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先週の金曜日に白鳥友彦さんと銀座で酒を飲みました。席上、偶然にジャズ・ピアニストのホキ徳田さんとお会いし、四時間ほど語り合いました。67年にヘンリー・ミラーと結婚、五人目の奥さんでした。ヘンリー・ミラーはジョイス、プルーストと共に20世紀を代表する作家です。そのお話を伺いたく、ホキ徳田さんを囲み「ヘンリー・ミラーを語る会」が催せたらと思っています。
パリでのボヘミアン生活を描き「何よりわいせつなのは無気力である」という主張を叩き付けた「北回帰線」と熱烈な恋愛描写で識られる「南回帰線」について語り明かせたら面白いと思います。ホキ徳田さんの弁によるとヘンリー・ミラーが付き合った八人の女性はすべて異国人だったとか。愛による自己の精神的な蘇生を図ったロスト・ジェネレーションに相応しい恋愛だったと推察出来ます。
韓国語に「ワッタガッタ」との言葉が御座います。韓国語と日本語を混ぜ合わせた言葉で「わったりがったり」を縮めたものです。意は「行ったり来たり」、ちなみに酒席における杯の往返、すなわち回し飲みを表現する際にも用います。言い換えれば「往来」「往還」「ゆきかえり」「行きつ戻りつ」となりましょうか。ただし、廻国または商用旅行の意が強く、日本語でいう「徘徊」や「立ち徘徊る」には馴染みません。いずれにせよ、文化の本義とは廻国。互いにゆききすることによって、異なる生活形成の様式と内容が混じり合い、育まれて行きます。
当店での晤語がヘンリー・ミラーの恋愛にも似て、識見、つまり思想や志の交流の場ともなれば、店主としてそれにまさる喜びはないのですが。
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