ですぺら
ですぺら掲示板2.0
2.0








耳の目眩い  | 一考    

 昨夜11時頃から目眩いがひどい。これでオートバイに乗られるのかしらと心配になった。血圧は145-80、116-63、134-74とまったく安定しない。帰宅後、右足のブーツが脱がれずもどかしい。あちらの壁、こちらの壁にぶつかりながらなんとか寝床へ潜り込む。暖房はつけっぱなし、明日になればなんとかなるだろうと信じる。

 夜が明けて目眩いはひどくなる一方、まるで三半規管が壊れてしまったようである。家の中で三度引っ繰りかえってしまった。間違いなくなにかがおかしいのだが、因果関係がまったく分からない。ぎりぎりまで様子をみるが、営業はできそうにない。

追記
 耳の目眩いが治らない。さきほど服を着ようとして立ち上がったところそのまま倒れ込む、トイレへ行こうとして壁に手をついたまま仰向けに引っ繰りかえる、営業開始以来、はじめての休日である。耳の目眩いに安静はよくないらしいが、とは申せ、安静以外にすることもなし。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月23日 15:42 | 固定ページリンク




Gマイナー  | 一考    

 増田さんと細川で唄ったのだが、唄いたい曲名をなにひとつ思い出せずに困った。実は二葉あき子の巴里の夜を思い出そうとしていたのである。二十歳前後の頃、浪速書林の梶原さんと会えば必ず飲み屋へ出掛けていた。そのうちの一軒が曽根崎新地にあったピアノバーだった。夫婦で営んでい、亭主がピアニストでママがシャンソン歌手、かつてレコードも出されていると聞いたが、なにひとつ思い出せない。レコードのタイトルはおろか、屋号すら記憶から消えてしまっている。
 谷沢永一さんもお連れしたと梶原さんが云っていたが、随分と洒落た店だった。随所にステンドグラスが埋め込まれ、磨かれたグランドピアノ、ロングドレスが似合いのママだった。そのママの唄を聞くのが楽しみで、用事もないのに浪速書林へ足繁く通った。
 ある日、ママの唄にあわせて口ずさんでいたところ、あなたも唄えばと薦められた。わたしには音が取られませんと云ったのだが、マスターがコードを上げたり下げたりしているうちに、なんとか唄えるようになった。巴里の夜はGマイナーなら唄えますよ、とママ。爾来、二葉あき子の唄の中でも巴里の夜は特別のものになった。
 素晴らしい店だったのだが、経営はままならず、梶原さんに金を無心するようなこともあったらしい。ほどなくして、新地からピアノバーは消えた。

 巴里の夜(昭和24年)二葉あき子

 水と情けは 流れてゆれて
 末はどこかで 消えるものなの
 ボンソワ ムッシュウ
 も一度あのひとに 逢えるなんて
 オウボア ムッシュウ
 夢のような お話ねえ

 旅の画家(えかき)の パイプのけむり
 風がないのに ゆれているのは
 ボンソワ ムッシュウ
 あきらめられなくって あいたくて
 オウボア ムッシュウ
 やるせない ためいきね

 パリーの夜も 今夜はこれで
 遠いあかりも 静かに消えた
 ボンソワ ムッシュウ
 ひとりで帰りましょう 河岸を
 オウボア ムッシュウ
 夜明け星 おやすみね


投稿者: 一考      日時: 2018年02月23日 15:26 | 固定ページリンク




猫まんま  |   一考

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 このところ良い魚と出合わないので、刺身盛り合わせを買っている。一昨日はしまあじ3切れ、鯛、サーモン、ボタンエビ2匹、イカ、マグロ2切れで390円。今日は鯛5切れ、マグロ3切れ、甘エビ7匹で369円。極力サーモンは避けているが、最近はサーモンを盛らないと売れないようである。サーモンを食わされるならまだマグロの方がましである。

 発端はウニ丼だが、先日、来住さんと丼物と猫まんまは同じでないかとのはなしになった。来住さんに云わせるとウニ丼などもってのほかで別々に食すべき、と。東日本では飯に鰹節、西日本では味噌汁をかけた飯を猫まんまと称するらしい。犬猫共に、腎機能がひとと比べて頗る低く、鰹節であれ味噌汁であれ極度の塩分過多となる。さらにネギやタマネギは赤血球内のカリウムが血液中に流出し高カリウム血症をもたらし死に至る。
 犬猫における貧血はともかく、松屋では牛丼を牛めしという。これは犬飯を連想させてよろしくない。ねこまんまは戦国時代の昔からあるが、庶民が飢餓をしのぐ食料の中心的存在であった。間違いなく、紳士淑女の食べ物ではなく、貧民の餌とみるべきである。昔、永瀬さんから天丼や牛丼なんぞ人間の食べるものではないと叱られたのを思い出す。とはいえ、わたしは海鮮丼には目がない、磯魚は地域で異なる、それを安直に知るには海鮮丼が最適なのである。しかし、それとて刺身盛り合わせと飯を別々に頼めばよろしいのである。かつて料理人は主食におかずを乗せることを忌避したという、要するに握り寿司すら料理ではなかったのである。


投稿者:   一考  日時: 2018年02月21日 23:18 | 固定ページリンク




ジェラシー  | 一考    

 出版社から飲み屋へといろんな仕事をしていたので、行く先々で税務申告をしてきた。してきたといっても、わたしがしていたわけではない。常に同居する連れ添いにお願いしてきたのである。従って、わたしには税務というものがまったく分かっていない、もっとも儲かっていないのだから分かるも分からないもないのだが。しかし、今回はそういうわけにも行かない。年末の源泉徴収すら申告していないのである。半額だが年金も頂戴している。申告しないわけにはいかない。
 青色申告か白色申告かそこからして分からない、もっか相談する連れ添いがいないのである。女房がいながら連れ添いがいないとは不思議なはなしだが、そうなっているのだから仕方がない。われながら妙なシステムを構築してしまったものである。もっとも、わたしのような半病人を抱え込むような酔狂な女性はいないだろう。それもこれもわたしの遊び、身勝手がもたらした結果である。病気を発症してやっと遊びは収束したものの、否、終息やもしれず。

 はなしは変わるが、先日妙齢の女性が来店、「下世話なはなしですが、嫉妬についてお訊きしたい」と。わたしはてっきり男のはなしだと思ってはなしを進めたが、女性が自らの嫉妬に悩んでいるようである。通常男は一回でも肉体関係を持つとまるで自分の持ち物のように女性を扱う。嫉妬と所有が表裏一体となっての暴力的事件は枚挙にいとまがない。しかし、考えてみればその逆だってありうる。「まさき」の阿部定事件も類似する猟奇事件が繰り返されている。
 阿部定はさておき、タンゴでいう哀愁と情熱は愛とジェラシーに置き換えてなんの問題があろうか。愛あっての嫉妬であり、嫉妬あっての慈しみである。嫉妬はよろずの苗床であって思い切って身を任せればよいのである。生きるに際し、格好よいとか悪いとかはおよそ意味をなさない。老いて分かったのだが、セックスは押しつけがましい属性のひとつであって、交接抜きで愛し合うことも可能である。
 自信家は別にして、ひとは煩悶し、憂えるところからなにかを生む。おそらくひとがもっとも大切にしなければならないものはジェラシーでないだろうか。いつも書いていることなのだが、これで受け答えになったであろうか。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月21日 21:33 | 固定ページリンク




電圧計  | 一考    

 オートバイに電圧計と温度計とUSB端子がセットになったものを付けた。現行のバイクには無用の長物だが、旧車に電圧計は必需品である。開放型のバッテリーは自己放電が激しく、精製水の補充といったメンテナンスが欠かせない。それゆえ、電圧計が必要なのである。バッテリーを短命化させるが、急速充電が可能との利点もある。
 最近MFバッテリーでありながら、電圧計に電流計、さらに水温計や油温計、油圧計、ブースト計(バキューム計)まで付けている四輪をよく見る。ならば、地震予知計や放射能計もつければよろしいのに。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月21日 21:09 | 固定ページリンク




増田秀光さん来店  |   一考

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 となりの細川スナックで駄弁ってい、店へ戻ると奥のストーブの前に増田秀光さん、明石は寒いとのご挨拶。北海道、東北、北陸、それに沖縄を除くと、北から南まで気温は似たようなもの、なにはともあれウイスキーをと、20本ほどある美酒のなかから選択する。
 こちらのですぺらでは文学のはなしは法度だが、相手が増田さんだとその限りにあらず。例によって赤坂のつづきである。いろんな編集者と付き合いがあったが、彼はわたしに肉声を書かせた張本人、言い換えれば、わたしに対する重犯罪人である。彼に出合うまで、知識の切り売りに終始していたわたしを彼は糾弾したのである。彼がいてこそ、はじめてわたしは肉声を語ることができた。そういう希有な出会いは確かにある。馬が合うというのか、合わせていただいたというべきなのか。10枚ほどでよいとの意見を無視してながながと郁乎本の解説を書かせていただいた。編集者すなわち黒子との立場を離れて、毒舌を認めたのである。
 某詩人が結婚し、一週間もしないうちに神戸へ舞い戻り、夜な夜な寝床へ男が来る、そのようなことが許されるのでしょうか、との一言に、彼女は間違いなく一級の詩人になると固く信じたこと、生田がばらまいた怪文書の数々、谷さんや六三さんとのこと、谷沢さんや米朝、種さんとの晤語、智満子さんおよびその友人のおっぱいのはなし、往時の鎌倉文士の相関図など、はなしは途切れることなく続けられた。彼は彼で、小夜子さんと名刺交換をし握手もしたと、嬉しそうに話していた。挙げ句は細川で歌を唄おうとママを連れて閉店した店を開けさせる始末。唄うのは十余年ぶり、よって声は出ないしリズムも音程もとられない。でも彼と大声を張り上げるのはなにものにも代えがたい快感だった。
 深夜の3時、増田さんは宿へ、わたしはバイクで帰宅、明石は大丈夫だったが、家の近辺では細雪がちらついていた。彼が泊まった明石キャッスルホテルは曰く付きの部屋とやら、どこのホテルにも物置に使っている部屋がある。それを曰く付きと称するのだが、きっと心中があったに違いないとママと二人して冷やかす。次回は幽霊の足が何本あったのか尋ねたいと思っている。

 キャッスルホテルは西明石にもあって詰まらないホテルだが、ホテルキャッスルプラザは永瀬さんが利用していたステキなホテルである。彼女と一緒に泊まりたかったのだが。増田さんともはなしたのだが、老いてこそ智満子さんや広政の夢をよく見る。

追記
 写真は吉岡さんと大泉さん、撮影は鈴木一民さん。吉岡さん行きつけの渋谷・道玄坂の喫茶店トップの前で。


投稿者:   一考  日時: 2018年02月20日 03:21 | 固定ページリンク




タンゴその他  | 長谷川    

ブナハーブン8年(へビリーピーテッド)、リパ・デッレ・マンドルレともに届きましたが、秩父(ウイスキー祭)へ遠征していたこともあり今週末は飲まれず、すこし先の抜栓となりそうです。前者はお店でいただきましたが、後者については改めて感想をお伝えします。G&Mのブナハーブン8年、シェリーホグスヘッドのもう1本は以前に注文しましたが、クリーミーな甘みながら輪郭がぼやけた感は否めなかったので、過日いただいたピーテッドボトルの香味には驚きました。

Ruben Lopez Furstは他ならぬこの掲示板で、一考さんから教わったピアニストです。
http://www.despera.com/bbs2/2013/05/post_1677.html
「南米の」と称されるとおりBill Evansに通ずる響きがありますが、彼独自の歌心とリリシズムを聴き取ってしまうとやみつきになりますね。今や大好きなレコードです。

一方「アルゼンチン絡み」のタンゴ曲集にも吃驚しました。と言うのも私は大のタンゴファンで、5年ほど前からギターでタンゴを弾くべく先生について勉強しているからです。貼られたリンクは踊りをフィーチャーしたものでしたが、タンゲーラやエルチョクロなど古典の名曲を堪能しました。
僭越ながら私からも、鍾愛のタンゴ歌手Julieta Ghibaudo(フリエータ・ヒバウド)の映像リンクを貼らせていただきます。
https://www.youtube.com/watch?v=H5rCnlPi81A
ギャビー・モレノについて一考さんも書かれていますが、女声で唄われる気っ風のよさと独特のコケットリーはタンゴ・カンシオン(歌のタンゴ)に特有の魅力と感じています。

Minaはまさにミーナ・マッツィーニのことです。ただこれは私の勘ちがいで、一考さんが何度か掲示板に認めておられるのはオーラ(ジリオラ・チンクエッティ)でしたね。
なぜか彼女の唄うロシア民謡『悲しき天使(Quelli Erano I Giorni)』が懐かしく思い出されます(この曲はダリダも唄っていた気がしますが...)。
https://www.youtube.com/watch?v=Wl23UftFUxo


投稿者: 長谷川      日時: 2018年02月19日 00:29 | 固定ページリンク




ブナハーブン・ヘビリーピーテッド  | 一考    

 ブナハーブンにはトチェックとのヘビリーピートタイプがありますが、わたしはGMの方が旨いと思います。本ボトルにはなにも記載されていないのですが、1997年蒸留、2005年ボトリングの8年ものリフィルシェリーバットだと思います。なぜなら、同じ2005年にシグナトリーからボトリングされているのですが、香味がまったく同じでした。かくまで似たウイスキーが存在するのだろうかと訝しく思っています。
 まったく同じボトルがGMからもう一本頒されていますが、ヘビリーピーテッドと記載された方にしてください。

 わたしはビル・エヴァンスが好きなので、当然ルーベン・ロペス・フルストも好きです。しかしあなたからフルストのはなしが出るとは不思議でした。わたしはジャズのはなしは滅多なことでしないのです。Jazz En La Universidad は良いですね。
 アルゼンチン絡みですが、このところタンゴばかり聴いています。RoxanneやSanta Maria、Assassin's、Asi Se Baila El Tangoといったアルゼンチンタンゴの脚芸に魅せられたのです。

 https://www.youtube.com/watch?v=64HLXWjbJxE&pbjreload=10

 https://www.youtube.com/watch?v=hXOlG20bO9A&pbjreload=10

 https://www.youtube.com/watch?v=ic4PQ-tnwJw&pbjreload=10

 https://www.youtube.com/watch?v=vr8HcHbzAmE

 4曲目は重複していますが、わたしが好きな踊り子がちらっと出てきますので。
 あまりにも知られた曲ですが、ギャビーモレノの声にも魅せられました。唸るような声があの身体でよく出るなあと思います。

 https://www.youtube.com/watch?v=lQawVOeVOoE&list=RDlQawVOeVOoE&pbjreload=10

こちらはオマケ。

 https://www.youtube.com/watch?v=9Pes54J8PVw&pbjreload=10

 Minaってミーナ・マッツィーニのことですか。あの時代のイタリア映画フランス映画はくまなく観ています。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月13日 03:23 | 固定ページリンク




ワインの輸送  | 一考    

 久しぶりですね。あなたほど詳しくはないのですが、わたしも暫く運送屋で働いていたものですから分かっています。周さんは普通の倉庫と書かれていますが、北関東ならびに東北の方の某大手運送会社(東京への集積所)では野積みでブルーシートを被せていました。夏場などブルーシートの下は80度から90度になります。そのような沸騰したワインを業務店で適温に冷やしたからといって、旨いといいながら飲む無神経さが分かりません。
 一ツ木通り時代にはワインの運送会社は2社しかなく、その内の1社の女社長が常連客だったのです。彼女からはいろいろ伺いました。今度旨いワインが這入るが、インポーターはどこ、販売される酒屋はどことどこといった具合です。わが国に這入るすべてのワインを掌握なさっていました。大半は銀座の百貨店ですが、酒屋では田中屋が這入っていたのはいうまでもありません。呆れかえったのは東京でベスト3に這入る有名ワインショップ2店が上述の某大手運送会社を使っていたことです。
 もうひとつ云っておきたいのは、知られた酒屋はセラーや冷蔵庫をずらっと並べながら、夜は電源を落とします。どことは申しませんが、余計に電気代がかかることすらご存じないようで、二重三重に呆れかえりました。ワインに限らず、酒は常温で飲むものであって、決して冷したり氷を入れたりするものではないのです。もっとも香味が生きるのは常温だと確く信じています。

 ですぺらのマグナムボトルは2種あってひとつはサンジョヴェーゼ、いまひとつはサンジョヴェーゼにメルローとカベルネを少量加えたものです。ミディアムですが、ボジョレーヌヴォーのガメよりよほど旨いと思います。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月13日 02:20 | 固定ページリンク




輸送の温度管理  | 周    

ご無沙汰しています。

ワイン輸送に本格的な温度管理が整備されたのはここ3年ほどのことだと思います。それまでは船に積んで放りっぱなしという風に、某大手運送会社から聞いております。例え温度管理のきく航空便できても、国内では普通の倉庫で保管されていて、とても品質管理と言えるような状況ではありませんでした。一考さんのご指摘の通り、いまでもまともにワインを扱える輸送会社は少数です。運送費を削りたがる輸入元が圧倒的に多いのも理由だと思います。3年くらい前から資格をもった担当者のつくワイン輸送を売りにする会社が出始めて、人気となっているそうです。

それにしても、ですぺらで飲んだマグナムボトルの赤ワインはうまかった。僕には酒の味は分かりませんが、いまでも僕が飲みたい赤ワインの手本はあのマグナムボトルです。


投稿者: 周      日時: 2018年02月11日 23:49 | 固定ページリンク




Re: ワイン遍歴  | 長谷川    

先だってお邪魔したあの夜、なぜ葡萄酒(Ripa delle Mandorle)の話になったのか今となっては判然としないのですが、私の知らない一ツ木通り時代のですぺらについて窺い知ることになった一方で、実を言えば思いがけない符合に驚いてもいました。なぜなら私もワインからモルトへいつしか転向した者であり、ちょうど一考さんが『葡萄酒お気に入り』を書かれた1995年頃は、寝ても覚めても伊太利亜の葡萄酒をはじめ映画や音楽に夢中になっていたからです。なかでもトスカーナはキアンティを筆頭に、サンジョヴェーゼ種のブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィノ・ノービレ・モンテプルチアーノそれぞれに思い入れがあります。その頃ですぺらデビューを果たしていれば、良くも悪くも大変なことになったような気がしています。最近でこそプーリア州のプリミティーヴォやネグロアマーロ、アルゼンチンはメンドーサのマルベックなどいろいろ飲むようになりましたが、いまだに仏蘭西のワインについては(一考さんが感心しないと仰るウイスキーの熟成樽以外)全くと言ってよいほど知りません。

そんな私ですから、聞き覚えのない「ヴィッキオマッジョ」が魔法の呪文のように聞こえたこともお分かりいただけるでしょうか。多少割高でも、ご紹介いただいたファミリーワインで仕入れて是非飲んでみたいと考えております。白ワインに至っては門外漢なのですが、一考さんが旨いと仰るアルバリーニョ・コンデス・デ・アルバレイは飲んでみないと気が済みません。カーンモアのグレンキース´90に始まり、先晩のSMSラフロイグに至るまで、一考さんが「美味い」と称するものは悉くそのとおりであることを身をもって学んでいるからです。
それこそ本の話ではありませんが、次から次へと越えなければならない山が現れることの幸福があります。つい先週、神戸から帰る車中では「来月はブナハーブン8年(ピーテッド)とラフロイグのアンカンモアを買おう」などと胸算用していたのに、いまや図らずもワイン貧乏に陥りそうな勢いですが、それが今の私の「生き甲斐」なのですから仕方がないと笑っております。

ところでワイナリー和泉屋とは板橋1丁目にある店でしょうか?5年ほど前まで私も板橋は仲宿に住んでいたので、デイリーワインの仕入れで度々お世話になっていました。ちょうど種村季弘さんが通っておられた府立九高(現:都立北園高校)から中山道を隔てた向かいにあり、晩年の種村さんがその和泉屋(大正11年創業)の輸入したワインをですぺらで飲まれていたとすれば、これまた合縁奇縁と申しましょうか、何とも不思議な思いを禁じ得ません。


投稿者: 長谷川      日時: 2018年02月11日 19:11 | 固定ページリンク




ヘルズ・エンジェルス  |   一考

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 http://karapaia.com/archives/52252188.html

 ヘルズ・エンジェルスに関する記事だが、これはバイク乗りにしか興味は湧かない。ただし、このサイトにはルネサンス期のジョバンニ・フォンタナや歴史から忘れ去られた10人の女性錬金術師、石柱の彫刻から1万3,000年前に彗星が衝突し、ミニ氷河期を到来させたことなど、面白い記事が満載である。

 今日、走行中にバイクの前照灯がいきなり切れた。ハイビームでライトを無理矢理下へ向けて毎日自動車へ。ことなきを得たが、一瞬愕かされた。素人ゆえ35ワットより65ワットが明るいものだと思っていたが、照度に関係ないことが判った。それよりもバッテリーの持ちを重視しなければならない。LED電球は焦点が合うかどうかが分からない、結局ハロゲン電球に落ちついた。LEDはおろか、ハロゲンすらない時代のオートバイである。


投稿者:   一考  日時: 2018年02月10日 03:29 | 固定ページリンク




ワイン遍歴  | 一考    

 前項で書いたサッシカイアからカズッチャに至る高級ワインは10代20代の頃は飲みました。三十路を出てからは無名の新進のワインしか飲んでいません。価値の定まったものに興味はないからです。天邪鬼といいますか、既存の価値観、体制には徹底的に叛旗を翻します。これはウイスキーでも同じです。
 アルザス、ボジョレー、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、コルシカ、ジュラ&サヴォワ、ラングドック・ルシヨン、プロヴァンス、南西地区、ロワール渓谷、ローヌ渓谷がフランスの12大ワイン産地です。そして、もっとも有名なブルゴーニュのアペラシオンだけでも恰度100あります。プルミエ・クリュやグラン・クリュでなくとも優れたクリマでは畑名の名乗れるものもありますが、わたしはさらに無名の地区のワインを探訪します。ワイナリー(醸造所)の数はウイスキー(蒸留所)の比ではなく、エチケットによる格付け以外にも美味しくて、素晴らしいワインが数多く存在します。例えばボルドーのシャトー・ソシアンド・マレやシャトー・グロリアなどのように。他人による過去の格付けなんぞ、なんの意味がございましょう。況んや年間わが国に這入ってくるたかだか3000種類ほどのワインを飲んで、ワインを識っているとか、ワインが分かっているなど、笑止の沙汰です。
 アルゼンチンであろうと、南アであろうと、レバノンであろうと、まったく無名の新人が精魂傾けて造ったワインには五大シャトーを凌ぐ気迫が感じられます。リパ・デッレ・マンドルレもサンティアゴ・ルイスも最初のヴィンテージが日本へ這入ってきたとき、わたしは感涙にむせびました。わたしは95年からこっちワインを飲んでいません。それほどの衝撃だったのです、あの二点は。

 ですぺら掲示板/ですぺら紹介/酒はまだある/葡萄酒お気に入り・・・となるのですが、あの稿は1995年に著したものです。わたしのワイン遍歴のすべてを書きました。知っているものは知っている、知らないものは知らないと正確に記述しています。リパ・デッレ・マンドルレとサンティアゴ・ルイスには自信がありました。それにスカラ・デイを加えて各10ケースをですぺらのベースにしたのです。そして評価はなにひとつございませんでした。美味いとの一言すらなかったのです。わたしは東京に失望しました、ワインのために失望しなければならなかったのです。それが一ツ木通りですぺらの現実でした。
 葡萄酒お気に入りで書いたアルバリーニョ・コンデス・デ・アルバレイ2015年は現在1650円で売られています。91年にフランス最大の国際ワインコンクール「チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(Challenge International Du Vin)」において、スペインの白ワインとして初めて金賞を受賞しました。そのヴィンテージと比較して美味いかどうかをわたしは知りません。しかし、ですぺらに置いていた91年ものは間違いなく美味かったのです。こちらも評価はまったくなかったのです。無名のワインを評価するだけの鼻と舌を持ち合わせたひとが東京には皆無だったと思いたくないのです。気が向けばお飲みいただけないでしょうか。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月10日 02:55 | 固定ページリンク




マンドルレについて  | 一考    

 ちょっと調べたところでは、2013年にオープンしたファミリーワインというショッピングサイトが結構なワインを多く扱っているようです。
 ご指摘のマンドルレはこちらのカタログに這入っていますが、如何せん値(3300円)が高いです。

 https://www.family-wine.com/wines/detail/503

 この値ならヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ(3180円)が買えますね。

 https://belluna-gourmet.com/wine/01/012201/d/NE205/7780909/goods_detail/

 酒を買うなら目白の田中屋が一番ですが、あそこは通販は手掛けていないのです。そこでウイスキーなら武川蒸留酒販売、ワインならワイナリー和泉屋がお薦めです。武川は10,000円以上送料無料、和泉は16,200円以上送料無料です。
 マンドルレはわたしが知っているだけでも4度ラベルの絵が変わっています。わたしが飲んでいたのはもちろん最初のヴィンテージです。この消息はリアス・バイシャスのサンティアゴ・ルイスも同じで、いま検索するとスペイン王室御用達となっているではありませんか。さぞかし香味は落ちたのではないかと危惧しております。
 名の知られたワインを飲む気はまったくなく、新進気鋭のワインしか飲みません。なぜなら新しいワインは制作者が全力投球で造っています。ワインは通常瓶塾ですが、マンドルレは2年の樽塾を行っていました。瓶詰めした段階で既に美味いものをとの心意気だったのです。言わばワイナリーのハウスワインだったのです。常に最高のコンディションでワイナリーの客を歓待するのがハウスワインです。ただし、人気が出るとネゴシアンが値をつり上げていきます。そして悲しいことですが、香味は落ちていきます。
 先項で飲みやすさと云いましたが、元々トスカーナのワインはサンジョヴェーゼだったのです。そこへボルドーのラフィットから持ち帰ったカベルネ・ソーヴィニヨンを植樹し、サンジョヴェーゼと混ぜ合わせたところからスーパータスカンと呼ばれるようになりました。一ツ木通りの時代、田中屋に事情を説明しサンジョヴェーゼのデカボトルを宴会用に仕入れていた理由がお分かりいただけたでしょうか。
 一ツ木店で置いていたワインは大半が神戸で仕入れたものです。赤坂界隈でも仕入れましたが、それらはとても飲まれたものでなく、客も怒っていました。ワイン専門の運送会社の女社長が店の常連客だったのですが、彼女に東京のワインはどうして不味いのかと訊いたことがございます。答えは予想通りで、運送途次の管理にあると分かりました。利益を上げるために、安い運送屋に依頼する、そいうところは温度管理をしないのです。彼女の弁によると和泉以外に信頼できるところはないと、ですぺらは和泉のワインがメインなので飲みに来ているとのことでした。客はワインを提供するときの温度管理にうるさいばかりで、ワインそのものの味が分かる方はまったくいらっしゃいません。ウイスキー同様、ラベルで飲まれるようですね。もっとも、いまでは冷蔵コンテナが発達したので、優れたインポーターが出てきていると思います。例えば、ウイスキーのスリーリバーズなどがそれに該当します。あなたが買われたノックドゥーもスリーリバーズの扱い分です。酒を買うときは値段でなく、どこのインポーターかがすこぶる重要になります。
 ノックドゥーは13箇月ファーストフィルバーボンフィニッシュとなっていますが、間違いなくバレル樽です、カスタードクリームの味がします。それとデュワー・ラトレー社は何回もの吸収、買収を経てモリソン・ファミリーになったのですが、同社が初めてオリジナルのラベルで発売したカスクコレクションです。美味いのは当たり前ですね。 どうもありがとうございました。

追記
 わたしはイタリアワインの専門家ではなく、トスカーナにはブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(白)、キャンティ、わたしの好きなカルミニャーノなどがあります。そしてキャンティだけでも千とも二千とも云われます。とてもじゃないですが、シングルモルトのようにすべて飲みましたとは云えないのです。わたしが飲んだキャンティはせいぜい100種ほどです。でも折角のマンドルレですから、もう一言。
 リパ・ デッレ・マンドルレの上級品がリパ・ デッレ・モーレです。同じヴィッキオマッジョからキャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・アゴスティノ・ペトリも出ています。キャンティ・クラッシコのなかではベスト10に這入る逸品。サッシカイア、モンテッス、カステッロ・ディ・モンサント、バディア・ア・コルティブオーノ、バローネ・リカーゾリ、カステッロ・ディ・アマ、フォントディ、イゾレ・エ・オレーナ、カズッチャの次ぐらいに美味いワインです。ぜひ、お試しあれ。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月09日 01:54 | 固定ページリンク




とりとめもなく  | 長谷川    

過日お薦めいただいた諸国銘酒のうち、カプツィーナヴァイツェンは近所の酒屋で調達できそうですが、リパデッレマンドルレは今のところまだ見つかりません。どこかにありましたらご教示いただけますでしょうか。

爾来ウイスキーと詩の親近性について思いを巡らせていますが、ここ十数年は何かから目を背けるように詩を書くことから遠ざかっておりました。一考さんの至言「自己とは永遠につづく事故の謂いにほかならない」に照らせば、単純に自己=事故を記録する欲望や意志が薄弱だったのでしょう。
不思議なものでこのたび明石鍛冶屋町を訪い、宵闇に浮かぶですぺらの灯を見たときに覚えた感興は、あるいは詩心に近いものであったかもしれません。果たして「それ」をどのように蒸溜〜純化したものか、まずはウイスキーの合間に鉛筆をなめるところからはじめて(!)、次は拙くとも一篇の詩を携えて暖簾をくぐりたいものです。

そういえば去る晩、クリスコナーが唄う'Try a little tenderness'に合わせてハミングされていた一考さんを思い出し、Ruben Lopez FurstやMinaなど音楽にまつわるお話も伺いたかったなぁと今頃ぼんやり考えています。これもまた次回の愉しみとさせていただきます。

「とりとめもなく」 追記 »


投稿者: 長谷川      日時: 2018年02月08日 13:20 | 固定ページリンク




楽天とヤフーとの違い  | 一考    

 2月1日、ヤフーカードの利用明細にハンゲーム20000円というのがあった。早速電話をし、心当たりがないと告げたところ、折り返し連絡があって明細から削るわけにはいかないが、銀行から引き落とさないと云っていただいた。他にも、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのチケット代34000円ほどの請求があるが、こちらも関係ないのではと訊かれ、もちろん関係ないと応えた。
 いつぞや、楽天カードで酷い目(以前掲示板で触れた)にあったので、半分諦めていたが、ワイジェイカードの担当者の対応は愕くほど懇切丁寧なものだった。カードはすでに使えなくなっており、10日後には新しいカードが送付されるとか。またヤフーおよびYahoo!ウォレットのパスワードの変更を依頼され、即刻応じたのはいうまでもない。
 何度かわたしの携帯へ電話をしたのだがと担当者から云われた。確かにこの20日ばかり用がないので携帯は充電もせずに捨て置かれていた。見るとやまのように連絡が這入っている。申し訳なく思う。それにしても、楽天とヤフーとのこの違いはなんなのだろうかと思う。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月08日 02:41 | 固定ページリンク




救急搬送された透析患者  | 一考    

 記録的な大雪となった福井県で、人工透析に向かう途中で巻き込まれた70代女性が7日午後、体調不良を訴え、救急搬送された、との記事があった。救護したのは自衛隊らしいが、良いはなしである。福島原発事故の折は断水と停電によって多くの透析患者が亡くなった。1度透析治療を抜くと失神する、2度だと苦しみもがき、3度で死にいたる。要するに1週間の命なのである。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月08日 02:38 | 固定ページリンク




冷え込み  | 一考    

 昨夜、隣町の姫路はマイナス5.7度、温暖な瀬戸内にしてはとんでもない気温である。先項で書いたごとく、ゴアテックスの上着を着ているにもかかわらず、風を受ける胸が冷たくどうにもならない。今夜はマイナス0.4度、幾分やわらぐようである。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月07日 17:30 | 固定ページリンク




リパ・デッレ・マンドルレ・トスカーノ・ロッソ  |   一考

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 当掲示板では(Ripa delle Mandorle)をリパ・デッレ・モンドーレと表記してきたが、最近はリパ・デッレ・マンドルレと表記するようである。チネリとチネッリ、タロットとタロー、ヨガとヨーガのごこく、このような表記はどうでも良いとおもっているが、マンドルレにしなければ検索できないのであれば改名するに如くはない。頭のRipaにしてもイタリア語読みならリーパになるはずなのだが。
 イタリアトスカーナの赤ワイン、生産者はカステッロ・ヴィッキオマッジョ(Castello Vicchiomaggio)。サンジョヴェーゼ75%、カベルネ・ソーヴィニョン25%の所謂スーパータスカンである。スーパータスカンとはその名の通り、トスカーナを超えるの意、代表するワインにサッシカイア(当掲示板ではサシカイア)、オルネライア、ソライアがある。一ツ木通りのですぺらで8000円で売っていたサッシカイアの現在の仕入れ値は15000円、オルネッライアは21600円にもなっている。
 ヴィッキオマッジョのワインにはリーパ デッレ・モーレやキャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・アゴスティノ・ペトリなどがある。モーレのようなフルボディではないが、リパ・デッレ・マンドルレの飲みやすさがわたしは好きである。2009年06月12日の当掲示板を引用する。

「リパ・デッレ・モンドーレはもともと池袋の和泉が扱っていた。そこへ某酒屋(インポーターでもある)が割り込んだのである。某酒屋は量販店で、大量だが、同商品はスポット扱いだった。要するに和泉より安いがその値で後は続かない。
 昔、ブレンデッド・ウィスキーには正規品と並行輸入品とがあった。並行輸入品は混載で送られてくるスポット商品で、宣伝費が掛からないぶん安くなる。モルト・ウィスキーもそうだが、ワインも多品種少量生産のものが多い、その商品をいかに育てて行くかは個々のインポーターの手腕に掛かっている。
 わたしが云いたいのは後々扱わないのであれば、量販店には手を出してもらいたくないと云うことである。リパ・デッレ・モンドーレは値崩れを起こし、和泉は取扱いをやめた。そして某酒屋の在庫がなくなったとき、リパ・デッレ・モンドーレは飲まれなくなってしまった。
 同じ量販店のビッグがウィリアム・フェーブルのラ・ミッション・シャルドネを扱っている。こちらは既に四年になるが、コンスタントに在庫している。こちらのインポーターは稲葉、去年、脱税で挙げられたインポーターである。
 それはさておき、ボディントンは毎年のごとく輸入元が変わる。そして値も一定しない。おそらく、最初に扱った重松貿易がもっとも安く、今はとんでもない高値で売られている。引用したオロサル地区のサンティアゴ・ルイスが最初日本へ入った時のヴィンテージ95年ものは1,880円だった」

 10数年ぶりにリパ・デッレ・マンドルレを飲んでみたいと思っている。


投稿者:   一考  日時: 2018年02月07日 03:34 | 固定ページリンク




浅草ブランデーケーキ  | 一考    

 毎日自動車川口さんがいらして話し込む。そのなかで生き甲斐はとの一言があった。余分(ノイズ)な人間に生き甲斐などあろうはずもないのだが、川口さんが相手なら少しは真面目に受け答えしなければなるまい。
 素晴らしい詩歌に出合ったとき、旨いウイスキーに出あったときなどは嬉しい。読めば良いというものではなく、飲めば良いというものでもない。きっとそれがこだわりなのだろうなと思う。気にしなくてもいいようなことにまで好みを主張するのをこだわりという。それ故、こだわりという言葉は好きでない。しかし、こだわりといった方が通りがよろしければこだわりであっても一向にかまわない。
 再読したくなる詩人は明治以降10人もいれば十分だし、年間2、3千本輸入されているウイスキーのうち旨いものは3、4本である。それらにうまく逢着できるかどうかは偶然である。よって、生き甲斐とは必然性の欠如を意味する。
 金沢のおでん屋で赤玉というのがあるが、丸い練り天のなかにウズラの玉子が這入っている。それを見つけたときの嬉しさは筆舌につくしがたい。仕合せとはそのようなものであり、その仕合わせを生き甲斐といったところで不具合はない。長谷川さんの土産はもう一品あってSHIMIZUのブランデーケーキである。甘みを抑えカラメルの利いた頗る美味いケーキだったが、無添加にもフランス産のXOブランデーにも興味はない。ただ、岩手県一関市で日本ではじめて育成された菓子専用小麦「ゆきはるか」には興味をそそられた。
 日本の小麦粉はグルテンの量によって薄力粉、中力粉、強力粉、全粒粉と分類されているが、フランスのファリーヌ・ド・ブリは灰分量によって実に細かく分類されている。日本の小麦粉は概してタンパク質含量が多くかつグルテンが強いのでもちもちした食パンには適しているが、パン作りのために使用される小麦粉(強力粉)のほとんどは外国産である。例えば、フランスのそれはたんぱく質の量が少なく、グルテンを必要としないフランスパンに向いている。はなしが脱線したが、日本の小麦粉は大半が中力粉である。ゆきはるかのようなグルテンを落とした薄力粉が生れたのは慶賀である。そして、長谷川さんとの出会いがわたしにゆきはるかを齎した。これは出会いで有り、悦びであると同時に生き甲斐でもある。

追記
 もちもちしたパンにわたしは閉口している。もっとぱさついたフランスパンが食べたい。わが国の小麦粉は旨すぎるのである。グルテンを落としながら官能評価点が高い小麦粉が開発された。本品は製菓適性に優れた小麦粉だが、今後さまざまな小麦粉が育成されることを願う。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月07日 02:18 | 固定ページリンク




長谷川大輔さんとノックドゥー(ノックデュー)  | 一考    

 赤坂のですぺらのお客だった長谷川大輔さん来店。わたしは彼のことをなにひとつ知らないのだが、今回の来店でいくらか分かった。いくらかと申したのは元々客のプライベートなことは問い質さない。どこでなにをしていらっしゃろうと、どのような属性をお持ちであろうが、attributeであれpropertyであれ、余計なことに首を突っ込む必要はないと心得ている。ですぺらでのかかわりは酒にはじまり酒に終わる。とは申せ、71歳の誕生日を祝っていただくと素直に嬉しい。そういう歳になったのである。
 彼がわたしが過去著したものをお持ちだったのには驚かされた。過ぎ去ったことに興味はないが、わたしが知らないものが含まれていて微笑ましく思った。このような形でなにかが引き継がれてゆくとするなら、それも本懐なのかもしれない。
 彼は文学に興味があるようである。詩を書かれていたとのことだが、過去形でなく、これからも書いていただきたいと願っている。先般申し上げたとおり、ウイスキーも詩もわたしにとっては同日に語るべき対象である。

 長谷川さんがいらした翌日、西明石時代の客4人を連れて岸本さんが来られた。頻繁にいらしていた客だそうだが、わたしに記憶はない。申し訳ない言い方だが、記憶がなければ記憶を新たに造るような晤語をこれからぜひ望みたい。お付き合いいただいた女性のことすら忘れるような無責任きわまりない「ノイズ」のごとき存在である、なにぶん寛容にお願いしたい。

 モリソン傘下のデュワー・ラトレーのノックドゥー8年、2009年蒸溜、バーボンフィニッシュを土産に持っていらっしゃった。本品の6年ものが同じモリソン傘下のモリソン&マッカイからカーンモア・ストリクトリーリミテッドとして頒されている。前者はカスクストレングス、後者はホグスヘッドの加水タイプ。蒸溜所の個性がはっきりと表れているのは加水タイプだが、美味なのは13箇月ファーストフィルバーボンフィニッシュをかけたカスクストレングスである。フェノール香といってもよいが、天然のバニリン香とその甘さが後味に残る。もっとも、メドウサイド・ブレンディングからボトリングされたザ・モルトマン、ノックドゥー10年、2007年蒸溜はシェリーカスクゆえ、ボディが厚くさらに旨い。いずれにせよ3点共、オフィシャルボトルのアンノックよりは遙かに美味である。長谷川さんに感謝申し上げる。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月06日 02:03 | 固定ページリンク




一考さん  | 長谷川大輔    

先晩は長々とお邪魔しました。
事前予告からの期待を遥かに上回る幾多の貴重なモルトに、あゝこれは一晩では無理だった、二泊するべきだったと途中で後悔するほど夢のような五時間余でした。

ブレイズ・オブ・グレンリヴェット'75やノックドゥ23年といった懐かしいボトルとの再会はもちろんのこと、赤坂時代に飲んでいなかった蒸溜所元詰のグレンキース10年、シールダイグのラガヴーリン12年も堪能しました。また予告いただいたアイラの逸品なかでも、やはりロンバード樽SMSのラフロイグ '90は頗る美味でした。
 
そして旨いウイスキーを飲みつつ伺った数々のお話、ラフロイグやグレンキースの熟成樽の見分け方から、神戸や明石の昔について、パンや葡萄酒や麦酒に饂飩について、はたまた本の編集や校正について、縦横無尽に面白いお話を伺ったことも得がたい貴重な体験でした。
 
夜食の鮨と苺は翌朝にいただき、ホテルを出て明石城址の天守台に登りました。そのあと昼間のですぺらを再訪し、陽光の下で看板の写真を撮り直しました。明石から神戸に出て、元町~三宮をぶらついていたところ、古書店で一考さん寄稿の雑誌太陽(鏡花・足穂の特集号)を見つけて胸を躍らせました。たまたま通りかかった元町映画館でフィンランド映画『希望のかなた』を観たあと、珈琲の香るトアロードを抜け新神戸まで歩いて帰路に就いた次第です。

もとより「ですぺら詣で」と言った趣の旅でしたが、本当に忘れがたい一夜をありがとうございました。


ところで「酒屋に酒を持ち込む」非礼な振舞いについては改めてお詫びします。どうかお赦しください。「こんなのがありました」程度の思いで他意はなかったのですが、ご自分の舌で旨いと感じた酒を出していらっしゃる一考さんへ、自分が飲んでもいないボトルを贈るなど、勘違いも甚だしい所行だったと今更ながら恥じ入っております。いつでも抜栓・味見いただいて構いませんので、いずれまたお邪魔する口実として、お店の片隅に置いてやっていただけますでしょうか。

末筆ながらノお誕生日おめでとうございます。またお会いできる日まで、どうかお元気でお過ごしください。
次回は赤坂時代に連れ立って飲んでいた友人(現在は名古屋在住)と落ち合って行こうと早くも計画しております。

※このお礼を掲示板に投稿すべきか悩みましたが、判断がつかずメールにてお送りします。

長谷川 大輔

追記(一考)
遠慮なさっているようなので、こちらへ転載致します。彼がお持ちになったノックドゥーに関しては改めて。


投稿者: 長谷川大輔      日時: 2018年02月05日 15:35 | 固定ページリンク




佐川急便の配達  | 一考    

 首都圏の交通機関に大きな混乱をもたらした22日の大雪の日、都心からビールの発送があった。同時に、天候不順に付き荷物が遅れますとのメールを頂戴した。東名高速が閉鎖と聞かされていたので、荷物は遅れるなと覚悟した。ところが次の日の午前中に荷物が届いた。郵便やヤマトの場合は誰が来るか分からない、しかし佐川急便の配達は決まっている。わたしと年格好の似た爺さんと若い女性の二人組が配達にやってくる。宅配便のある日は解錠の上、その旨を書いた紙を貼りだしている。佐川急便の方は勝手に判子を押して帰られる。非常に助かる方式が確立している。もっとも出掛けるとき以外、鍵をかけることは滅多にないが。
 それにしてもと思う。ビールはどの道を経由して届けられたのであろうか。あの日は名神だけでなく、中央道も閉鎖された筈である。下の道を走るなら、13時に出荷された荷物が翌日の11時に着くわけがなかろうに。不思議である。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月04日 02:29 | 固定ページリンク




濃霧と雪  | 一考    

 3月1日帰りしなの濃霧には困惑させられた。明石界隈ではあのような霧は珍しい。小さな明石川の対岸すら見られない。知った道なので大丈夫だったが、道も信号もことごとくが遠い国のように薄らいで見える。どうやら近畿各地に厚い霧が立ちこめたようである。
 最初、単なる霧とおもっていたのだが、それにしてはシールドが真っ白である。シールドを開けて分かったのは小雪が霧のように舞っている。どこまでが霧でどこからが雪なのか判然としない。拙宅の駐車場にはうっすらと雪が積もっている。やはり、雪だったのだと確信する。それにしても、妙な天候だった。


投稿者: 一考      日時: 2018年02月04日 02:23 | 固定ページリンク




QuSomeホワイトクリーム1.9  | 一考    

ロイズがアイラモルト入りの生チョコレートを新発売

 http://whiskymag.jp/roychoisl/

洗練された生チョコレートで大人気の「ロイズ」から、アイラ島産のスモーキーなシングルモルトウイスキー「ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ」を使った驚きの新商品が登場。とろけるチョコレートから溢れ出す、エレガントなピートの余韻を体験しよう。(宣伝をそのまま)


投稿者: 一考      日時: 2018年02月04日 02:21 | 固定ページリンク




特段に美味なアイラモルト  |   一考

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 先日、長谷川さん宛のメールで書いたのだが、ですぺらには実に旨いアイラモルト3点が在庫している。

 アズ・ウィ・ゲット・イット8年 オーク樽の57.3度 イアン・マックロード(中身はラガヴーリン)
 アードベッグ 91年蒸溜02年ボトリング 57.4度の11年もの イアン・マキロップ
 ラフロイグ 90年蒸溜00年ボトリング バーボン樽59.1度の10年もの ロンバードの樽をSMSがボトリング

 以上の3点である。アズ・ウィ・ゲット・イットのボトルはいまなお続けられているが、最初のボトルにとどめを指す。マキロップのアードベッグは翌年にも出ているがどちらも美味。SMS(スコッチ・モルト・セールス)のラフロイグは他に、

 アイラ(ラフロイグ)90年蒸溜 バーボン樽56.1度の12年もの 246本 ロンバードの樽をSMSがボトリング
 ラフロイグ90年蒸溜 バーボン樽57.2度の10年もの マクロードの樽をSMSがボトリング
 ラフロイグ76年蒸溜 50.0度の22年もの ロンバードの樽をSMSがボトリング

 が頒されている。いずれも旨いが76年の22年ものは過去にボトリングされたラフロイグのなかでもっとも旨く、特筆大書すべき逸品である。
 アードベッグに関しては、ゴードン&マックファイルがスピリッツ・オブ・スコットランド名義で出した13種、すなわちジャパン・イン・ポートから、78年蒸留の53.9度、バーボン・バレル207本から、78年蒸留の53.9度、バーボン・バレル207本に至る6種類、他のインポーターから74年蒸留にはじまる7種類の計13種類がボトリング。バーボンとシェリーもしくはリフィールシェリーとの比率はほぼ半々である。そのなかでも、

 アードベッグ93年蒸留03年ボトリング 56.2度 シェリー・バットの694本
 アードベッグ91年蒸留02年ボトリング 52.5度 リフィール・シェリーの295本
 アードベッグ91年蒸留02年ボトリング 52.6度 リフィール・シェリーの318本

 以上の3本が特に美味。他のボトラーでは75年蒸留の25年もの、シェリー・バットの58.0度がジョン・ミルロイからボトリングされてる。SMSからも91年蒸留の10年もの、バーボンカスクの60.1度が頒されている。どちらもオフィシャルボトルでは味わえない傑出したアードベッグである。


投稿者:   一考  日時: 2018年02月01日 17:47 | 固定ページリンク




あったりなかったり再開  | 一考    

 体調がよくなってきたので、寡多録の一部、フードのこれまた一部を再開する。どうかよろしくお願いします。
        
 茹でピー   300円
 チーザ    400円
 鮭とば    500円
 げそ塩焼   500円
 オムライス  600円
 ししゃも   700円
 合鴨燻製   700円
 カマンベール 800円

 鮭とばは2種類の盛り合わせです。ししゃもはカペリンでなく北海道だけに生息する本物のししゃも、日本の固有種です。むかわ町から送ってもらっています。ししゃもの雌は身がいまいちで、雄が高級品です。燻製は燻蒸後、冷凍しますので、解凍にちょっと時間がかかります。


投稿者: 一考      日時: 2018年01月30日 18:08 | 固定ページリンク




大尽  | 一考    

 通勤路に庭の蛇口が壊れている箇所がある。水道水が流れ出て深夜ともなれば凍り付いている。オートバイにとってスリップは顚倒につながる。レーシングスーツを着ていないと大怪我を負う。その家の主人はきっと金満家に違いない、流れ出る水道料金を気にもかけないのだから。
 拙宅と店ともども室温は10度を切った。店は3基のストーブをフル稼働するも、18度に上げるのに3時間ほどかかる。それまではストーブにへばり付いている。杉本さんと京都で酒を飲んだ日々を思い起こす。暖房で顔は温かいのだが、靴の裏から冷え込んでくる。いわゆる底冷えである。飲んでも飲んでも底冷えが酔いを奪ってゆく。昨日は粉雪舞うなかを走った。


投稿者: 一考      日時: 2018年01月28日 11:39 | 固定ページリンク




襤褸のゴアテックス  | 一考    

 ストリップショーを観ている方ならよくお分かりだが、ボアとはシャンデルなどの襟巻きの一種と思っていた。ところが、今ではコートの裏や襟、袖口につけた毛足の長い織物を指すようになったらしい。ユニクロのフリースを見ていると、単なる起毛生地をボアと称しているようである。
 寒いので、昔買ったゴアテックスの上着に着替えた。裏地は今いうところのボアで被われ、見るからに暖かそうである。ゴアテックスは二着持っているのだが、こちらは泥だらけで送られてきた。ヤフオクで二千円だっだが、通常衣服は洗濯してから売買に出すのが礼儀である。しかし若い男ゆえ、そのまま送付したのであろう。あまりの汚さに二度洗濯機にかけた。それが災いして雨水を弾かなくなり、タンスの奥で眠っていたのである。
 身丈、袖丈、肩幅はピッタリなのだが、腹の部分がきつい。体調がよくなってきてから少々太ったようである。これ以上体重を増やさないようにして長期寒波を乗り切ろうと思っている。


投稿者: 一考      日時: 2018年01月26日 16:21 | 固定ページリンク




上白糖と三温糖  |   一考

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 NHKの情報番組「あさイチ」の砂糖に関する特集で、「国内で販売されている白い砂糖は上白糖、茶色の砂糖は三温糖と呼ばれている。白い方は漂白しているため、茶色の方が体に良い」との通説が間違いであることを指摘していた。
 「あさイチ」の2018年1月22日の放送によると「天然素材のサトウキビから砂糖の基となる原料糖を取り出し、それを結晶と蜜に分離する。結晶を液状にして濾過したものが白い砂糖になり漂白はしていない。蜜を3回煮詰めて結晶化したものが三温糖で、熱によって色が茶色になる」としている。確かに昭和期にはそのような作り方もあったが、今では上白糖しか作っていない。三温糖は上白糖をカラメル着色したもので、共になにも変わらない。「あさイチ」が指摘するように昔から漂白などしていないが、三温糖に関しては間違っている。
 言い方に困るので、取敢えず本物とでもいっておくが、本物の醤油や味噌は全生産量の2,3%しかない。スーパーやコンビニでは購入できないと思った方が良い。それと同じで、わたしがかつて料理で用いていた三温糖は昭和40年前後に消え去った。それと書いておきたいのはキッコーマン、ヒガシマル、ヤマサ、マルコメの社長や会長は悪名高い国策研究会幹部に名を連ねている。


投稿者:   一考  日時: 2018年01月25日 12:33 | 固定ページリンク




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