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高遠弘美 | 続いて

一考様


たまたまプロバイダーのサーバーがダウンしたせいで、一日インターネットに繋ぐことができず御礼が遅くなりました。

「文学論」一々首肯しつつ拝読しました。最後の「追記」にも大笑ひし、ジャックの死を知って以来、このところ鬱いでゐた気が晴れました。「マンキーソース」を他の箇所でみたことがなかつたので、十九世紀ラルース的「博識」にも通じる一考さんの愛すべき悪戯心と思はれなくもなく、それはそれで、と言ひますか、わたくしの気鬱ぎを敏感に察してくださつた一考さんの優しい思ひやりに窃かに涙した次第です。
さて、『世界の食用昆虫』はわたくしの座右の書ですが、前回ご紹介したものほど複雑怪奇ではなく、ごく単純ですが、わたくしの蒙をひらいてくれた箇所から二つだけ紹介しておきませう。だし、前回同様、カタカナ部分は漢字等に変へてあります。

【蚊】蚊は一般に知られているようにか細い昆虫である。これを食べるだけ集めるのは大変な仕事であろう。その蚊の目玉を集めて食べるという料理がある。いちいち蚊から目玉をくりぬいていたのでは、とても食べられるだけ集まらない。そこで、蚊の多いところで蝙蝠をつかまえ、腹を割く。腸の中で、蚊の目玉だけがこなれが悪くて残っているので、これを取り出して食べるのである。これは味よりも舌触りや歯で噛んだときの感触を楽しむものである。

蜻蛉の胸の筋肉などはほれぼれするほど美しい。残酷な話であるが、蜻蛉の翅を左右に引っ張ると、胸の真ん中がさけて、縦に並んだ筋肉が露出する。(略)活溌な運動を司る筋肉には赤身が多い。たとえば素早く逃げ回る雄のごきぶりの肢の筋肉は赤色筋である。(略)ごきぶりの後肢基節や腿節の、外皮をはがしてみると、食欲をそそるようなきれいなもも肉が現れる。顕微鏡で拡大してみれば、十分鶏のもも肉に比肩しうる様相を呈している(鶏肉のもも肉とごきぶりのもも肉の、相似た拡大写真あり)。もし、ごきぶりを鶏くらいの大きさにすることができれば、ブロイラーとして十分役立てることができよう。

ちなみに、著者の三橋氏は、東大農学部出身の農学博士。日本農学賞、読売農学賞などを受賞した昆虫学者。同書の最終章は、食糧供給の悪化対策から「未来食としての昆虫」となつてゐます。

追記
わたくしの分の「猫」もお願ひいたしますね。



投稿者: 高遠弘美    日時: 2004年07月06日 23:08 | 固定ページリンク





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