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松友さんへ
一杯目ののランソンは間違いなく、同じクラスならドン・ペリより旨いシャンパンです。私はランソンがサントリーの扱いであるとの理由だけで、サントリーを高く評価しています。
スプリングバンクのシェリー・カスクは12年と21年のみ、それ以上の熟成年数を持つバンクは原則としてアメリカン・オークです。ちなみに、シグナトリー社のファット・ボトルのアードベッグはオロロソ・カスクの30年ものですが、珈琲のような色と渋味を有しています。
シェリー樽での長期熟成にはちょいと無理が生じるようです。従ってシェリー・カスクと言っても、タリスカーの21年ものカスク・ストレングスや貴方が飲まれたミルロイ社のアードベッグはフィノ・シェリーの樽を用いています。
ニュー・ブルイックラディの長期熟成品はさまざまな樽で熟成されたモルトを混ぜ合わせたものですし、マッカランのオフィシャルの30年~50年ものはリフィール・シェリーをはじめ、やはり同じ蒸留所の各種モルトをヴァッティングしたものです。ボトラーのボトルと異なり、オフィシャル・ボトルはすべてがヴァッティングのため、かかる操作が可能になります。ダーク・シェリーの樽のみで30~50年と寝かせますと、上記アードベッグのような結果となってしまうのです。今回のマッカランのニュー・カスク・ストレングスにしましても、10年だから美味なのであって、あと2年寝かせれば渋味が勝って飲めなくなります。
話序でに、オーナーが代わったブルイックラディ蒸留所について一言。
旧オーナーのインヴァー・ゴードン社は在庫をドル・シャン・アイラの名でボトリング。2002年初頭、40度の10年ものが頒されました。香味は旧ボトルと同一です。
新オーナーのマーレイ・マクデヴィッド社はボウモアのジム・マクイーワン氏をトレード。2001年5月21日に操業を再開した蒸留所は2002年3月に新しいオフィシャル・ボトルを頒布しました。アイラ・モルトとしては初めてアイラ島の水を仕込用水に用い、アルコール度数は46度、カラメルを一切用いないナチュラル・カラーが謳い文句です。
ニュー・ブルイックラディの10年ものは60%がリフィール・シェリー、40%がアメリカン・オーク。15年ものは85%がアメリカン・オーク、15%がオロロソ・シェリー。20年ものは100%がアメリカン・オークです。
ペーパー・フィルターのみでチル・フィルターを施さないことによって、油分がウィスキーに残ります。特にアメリカン・オーク由来のバニラ香とシェリー樽由来のフルーツ香とのベスト・マッチングの15年ものはジムさん(愉しいアルチュー患者)の面目躍如と言ったところ。理由があって、ですぺらには当座は置きませんので、他店でお飲み下さい。
それ意外にも何種類かのカスク・ストレングスがボトリングされました。そちらはすべてアメリカン・オーク。フレッシュ・バーボン・カスクのボトルは気に入りましたので、ですぺらに置きます。
西の地の時代にはシグナトリー社が素敵なボトルを陸続と売り出していました。現在ではダグラス・マクギボン社とダグラス・レイン社が華を競っています。とは言っても兄弟会社。レイン社が50度のプリファード・ストレングスを、マクギボン社が43度に加水したアイテムとカスク・ストレングスを頒しています。そこへもっか殴り込みをかけているのがイアン・マクロード社と言うことになりましょうか。いずれにせよ、オフィシャル・ボトルより安価で、より旨いモルト・ウィスキーが飲めるのですから笑いが止まりません。
ところで、私は14日は閉店後、六本木にて編輯の仕事。貴方は終電に間に合ったのですか。
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