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2006年05月 アーカイブ

津原泰水 | ボタン海老


一考様 薫子様
 たいへんお世話になっております。
 お聞きおよびかとも思いますが、某日打合せの席にて一考さんが
気をきかせてくだすったボタン海老、とりわけかしら焼き、金子画伯は
心からお気に召したようで、翌日早速ボタン海老探しに出掛けられた
ほどとか。美術倶楽部ひぐらしでの個展初日、その深夜にもボタン
ボタンと懐かしまれていました。
 それほど美味かった、私にも美味かった、という御報告のみのつもり
でしたが、ふと、金子國義という画家の本質にふれたような気すらした
むねも、追伸いたします。
 氏、たとえばヴィスコンティのような気に入った映画監督の作品は、
全場面を自演できるほど繰り返し御覧になっている。本なら鏡花。
暗唱できるほど読みこまれ、他は要らんとまで仰る。あるいは
ですぺらで『桜姫東文章』の終幕を再現されていたのは、むろん
一考さんも御記憶でしょう。
 一度旨いと思ったものは食い尽くす、翌日も食うし、思い出しては
また食い、ひたすら本質を見極めんとする。きっと、それを美味いと
思った己との対峙です。それが一生続く。金子様式が出来上がる。
 情報ラーメンで日々満腹している我身を恥じいる一方、氏の
ストイシズムにはゴッホが「牡牛のごとく邁進する」と評した
ゴーギャンを、ははあと思い重ねた次第です。
 海老の、頭の、串焼きは象徴的とさえ云えるほど「金子ごのみ」の
一品だったようです。



投稿者: 津原泰水    日時: 2006年05月06日 20:51 | 固定ページリンク




薫子 | 金子國義個展

金子國義さんの個展のお知らせです。

Notredame des Fleurs
会期 5月3日(水)~5月30日(火)
  サイン会14日(日)16時から
  (会場にて画集等をお買い上げの方のみに限らせていただきます)

会場 101-0051 千代田区神田神保町1-26
   美術倶楽部ひぐらし
   03-3219-2250
   営業時間 13:00~19:00(会期中無休)
下記URLに会場の地図があります。
URL: http://www.kuniyoshikaneko.com/

このお知らせをアップしようとしたら、津原さんが金子さんについての書き込みをしてくださっていました。金子さんの周りには何やら不思議な力が渦巻いているような気がいたします。



投稿者: 薫子    日時: 2006年05月08日 01:04 | 固定ページリンク




一考 | 鱒助

 一昨日、久しぶりに鱒助(マスノスケ)を櫻井さんと食べた。「かさね」からの差し入れである。マスノスケは六月から七月にかけて北海道沿岸で主として定置網で漁獲されるキングサーモンである。岩手や宮城ではダイスケもしくはオオスケとも呼ぶが、非常に数が少なくほとんど一般の市場には出回らない。
 キングサーモンはアムール、カムチャッカ、アラスカ、カナダからカリフォルニアまで分布するが、ロシアに回帰する一部が北海道で漁獲される。鮭の仲間では最大種で、全長一メートルを超すものも少なくない。かつて北海道でも放流が試みられたが、成功しなかった。
 昨今、スーパー等で比較的安く販売されているキングサーモンは外国産の海中養殖魚で、マスノスケとは食味が異なる。マスノスケには鮭特有のまったりした食感があまりなく、さわやかな舌触り、淡泊な味わいはウトロ産の鮭児とは正反対に位置する。全身これ大トロの鮭児は年間四、五百匹しか捕れず、羅臼市場のセリ値で一尾数万円になるという。しかし、マスノスケは値はともかく、さらなる貴種である。鮭児を本マグロの大トロに見立てるなら、マスノスケは銚子沖でとれる近海ものの鮪の淡い赤身であろうか。春先から秋にかけての産卵前がことさら美味、ソフィストケーテッドな味わいにいつも愕かされる。
 鮭ついでに、「スケ」とは、「サケ」の語源であり、地方によっては鮭の中でもとくに大きなものを指す。また、「スケ」は「介=大将」の意であり、サケ・マス類中最大となる本種が「鱒の介(大将)」であるといわれる。

 知床の「鮭児」、日高の「銀聖」や「時鮭(ときしらず)」、羅臼の「いばらの内子」、鵡川の「シシャモ」等々、北海道ではいろいろな珍味を教わった。そう云えば、横須賀さんはですぺらに残っていた「いばらの内子」を来るたびに食されていた。内子の在庫が無くなったとき、それが彼の命日であったように思う。



投稿者: 一考    日時: 2006年05月25日 23:53 | 固定ページリンク




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