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好転  | 一考    

 クレアチニンが1.7から1.38へ好転、腎臓の腫れも引いた。そしてなによりも先月の13日から続いていた下痢が収まった。微熱なく、血圧も安定。体調はすこぶる良い。
 このままあと3日間、セルセプトを中止する。免疫抑制との綱引きがつづく。本来なら入院するところを外来で処理している。よって頻繁に病院へ赴かねばならない。次回は21日の火曜日。いまのところ、表面上はうまくいっている。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月18日 18:42 | 固定ページリンク




カンジダ症・続  | 一考    

 移植腎が落ち着くのに術後三箇月ほどかかる。すなわち、手術が成功したかどうか、新しい腎臓が生着するかどうかは三箇月経たないと分からない。そして生検を経て免疫抑制剤の量と種類がある程度決まる。
 東葛クリニックへ最終月の医療費の支払いへ。責任者が37度の微熱を気にしている。微熱は引き、その後異常なしと応える。カンジダ症は微熱にはじまる、もっとも怖い感染症ですと、わがことのように喜んでくださる。
 もっか三種の経口薬が効いているようだが、例によってどうなるか分からない。只管副作用に振り回されている。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月17日 21:46 | 固定ページリンク




カンジダ症  | 一考    

 三種類の免疫抑制剤のうち、一種(セルセプト)をもっか中断しているが、この中断は五日間が限界だそうである。五日のあいだに下痢を治し黴を退治しようとのことらしい。推測なのは体内で繁殖しているであろう黴がカンジダ菌なのかどうか、わたしにはなにも分からない。
 ウィルスや黴は雲を掴むようなはなしで、医師から同意を求められても、生返事しかできない。ただ、下痢は速効で治ったようだが、こちらも推測で、セルセプトを再開すればどうなるか分からない。明日も戸田中央へ出掛ける。
 「カンジダ症の定義には口腔カンジダ症や性器カンジダ症のような表在性のものから全身性の致命的となり得るものまで含まれる。後期のカンジダ症はカンジダ敗血症と呼ばれるが、これは一般的に悪性腫瘍、移植、後天性免疫不全症候群(エイズ)の患者のような免疫抑制状態の患者に限定して認められる」と書かれている。はてさて。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月17日 12:54 | 固定ページリンク




コチニン検査  | 一考    

 ニコチンが代謝されたものをコチニンと云う、従ってニコチン検査ではなくコチニン検査が正しい。前項で書いた喫煙は腎臓関係の血液検査がもたらした結果であって、唾液もしくは尿によるコチニン検査をしたわけでない。
 禁煙後のコチニンはほぼ60日で限りなくゼロに近くなる。限りなくであって確実に反応しなくなるには一年はかかるとされる。
 わたしには一年の禁煙の経験はない。最長で四箇月、他に一箇月が四回である。腎臓が落ちるなら仕方がない、今回は腰を据えて禁煙に取り組む。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月15日 04:25 | 固定ページリンク




其のまたつづき  | 一考    

 セルセプターを一時中止、グラセプターの量をぎりぎりまで削る。イトリゾール内容液をフロリードゲル経口用(カンジダ菌の増殖を阻害する薬)へ変更、感染症のバリキサ錠の服用。以上でもって血液検査の結果待ち、再入院の是非は今週のの土曜日に委ねられた。
 ウィルスを処理しないことには抗体に取り掛かることは叶わないとのこと。わたしの発想は逆だった。
 腎機能の低下はウィルスもさることながら喫煙が最大の理由だそうで、絶対禁止と云われてしまった。今回僅かだが、またクロアチニンが上がっている。
 フロリードゲルは服用後一時間は一切の飲食(うがい、歯みがきを含む)を避けなければならない。しかも一日四回、四時間は活動停止を余儀なくさせる、難儀な薬である。
 可能であれば再入院はしたくないと、意思表示はした。それ故、内用薬との鬩ぎ合いがつづく、どうなることか。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月14日 20:50 | 固定ページリンク




前項つづき  | 一考    

 免疫抑制剤の副作用として、グラセプターの手脚の痺れ、震えがあり、セルセプターの下痢がある。他に夥しい副作用があるが、わたしの身体に顕著に顕れているのは以上のようである。メドロールはステロイド薬でムーンフェイスで知られるが、グラセプター同様、誘発感染症や感染症を惹き起こす。
 相変わらず下痢がひどく、体重は58キロを切った。考えるに、元々52乃至55キロくらいだったのだからそこまで減るに問題なし。年老いての肥満など、のんこのしゃあ以外のなにものでもあるまい。

 サントリーからフランス産の飲料水オランジーナが販売されている。オレンジピールのキャラクターが口に新しく、愛飲していたが、グレープフルーツが這入っていることに気付いた。わたしには不向きである。不向きどころか害をなす飲料である。良く調べなければ。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月13日 19:28 | 固定ページリンク




ブルーチーズは禁制品  | 一考    

 37度から37.5度の微熱から解放された。感染症でもっとも怖いのが微熱と子供だと聞かされている。免疫抑制剤によって身体の抵抗力がまったくない。例えワクチンを打っていても、感冒から肺炎などに罹れば手の施しようがない。
 泌尿器科は三階にあるが、同じビルの一階に小児科がある。従って、マスクは外さないように五月蝿くいわれている。憤っている子供、はしゃいでいる子供、さまざまだが、あまり多人数の場合は三階の渡り廊下を利用し、小児科を避けるようにしている。
 免疫力低下時に感染症に罹らないように、最大限の注意を払っている。血液検査の結果、なんらかのウィルスが活躍しているようだが、心当たりはなにもない。微熱が引いたように、大したウィルスでないと冀求する。抗体は手に負えないが、ウィルスの方は気を引き締めて対処したい。

 セルセプトカプセル、グラセプターカプセル、メドロール錠の三種が免疫抑制剤、他に一般薬としてパリエット錠、アテレック錠、ラシックス錠、セレコックス錠、ミヤBM錠、バクタ配合錠、内容液としてイトリゾール内容液、アルロイドG内容液、量は区区だが以上を服用している。このうち、バクタ配合錠が細菌を殺し感染を治療する薬であり、ミヤBM錠はわたしの註文で追加した整腸剤である。
 イトリゾール内容液は口腔ならびに食道の黴(カンジダ菌)を殺す薬だが、黴菌に関しては健常者なら問題にならないが、移植患者の場合はブルーチーズは全面禁止。ブルーチーズに止まらない、国産の一部のプレーンチーズを別に、舶来の黴入りチーズは悉く禁止品となる。ちなみに、青黴に近い麹黴は味噌や甘酒、ワインの醸造にも使われている。
 易感染宿主(コンプロマイズドホスト)になると、俗に云う日和見感染を発症する。薬剤耐性を獲得している病原体もあり、いったん発病した場合にその治療に有効な薬剤が限定されることから、医学上の大きな問題になっている。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月13日 00:55 | 固定ページリンク




総選挙  | 一考    

 次回総選挙は既成政党対新党の争いになるが、民、自、公の大連立に勝てる新党は現在のところなさそうである。民、自のどちらが主導権を握るかはともかく、これからの四年間、野田首相か野田副首相がつづきそうである。
 消費税、原発、TPP問題などいずれを取っても首相の目線に国民は存在しない。これほどポピュリズムと縁のない首相はわが国では珍しい。決断する政治家としてなら立派であるに違いない。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月12日 10:37 | 固定ページリンク




習慣  | 一考    

 柑橘系の一部を除いてジュースが飲まれるようになったのが嬉しい。烏龍茶、焙じ茶、麦茶、紅茶しか飲まれなかったのが一挙に花開いた感じ。季節が季節だけに小気味好い。
 取敢えず、珈琲、牛乳、生茶、オレンジジュース、柘榴ジュース、サイダー、コーラを買ってくる。選り取り見取りの飲み放題である。わたしにとって大きな自由である。夢と自由は異なる。夢は心の迷い、夢は醒めるが、自由は自在、自由(ほしきまま)なり。透析治療中、このようなことが楽しまれるとは思ってもみなかった。

 痛みがなせるわざか、しばしば透析治療へゆく夢をみる。腎臓が落ちそうになり、急遽透析へ駈けつけるのである。祈るような思いで街中を走り抜ける、やっと辿り着き、穿刺を受けるところで目が醒める。わたしの身体は透析を必要としなくなったのに、習慣はかような悪夢を繰り返す。否、悪夢ではない、どこかしら慕わしい甘酸っぱい心持ちすらする。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月12日 01:02 | 固定ページリンク




再入院2  | 一考    

 再入院を覚悟してほしいと医師から宣告されたが、ウィルスか抗体かということになれば、当然ウィルスは後回しになる。抗体を押さえ込み、感染症対策は入院で処理するのだろう。主なワクチンは打っているので重篤なものにはならないと勝手に決め込んでいるのだが。
 わたしにできることと云えば、定められた曜日、定められた時刻(一日三回)に指示された量の薬を忘れずに飲む、それだけである。忘れると腎臓が落ちるのは理解している。それだけは避けねばならない。
 それにしても、一度退院して自由を味わった身としては再入院は辛い。しかも、感染症とくれば風邪引きから隔離される疾病まで千差万別である。かつ白血球が機能しないので、拗らせる可能性が高い。また入院がどのくらいの期間になるかはまったく分からない。拗れぐあいによるのかもしれない。
 東葛クリニックで感染症患者が出たことがあったが、トイレの清掃や消毒など大層な騒ぎになった。ちょうど、大腸のポリープ手術で下剤を飲んでいたわたしはトイレが使えず酷い目にあった。風呂と衣服の洗濯は処理してもらったが、手術着で震えながら、再度下剤を服用することになった。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月10日 07:22 | 固定ページリンク




吸血鬼  | 一考    

 退院の前日、絨毯爆撃のごとき血液検査があった。夕5時にはじまったのだが、初回が10本、6時が7本、7時から深夜の3時まで、一時間毎に3本の計41本である。検査入院の際にも同じ経験をしている。
 血を抜く穿刺だから針は細く、痛みはない。しかし、3回目からは肘の内側(ないそく)が内出血で遣えなくなり、あとは右腕のいたるところへ穿刺、明け方には9箇所の痣ができていた。
 これには面白いはなしがあって、わたしは担当の看護師を吸血鬼と名付けた。一時間置きにやってくるのだが、「来た、吸血鬼」と戯けてみせる。看護師もよくしたもので、九時の消灯後は懐中電灯を持ってそれらしき趣で「刺すぞ」とくる。
 この検査で退院後の免疫抑制剤の種類と量が決まる。もっとも、前項のトラブルが理由で、免疫抑制剤の量は目まぐるしく変わっている。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月10日 00:39 | 固定ページリンク




再入院  | 一考    

 ウィルスと抗体の双方が暴れているそうな。共に、わたしの体内にあったものだが、暴れ出すとの予測はなかったようだ。免疫抑制剤によって抗体が効かなくなり、ウィルスが飛び跳ねている。一方、ウィルスを殺そうとすれば、免疫抑制剤を減らさなければならない。そうすれば、腎臓が落ちる。
 免疫抑制剤による副作用はすでに出ていて、手の震え、微熱、腎臓の腫れ、腎機能の低下などなどである。次回は14日の火曜日だが多量の血液検査を東京女子医大で行う。
 15日以降、禍禍しい日を選んで再入院となりそうである。ちなみに、件の抗体は輸血の際に体内へ取り込まれたものらしい。
 医師は「まずいなあ」を繰り返していたが、一人暮らしは駄目、完全看護の必要ありとのことだった。暫しの自由だったが、満足している。この先どうなるか、不安は感じていない。どうせなるようにしかならない。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月09日 19:04 | 固定ページリンク




60キロを切る  | 一考    

 今日は調子が良く思われたので、幕の内でもと思って買いに出掛ける。15分ほどで冷や汗に見舞われる。目眩いがひどく立っていられない。便意も尿意もなし、帰宅後に計ったが血圧も異常なし。悪しき体調の理由を知りたい。
 店員には申し訳ないが、レジでしゃがみ込んで動かれなくなった。荷物を車まで運んでいただき、車中で休息。暑さのせいだろうか、30分ほど冷房に当たっていると動悸呼吸ともに落ち着く。

 透析中の栄養制限もさることながら、それ以上に気を遣っていたのが量の制限である。例えば麺麭食なら食パンに換算して4枚切りを一枚、レタス一枚、いもサラダ20グラムだった。体重を静止させるのが、最大の懸案だったからである。それが今では倍ちかく食している。にもかかわらず、体重は一向に増えない。こちらも理由が分からなくて困っている。
 水分の摂取量は最低でも5乃至7倍、米飯は130グラムから150グラムへと増やしている。二食だったのを今では三食ちゃんと頂戴している。体重は静止しつつあるものの60キロを切ってしまった。もっとも痩せるのが老人性のそれなら構わないのだが。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月09日 04:12 | 固定ページリンク




現行トリプルウッド  | 一考    

 オロロソやパロ・コルタドはワインが染みた木樽やクルミ、ナッツを思わせる華やかな香りを持つ本来辛口のシェリー。ペドロヒメネスはずんと甘口、元々デザートワインの原料です。樽がペドロヒメネスに変更されれば、確実に味は変わります。シェリー香が五月蝿くならなければ良いのですが。在庫処分が始まっているなら安価な内に2、3本買っておいた方がよさそうですね。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月09日 04:11 | 固定ページリンク




現行トリプルウッド終売、そしてモデルチェンジ  | ですぺら2代目    

現行のラフロイグ・トリプルウッド(オロロソ・シェリー樽を使用)は終売とのことで、特に1,000mlボトルは在庫処分が始まっています。私も先月に田中屋さんで購入し店に補充しました。なおトリプルウッドはフィニッシュに使用する樽をペドロヒメネス・シェリー樽に変更して再発売する予定だそうです。


投稿者: ですぺら2代目      日時: 2012年08月08日 23:13 | 固定ページリンク




個人の勝手  | 一考    

 先週の木曜日から、一日24錠と薬は劇的に減った。来週の木曜日からはさらに6錠減る。薬が減るのはありがたいが、免疫抑制剤は死ぬ日まで飲まなければ腎臓が落ちる。
 何度も書いているように、生理機能(糞尿)が元に戻れば勝手に出歩けるようになる。わたしが戻ってほしいと願っているのはその糞尿に代表される自由である。
 透析治療も免疫抑制剤も共にわたしにさしたる抵抗はなかった。わたしは常に運命をありのまま受け容れる。そして自由と思しきものを探す。医師は無理だと云ったが、わたしは透析後のサイクリングを楽しむようになった。透析治療や免疫抑制剤が理由で自死に向かうなど、わたしには考えられない。いかなる治療であれ、副作用であれ、わたしを潰すことはない。
 もちろん、個体差があるので他人のことについてはなにも申すまい。否定も肯定もしない。死にたい人は死に、生きたい人は生きる。ただそれだけのこと。
 どのような目に合おうと、どのように追い込まれようが、なにがしの自由はある。その自由が個体差によってまるで違ってくる。違いはすれ、どのような瑣細なことでも自由に化ける。ちょっとした気持のありようによって、自由はさまざまに形を変える。人にとってもっとも大切なこと、それは答えの多様さをあるがままに受け容れることである。なにが正しくてなにが正しくないか、正邪や好悪にこだわるとは、取りも直さず思考の停止であり放棄である。

追記
 サッカーに勝ったと澁谷で騒いでいる若者たちが今日の平和を築いている。掬すべき情景はかかる凡俗にこそある。知識人にとっては腹立たしいだけだろうが、わたしは「個人の勝手でしょ」を大事にしたい。良きにつけ悪しきにつけ、多様性を支えるほぼ唯一の真理だとわたしは思っている。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月08日 12:30 | 固定ページリンク




トリプルウッド  | 長谷川    

たしか発売当時に購いましたが、700mlより1000mlの方が熟成まろやかとは存じませんでした。
バルヴィニー、グレンキース、ブレイヴァルほか多くの美酒を教わった者として、私も完治祝いに取り置くことといたします。

激痛のなかで想い起こされる白土三平~新薄雪物語、大変に失礼ながら記憶の不思議に思いをいたす次第です。


投稿者: 長谷川      日時: 2012年08月08日 00:07 | 固定ページリンク




陰腹  | 一考    

 今回の入院でもっとも情けなかったのは14日の朝7時、手術後12時間目に立って体重を計ることだった。体重だけなら透析治療に使う体重計付きのベッドとか方法はいくらでもある。従って体重を計るのが目的ではない。立たせるのが目的である。腹筋が断絶したあと、12時間目に身体を立たせろとの無謀な仰せである。わたしはその12時間のあいだ、どう対処すれば立てるのか、そのことだけを考えていた。
 ベッドの上で身体を起こすだけでも激痛が走る。看護師に確認するも、みなさんが受ける最初の試練だと云う。昔、忍者武芸帳に陰腹というのがあった。人知れず切腹し、内臓が吹き出さないようにサラシで腹を固く巻いて闘うのである。
 わたしは12時間をかけて身体を起こす訓練からはじめた。わたしにも意地がある。やれと云われて出来ませんでは先祖に申し訳が立たぬ。高田藩城代家老の末裔である。
 陰腹は人形浄瑠璃や歌舞伎の世界に於ける演技だが、死を賭しての暴挙である。しかしここは病院、まさか立ち上がるくらいで死ぬわけもあるまい、とべそをかきながら云いきかせる。
 時間到来、男性の看護師が腕を輪っかのようにして仁王立ちになり、その中で立てという。覚悟を決めて立ち上がる。立ち上がろうとするも、腹に力が這入らないので崩れ落ちそうになる。身体が震えています、体重計が静止するまで我慢してください。なんとか我慢できたようである。
 済んでから、よくやりましたね、できないひとの方が多い、仮にできたにしても、朝から頑張って夕刻になるひとがほとんど、と聞かされた。
 どうしてあのような無茶が必要なのか、わたしには分からない。しかし、無茶であればこそ医学的には必要なのであろう。医師に尋ねても納得のいく応えは返ってこない。しかし、済んだことに腹は立てたくない。その手術から24日を経たいまごろ、痛みませんかと医師は訊く。痛いに決まっているだろう。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月07日 10:23 | 固定ページリンク




体内のカオス  | 一考    

 絹地の服を着た見るからに裕福そうな老人が男女ふたりずつのお供を連れて泌尿器科にいた。不安そうな顔と安心させようと務める回りのひとの華やかな装い。どのような関係か、どのような状況かは詳細を聞かなくても分かる。
 糖尿でクレアチニンが上がり、シャントの施術準備に病院へとの雰囲気。理由は異なるがわたしが北里研究所附属病院へ入院したときと同じ消息と見た。本人は透析を嫌がっているが、シャントの準備ということは透析の不可避を意味する。お供はあくまで予定であってクレアチニンが下がり、透析には至らない可能性もあると口説いている。ありえない気休めである。
 畜肉類ばかり食してきた天罰とわたしはおもうのだが、そのようなことは云われない。お供は説明を医師、看護師から受けているようだが、本人はクレアチニンが下がる可能性にしがみついている。
 老いてからの透析の大変さは理解できる。いかに裕福であろうと透析はひとりで受けなければならない。代理人は立てられない。個であることと向き合い、個であることを身につまされる。大体がこのような場へ高級自家用車に乗り共連れで来ること自体、彼のこれまでの生き方を雄弁に物語っている。自らの意志や権力が通じない世界、それが自らの身体でないだろうか。智力や意識が意味をなさなくなるカオスが体内に巣食っている。そのような当たり前のことは二十歳ぐらいで弁えておけと云いたい。

 現状では取り付く島もないが、体内に蠢くカオスと精神とのあいだで繰り返される弁証にこそ思想があるやもしれず。口先だけの思想なんぞ御笑い種である。

追記
 繰り返すが、自らの表層としての智のなかには結果として権威、権力志向しか存在しない。その智から遠く意識下に位置し、意識の深層部に水準器を下ろさねばならない思考とでは構造ならびに働きがまったく異なる。たまには智を脱ぎ捨てて考えてみることこそ必要でないだろうか。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月06日 01:07 | 固定ページリンク




長谷川さんへ  | 一考    

 忘れていましたが、ラフロイグの免税売店専用品のトリプル・ウッドも美味い。48度で1000ml、最初はバーボン樽、次いでクォーターカスク、最後にオロロソ・シェリー樽セカンドフィルでフィニッシュ。税込み5670円の逸品です。ウイックの扱いがもっとも安価で、サントリーの扱いはなし。ぜひお飲みあれ。
 750もしくは700mlより1000mlの方が熟成はまろやか。わたしは完治祝いに一本取り置いています。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月05日 22:05 | 固定ページリンク




食材  | 一考    

 昨日は花火大会、近隣だと松戸である。元気だと観にゆくのだが、痛みがひどくてどうにもならない。恒例の寿司すら買いに行かれない。こんな日は不貞腐れるに如くはない。
 このところ、献立で混乱している。いまは買う対象を事前に撰んでから手早く買い物をする。以前は出掛けてから安価なものを探していたが、その余裕はなくなった。何時おかしくなるか予想がつかないからである。もっとも、腎臓が新しくなったことで食する対象が拡がったことも混乱に拍車をかけているが。

 膀胱と括約筋の生理構造がうまく機能していない。共に身体の出口にあたる重要部位である。生理に纏るところゆえ、回復は早いだろうと思うが、手術の傷口の痛みがそれを阻んでいる。既に手術から24日が経つ。交通事故をはじめ、幾度となく、さまざまな手術をかつて経験しているが、痛みで泣いたのははじめてである。実に情けなく思う。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月05日 11:54 | 固定ページリンク




握り寿司  | 一考    

 近所のスーパーの399円の握り寿司が旨いと書いた。この399円は全8貫なのだが、その中には一貫の真鯛もしくは目鯛の握りが這入っている。この白身が常に活かっている。ここからが問題なのだが、午前中であればその真鯛または目鯛をのみ握ってくれる。代金は8貫で600円ほどである。
 寿司を腹一杯喰うような下司はいないだろうが、わたしなら12貫は頂戴できる。他にも魚を買いさえすれば握ってくれるのが同魚屋の利点である。
 体重減少を防ぐために一日一食、わたしはこのシステムを利用することにした。少々高くつくが、どうやらこれで65キロのドライウェイトを維持できそうである。ちなみに現在61.4キロ。
 ドライウェイトの維持に最も必要なのが水分の補給。腎臓が試運転中なので、なおのこと慎重になる。1日2リットルを基準にしているが、汗を1リットルかけば水分は3リットル、1.5リットルなら3.5リットルの摂取が必要になる。外出した折は体重計、血圧計と睨めっこである。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月05日 11:53 | 固定ページリンク




腎臓  | 一考    

 自転車に乗られないものかと跨がってみる。10メートルほど走って諦めた。激痛に堪えられない。当然、それなりの辛抱はするつもりだった。しかし辛抱は辛抱であって、それが拷問であっては困る。

 傷口を詳述すると、事前に彼女の左側の腎臓を摘出するのだが、上端は大動脈から分枝した前腎動脈で切断、下端は腎静脈と輸尿管の最下部で切断。これを裏返してわたしの下腹部へ取り付ける。取り付けると云っても、腎動脈をわたしの腎動脈と縫いつけ、あとはぶら下げるだけである。要するに固定しようがないのである。血液は腎静脈を経て下大静脈に到る。
 下端の輸尿管はわたしの膀胱左側へ縫いつけられる。かつてのわたしの腎臓は左右とも上端は腎動脈で、下端は膀胱で切断され、あとは放置される。
 手術は以上だが、腎臓はその言葉通り、非常に重要な臓器の一つで、血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出(尿)、体液の恒常性の維持を主な役割とする。
 重さは約150gで、縦約12cm、幅約6cm、厚さ約3cm。健康な人ならば、移植などで片方を失っても機能上問題はないとされる。
 生涯、免疫抑制剤で抗体を押さえるわけだが、抗体は問題になっても血液型はほとんど問題にならない。ちなみに、わたしの場合、抗体はことごとく合わなかったが、どうあっても拒否すると云った種類の抗体がわたしの中になかったのである。もしかような抗体があった場合、移植は中止される。それは腎臓に止まらない。

追記
 手術のついでにわたしの腎臓の結石の成分を調べるため、生検をたのんだところ、手術が二重になると断わられた。その場合は既存の腎臓の摘出になるらしい。それよりなにより、今更成分を調べたところでなんの役に立つと云われてしまった。どうやら、新しい腎臓がよしんば腎結石になるとして、それまでにわたしの寿命が尽きるようである。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月04日 13:36 | 固定ページリンク




いやはや  | 長谷川    

術後の大変なさなか、過日は酔言にて失礼いたしました。鼠蹊部切開との件はまさに想像を絶します。

タリスカーのダブルマチュアードはわが冬季の定番、お店ではいただいたことがなかっただけに嬉しく思います。
佐々木幹郎さんのモルト随筆は「嗜み」連載の単行本化なのでしょうか、今から楽しみでなりません。

敬愛する一考さんとのスランジバーを希いつつ、心よりご恢復をお祈り申し上げます。


投稿者: 長谷川      日時: 2012年08月04日 00:27 | 固定ページリンク




差し込み  | 一考    

 昨日は病院でなにごとも起きず、今日は八潮へ麺麭を買いに出掛けた。そして突然の差し込みに襲われた。かなりの痛みでしばらく動かれなかった。急遽帰宅し、着ていた服をすべて洗濯、風呂を浴びる。しばし放心の体だった。
 整腸剤にビフィズス菌を加えて毎食後服用している結果がこれだとどうしようかと迷う。免疫抑制剤は三箇月ほど経てば落ち着き、量も減るという。まさかそれまでの期間紙おむつの世話にならねばならないのか。
 いまは風呂に這入られるので後処理はずんと遣りやすくなった。とは云え、わたしにとっての紙おむつは尿管と同じで著しい人格障害をもたらす。もっとも、障害者に人格もへったくれもあったものでないが。一箇月も経てば、そのような時期もあったと嗤って暮らしている、となればよろしいのだが。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月03日 23:26 | 固定ページリンク




幹郎さんの著書  | 一考    

 佐々木幹郎さんから電話あり。次回の著書「シングルモルト(仮題)」の相談である。八月の二十日ぐらいには動かれるようになると伝える。同書は真当な日本語で書かれた最初の随想集になる。モルト・ウィスキーに関する著書は数多くあるが、なによりも表現がよろしくない。先行する著書の焼き直しばかりで、オリジナリティーに欠ける。個性に欠けるとはリアリティーに欠けると云うことである。
 彼のウィスキーとの距離の取り方には独得の呼吸法がある。例えば、わたしはボウモアをもっとも苦手とするが、そのボウモアが彼にかかると美味くおもえてくるから不思議である。詩人による奇想に充ちた、なによりもわたし自身がもっとも必要とする書物である。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月03日 11:09 | 固定ページリンク




西瓜と迷信  | 一考    

 カリウムの高い食品として西瓜、メロン、赤茄子、甘蕉などがある。当然すべて禁止製品である。西瓜には利尿効果があって腎臓に良いなどといわれるが、真っ赤な嘘である。他に一部の病院の腎臓食として用いられているヨーグルトは牛乳以上にリンが高い。これなども迷信に属する。
 基本的に香辛料は大丈夫と云われるが、ペッパー系はともかく、豆板醤や甜麺醤は原材料が蚕豆と大豆なので、よろしくない。特に豆板醤には問題が多い。香辛料の大量摂取にも問題があって、なんでもと云うわけにはいかない。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月03日 11:08 | 固定ページリンク




とりとめなく  | 一考    

 このところ、とんでもないものを食べている。朝飯にホットドッグと牛乳、昼飯に80グラムのミニステーキと30グラムのイモサラダ。ちなみにこれらはすべて禁制品だったが、リンの規制がなくなったので食している。体重が61.5キロまで下がったので、見境なく食べることにした。もっとも、肉は基本的に好きでないので、食は進まない。
 ちなみに、牛乳やホットドッグのウインナは一本食べれば60日間は高リン血症になる、すこぶる具合の悪い食べ物だった。結着剤(リン酸ナトリウム、カリウムなどのリン酸塩)の含有量が多く、とんでもないものと書いた理由である。それでなくとも、牛乳は血液検査の結果と睨めっこでの試飲である。

 退院に際し、栄養士と話し合ったが、かなりいい加減である。腎臓食にヨーグルトはないでしょうとの質問に、毎日ではありませんから。一週間はリンが抜けませんよと応えると、病院側が決めているので、これでは答えにならない。なんのための栄養士かと問い質したくなる。こちらの知識に振り回されてぃたが、いままで逢った栄養士のなかでは若いだけあってよく勉強している。
 移植後も制約を受けるのは塩分、プリン体、尿酸値に関する項目だけだが、カリウムは塩分と密接な関わりを持つので、お構いなしと云うわけにはいかない。
 リンと蛋白も補完関係にあるが、こちらは気を遣わなくてよい。わたしが一番悩まされたのがリンなので、そちらから解放されるのは嬉しい。魚卵を除く魚の摂取が自由になる。退院してからはほぼ毎日魚か寿司を食べている。近隣のスーパーに寿司売り場があって399円と799円の握り寿司盛りあわせが滅法旨い。
 新しい腎臓を頂戴したので、カロリー制限はなくなった。好きに食べれば良いのにと思うのだが、身体がそれを欲しない。免疫が落ちているから生魚はよろしくないと聞かされていたが、栄養士が云うには活きがよければ問題なし、とか。どのような形であれ、寿司が許可されれば、寿司しか食うまいに。
 長年の食事制限が食そのものを細くしたのか、自由化されたからと云って食欲はまったく増進しない。まるで十代の頃の食欲に戻ったようである。そのようなときは間食に励めばよい。せめてドライウェイトは保持しなければ。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月03日 04:23 | 固定ページリンク




長谷川さんへ  | 一考    

 このところ腹の立つことが多く、理屈っぽいことを書いております。
 担当医師がウィスキー好きらしく、タリスカーのダブルマチュアードをお送りしようかと思っています。
 ダブルマチュアードならタリスカーですが、アイラではラフロイグに止めをさします。クオーターカスク、10年オリジナル・カスク、18年共に美味いですね。
 腎臓が新しくなったので、痛みさえ引けば以前のようにウィスキーが飲まれるようになります。鼠蹊部を左右20センチ切りました。おちんちんの上部4センチほどのところです。謂わば腹筋が断絶したわけで、現状では腹を支えることができないのです。傷口を見ていると切なくなってきます。早い完治を願うのみ。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月02日 22:07 | 固定ページリンク




腎臓の機能2  | 一考    

 クレアチニンが1.64にまで下がったのは結構だが、カリウムが跳ね上がっている。わたしの献立は下手な栄養士のそれより自信がある。基本中の基本であるカリウムが摂取過剰になるなどあり得ない。医師に責任はそちらでしょうと詰め寄る。免疫抑制剤のグラセプターカプセルが犯人である。1ミリグラムを7C摂っていたのを4Cに減らす。
 医師は大丈夫ですかと繰り返す。あなたは黙して頑張りそうだから困る、云ってくれないと。疵痕は痛いですよ。しかしそれ以外は食事の用意で身体を使っているので徐々に元気になりつつあると思います。非常のときは必ず連絡してください。
 
 今日は紙おむつでしっかりガードしていったが使わず仕舞い、整腸剤を一週間分追加してもらったが、次週までに下痢が治れば紙おむつから解放される。そうなると嬉しいのだが。
 体重は60キロを切らなければ問題なしだが、あと1.5キロしか余裕がない。ここにきて食欲が問題になるとは。


投稿者: 一考      日時: 2012年08月02日 18:55 | 固定ページリンク




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