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種村季弘先生の訃報に接し、驚いている読者のひとりです。
ファンとして先生の著作を拝読するようになって約10年程度ですが、その間、過去のものにさかのぼり、著作を通じて人となりまで知るようになりました。サイン本は宝物です。
若かりし頃は、ホッケのマニエリスムを援用して鏡花を論じたものなどが、同じ東大で学内に残ったほうの方から叩かれたりしていたようですが、そうした批判に消されなかったのは、(私などには十分理解できませんが)やはり深い理解のうえに書かれたものだったから、もうひとつには切り口の鋭さがあったからだろうと思います。
最近のものでは、河出の山田風太郎のムックに掲載されたインタビューなど、なるほどいうところが沢山ありました。先生は、談話がエッセイと同じくらい面白い方ではないでしょうか。。
資質的には創作家というより評論家のほうでしょうが、オリジナルな着想には小説家以上のものがあります。いきなり「岡本綺堂はとにかくものすごく英語ができた」とか、「ん?何だろう」みたいな。
『種村季弘の箱』のお写真で見ると、アングラ劇団の方と車座になっているときのお顔など、大変楽しそうで、この方はほんとにそういった、アウトサイダー的なものを愛された人なんだなというのが伝わってきます。牧野信一にしろ、他人の評価がどうであれ、自分が好きだから好き、というような強さ、迷いのなさがあります。
そんな種村先生を自由に泳がせてあげた奥様が立派だったということも(これもインタビューで知るのみです)。名を残した偉い人でかつ、そういうところが幸運だったりするケースが多くあるようですが、種村先生もそのひとりだろうと思います。
残念でなりません。
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