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上京してからのこの短い期間に、辻征夫、高橋康夫、宮園洋、曽根元吉、中村苑子、三橋敏雄、山本六三、矢川澄子と多くのすぐれた先達、知己を喪いました。
想い起こせば二十年から十五年前、本づくりの情熱を掻きたてて下さっていた多くの作家が相次いで亡くなられました。夢をなくした私は装幀を編輯を避けるようになり、明石で蟄居に近い生活を営みました。赤貧洗うがごとし平成の丸十年、追い打ちのような大震災にも見舞われました。
吉岡実さんの云う「ぼくたちは、すべて考えも変わり、環境も変わる。やっぱり変わらざるをえないという感じね」との言葉に大きく頷ける年格好にやっと至ったのでしょうか。いよよ投げやりに捨て鉢になって行くように思われます。
「気に入ろうが入ろまいがお好きにどうぞ」では飲み屋の親父は務まりますまい。人品になんら魅力のないことは先刻承知、それゆえに酒だけは珍にして希なるものを取り揃えております。店主と酒、これも棄却と拾収、削除と捜聚の弁証法とでも申しますか。いかような場にもそれなりの葛藤とバランスはあるもので御座います。
ジェームズ・マッカーサー社のオールド・フェッターケアンが入荷致しました。オールド・マスターズの一本。92年の蒸留になる10年もの、60.5度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。カスクナンバーは3022。オフィシャル・ボトルと比してナッツ系の香りが顕著。オーバン、クライヌリッシュ、ノックドゥーと共にハイランドを代表する銘酒です。
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