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一考 | 書誌学

 京都在の中村さんへ
 かつて私が編みました澁澤龍彦著作目録は意図して省いた書物が少なからず御座います。さして意味があるとも思われない異装本もぞんざいに扱っています。原稿の誤記、私の勘違いも御座います。澁澤さんが亡くなられたあと、あの短い期間で可能な精一杯のことをしたつもりなのです。従って、貴方のような奇特な方が完璧な著作目録を作られるのを待ち望んでいたのです。
 今回の種村季弘さんの著作目録もそうですが、本人が掲載を拒む書物を掲載するのは私には出来ません。生前にお付き合いがあればそのようなケースも多々あろうかと思います。関係のなかった方でなければ完全な目録を拵えるのは不可能なのです。澁澤さんの場合も種村さんの場合も「目録抄」と敢えて記したのはそのような理由があってのことなのです。
 話序でに一言。歴史学者のとなえる芭蕉、国文学者のとなえる芭蕉、または各地の地方史を研究なさっている方々のとなえる芭蕉、俳人のとなえる芭蕉等々、それらには言わずもがな大きなもしくは些細なずれが生じます。そのずれを縦横に月旦するのが書誌学であって、著作目録をつくるのを書誌学とする昨今の風潮は私にはまったく理解できないのです。
 わが邦における書誌学の一端を学ぼうとすれば青裳堂書店から上梓されている「日本書誌学大系」を繙くの他なく、もし文章を著す才覚がないにもかかわらず文学との関わりを断つことかなわずに著作目録を拵え、それを持って書誌学と名付けるならばまさに笑止千万。
 もっとも、貴方はそのような方とは思われません。今後澁澤さんの著書に対するご感想を著されることを強く望みます。
 当掲示板には澁澤さんのファンも多く、ぜひ中村さんのホームページをお訪ね下さい。

 http://www08.u-page.so-net.ne.jp/xc4/candy/shibusawa/index.html



投稿者: 一考    日時: 2002年05月28日 12:30 | 固定ページリンク





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