考    日時: 2002年06月09日 23:20 | 固定ページリンク




成田 | お受け取り頂きほっとしています


一考さま

雑誌を開いて頂けるかどうかが不安でコピーをお送りいたしました。
月刊モエ MOE 2002年7月号 白泉社です。
あやさんが住むオッペ美術館は、埼玉県の越生の山の中。
「安心しきってうたた寝までして・・」とあるその場の空気を深く吸い込みたい気持ちでおります。
どうぞ、ご自愛くださいませ。



投稿者: 成田    日時: 2002年06月10日 00:02 | 固定ページリンク




一考 | 埼玉県人会

 成田さんへ
 早速のご教示有難う御座います。
 同じ埼玉県の越生の山の中とは驚きました。もっとも拙宅は戸田ですので埼玉の南の端、すこぶる空気の悪いところで、雨が降るたびに白い車が真っ黒なシミに覆われます。三年前に引っ越して来た時には驚かされたものです。今度の日曜日は「うたた寝」の出来るキャンプ場でビールでも飲もうと思っております。
 これを御縁に当掲示板にお書き込み下されば幸いに存じます。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月10日 02:25 | 固定ページリンク




高遠弘美 | アスベスト館

昨日、一考さんのご文章にも何度か引かれてゐる土方巽の記念館に行つてきました。出し物は未亡人の元藤■(火へんに華)子さんも出演なさるポーの大鴉でした。73歳になられたとは思へないほどしなやかでお元気なご様子。それだけに、また今までの歴史を考へても、アスベスト館の競売売り立ての話は腹立たしく、國の文化行政と銀行を呪はずにはゐられませんでした。これはもう有志の意志で何とかできる事態を越えてゐます。
サッカーの予選で一点取つて勝つただけであれだけとち狂ふ莫迦莫迦しさを見ると、この國の先行きに絶望の二文字しか思ひつけないのはわたくしだけでせうか。元藤さんの踊りを拝見した当日だけに、その思ひを強くしました。



投稿者: 高遠弘美    日時: 2002年06月10日 16:10 | 固定ページリンク




一考 | 憂さ晴らしにもなりゃしない

 高遠弘美さんへ
 道頓堀へ飛び込んだバカが百五十人とか。戦後、力道山にはじまって映画俳優、そして歌手からスポーツ選手へと、アイドルの対象は変遷しますが、いずれも莫迦であることに違いはなく、その莫迦に入れ込む莫迦をなんと表現すればよろしいのか。政治家と芸能人とスポーツ選手は並の神経の持ち主には務まらず、やくざ以下で人間じゃないと安部譲二もどこかで書いていたように思います。そのような戯け者にうつつを抜かすような無意識かつ無定見なマジョリティーもまた、羞じらいなどには縁もゆかりもなき烏合の衆。
 当掲示板でも書き込みましたが、「日本ガンバレ」というようなことを臆面もなく声高に唱える人々こそが逡巡や懐疑に拘泥する少数派にとって最大の仇敵なのでしょう。なにも拘泥する必要はありません。ちょいと背中が気になる人、過去を消そうと消しゴムを持って徘徊するような人に勝ち負けは関係ないのです。飛び込んだバカが百五十人、そして死んだ阿呆が十五人であれば、いささか憂さも晴れたのですが。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月12日 23:15 | 固定ページリンク




 | 明日というか、もう今日ですが

お店に伺いたいと思います。
いえ、伺います。
一考さまにお会いしたいです。
ここでは、もう話題にされないとお断りされていらっしゃいましたので、
私も書きません。
ですが、友人のホームページの掲示板をよろしかったらご覧下さい。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~phasma/bbs.html
はじめまして。都といいます。



投稿者: 都    日時: 2002年06月13日 01:17 | 固定ページリンク




高遠弘美 | こんな若者もゐました

一考さま。仰言るとほりです。莫迦騒ぎが何とも気鬱です。
ただ昨日、ひとつだけほつとしたことがありました。勤務先で、わたくしのもとに遊びに来る学生たち(大半が男といふのが寂しいと言へなくもないのですけれど、それはともかく)がかう聞いてきました。いはく「どうしてサッカーにあれほど我を忘れて夢中になれるのでせうか」。またいはく「きちがひじみてゐませんか」等々。そのやうな若者たちがゐることに、やつとすこしだけですが、ほつとしました。道頓堀に飛び込んだり、渋谷で騒乱を引き起こしたりする者だけではないのですね。



投稿者: 高遠弘美    日時: 2002年06月13日 07:59 | 固定ページリンク




一考 | 新入荷

 上京してからのこの短い期間に、辻征夫、高橋康夫、宮園洋、曽根元吉、中村苑子、三橋敏雄、山本六三、矢川澄子と多くのすぐれた先達、知己を喪いました。
 想い起こせば二十年から十五年前、本づくりの情熱を掻きたてて下さっていた多くの作家が相次いで亡くなられました。夢をなくした私は装幀を編輯を避けるようになり、明石で蟄居に近い生活を営みました。赤貧洗うがごとし平成の丸十年、追い打ちのような大震災にも見舞われました。
 吉岡実さんの云う「ぼくたちは、すべて考えも変わり、環境も変わる。やっぱり変わらざるをえないという感じね」との言葉に大きく頷ける年格好にやっと至ったのでしょうか。いよよ投げやりに捨て鉢になって行くように思われます。
 「気に入ろうが入ろまいがお好きにどうぞ」では飲み屋の親父は務まりますまい。人品になんら魅力のないことは先刻承知、それゆえに酒だけは珍にして希なるものを取り揃えております。店主と酒、これも棄却と拾収、削除と捜聚の弁証法とでも申しますか。いかような場にもそれなりの葛藤とバランスはあるもので御座います。

 ジェームズ・マッカーサー社のオールド・フェッターケアンが入荷致しました。オールド・マスターズの一本。92年の蒸留になる10年もの、60.5度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。カスクナンバーは3022。オフィシャル・ボトルと比してナッツ系の香りが顕著。オーバン、クライヌリッシュ、ノックドゥーと共にハイランドを代表する銘酒です。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月13日 12:08 | 固定ページリンク




一考 | 宝物

 都さんへ
 貴女が入手なさった「架空の庭」は1960年に上梓された弥生書房版と思われます。奥付には鎌倉市小町410澁澤方と印刷されています。発行部数はわずか200部の希少本です。それにしても、野溝さん宛の献呈本とは驚きですね。大切になさって下さい。
 澁澤さんも矢川さんも本の美醜はまったく気になさらない方で、中身さえ読むことができれば結構という純な読書家でした。気に入らない函やカバーは棄てることすらあったのですよ。
 60年代後半から70年代の話でしたら何時でもお話致します。お会いできるのを楽しみに致しております。



投稿者: 一考    日時: 2002年06月13日 12:42 | 固定ページリンク




松友 | 「映画の斜陽か?革命前夜か?60~70年代 大手五社と寺山修司」(仮)特集

 度々闖入御容赦御願い申し上げます。松友です。
 「誘惑のイタリア映画」「円谷英二の技」と渋い企画上映を繰り広げるラピュタ阿佐ヶ谷で『「映画の斜陽か?革命前夜か?60~70年代 大手五社と寺山修司」(仮)特集』が予定されています。期間は7月21日(日)~9月28日(土)。
 上映作品は以下順不同、「エレキの若大将」「東京オリンピック」「クレージーだよ 奇想天外」「てなもんや東海道」「運が良けりゃ」「けんかえれじい」「にせ刑事」「博徒外人部隊」「人間蒸発」「人斬り」「田園に死す」「サード」「初恋・地獄篇」「上海異人娼館」「皆殺しの歌より拳銃よさらば」「ボクサー」「夕陽に赤い俺の顔」「さらば箱舟」「乾いた湖」「書を捨てよ町へ出よう」「かぶりつき人生」「進め!ジャガーズ・敵前上陸」「狙撃」「緋牡丹博徒・花札勝負」「心中天網島」「少年」「白昼の襲撃」「アッと驚く為五郎」「非行少年・若者の砦」「赤頭巾ちゃん気を付けて」「高校生ブルース」「喜劇・女は男のふるさとヨ」「奥様は18歳・新婚教室」「黒の奔流」「旅の重さ」「新兵隊やくざ・火線」「音楽」「股旅」「祭りの準備」。開映時間、料金は未定ですが、他詳細はサイトに掲示されています。
ttp://www.laputa-jp.com/
 さて、同建物の地下の劇場・ザムザでは演劇実験室◎万有引力の公演が行われていたのを最近やっとこさ知りました。よく考えれば同映画館のある阿佐ヶ谷は所縁のある土地なのですね。
 以上、勝手にお知らせでした。



投稿者: 松友    日時: 2002年06月13日 23:49 | 固定ページリンク




 | 昨晩はありがとうございました

素敵なお店でした。
一考さんをはじめ、皆様に御親切にしていただき、嬉しかったです。
また、ぜひ遊びに行かせて下さいね。
初めてでしたのに、私にはとても懐かしい場所のように思えてなりませんでした。
矢川さんを惜しまれる方が沢山いらして、少しですが、私の痛みも昇華したのではないかと思います。

桜井さんへ
「枢機卿」についてですが、ローマ教皇をローマ法王と呼んだ時期があったように「すうきけい」と呼んだ時期もあったようですが、現在は「すうききょう」と呼ぶようです。夫に教わりました。。。



投稿者: 都    日時: 2002年06月15日 02:51 | 固定ページリンク




如月 | 414

辞書でみましたところ、ラファエル風のという形容詞は、仏英ともに Rapfaelesqueでした。ラファエル前派もこれでいけるか、用例はみつかりません でしたけど、おそらくこれに「プレ」をつければいいのではないかと思います。   *   *   * ただし、この辺の正確なところは、みなさまにご教示いただけると幸いです。



投稿者: 如月    日時: 2002年06月15日 11:26 | 固定ページリンク




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