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高遠弘美 | 種村季弘先生

 今回はほとんど皆さまご存じの本からの引用です。

 「一人の人間の死は、なんといっても生身の人間の死だ。精神像としてフォローしていた人に、思いもかけず肉体の死が訪れたのだった。精神としては書かれたテキストの上に生きている。しかし肉体としてはもうこの世にいない。突然訪れたこのズレに戸惑った。思っていた以上に人間としての澁澤さんの魅力が大きかったのである。没後にそれをじわじわと思い知り、いまもいよいよ大きな空白感にさいなまれている。澁澤龍彦の死は、私にとっては一つの時代の終わりだった」

 「最後になりましたが、故人なきあと、故人にとつては一切であった、そのかけがえのない文業を守るという仕事が私たちに残されました」

 種村先生が書かれた澁澤に関するご文章の一節です。最初の部分については、「澁澤龍彦」を「種村季弘」、「私」を「私たち」と置き換へて読まざるを得ません。また二つ目については、一読者として、一考さん、お忙しいでせうが、ぜひに、とお願ひするしだいです。

追記
 昨日送られてきた神保町のある古書肆の目録に、学研M文庫の『偽書作家列伝』ペン署名落款入り、『種村季弘の箱』金ペン署名入り、が出ていました。署名本でなければ何も言ひません。しかし、つい最近のことにして著者の署名を頂きながら、どうして売つてしまふのでせうか。私にはまつたく理解できません。そんなことなら最初から署名などお願ひしなければいいのに。
 悲しみはますばかりです。



投稿者: 高遠弘美    日時: 2004年09月04日 07:58 | 固定ページリンク





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