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一考 | 背負縄

 「黒木書店-2」で黒木の親父が「ダンボール函にして四つか五つ分の本を首に掛けて一挙に持ち帰られる」と書いたが、あれは額にかけて荷物を運搬する背負縄を表現したかったのである。古書組合で業者向けに頒されている木綿の風呂敷があって、ひとひとりを包めるぐらいの大きさがあった。対角線上の二方を短く、二方を長くゆとりを持たせて縛り、額にかけるのである。私も長く愛用していた。
 ドゥルーズとガタリは、ノマド(流浪の民)が空間を分割せず、固定した中心を持たず、また階層性をしりぞけることによって国家的秩序を拒む存在であることを指摘している。他方、アイヌの世界観は垂直的には三層で構成されていると信じられていた。つまり、現実の人間の世界(アイヌモシリ)は大地に、死後の世界(ポクナモシリ)は地下に、そして神々の世界(カムイモシリ)は天上にあるとされた。しかし、ポクナモシリはアイヌモシリと同じ様相を呈し、神々も儀礼の目的に応じて主役としての位置づけが変化する。至高神的性格のものは存在せず、パンテオンを構成していないのである。要するに、神々のあいだに序列はあっても、なんらの上下関係がない。同様に、神とひととはほぼ対等な位置関係にある。
 このところ、ドゥルーズの影響でアイヌ文献を繙いている。そのなかに背負縄がでてきたので思い出したのである。



投稿者: 一考    日時: 2006年12月18日 01:21 | 固定ページリンク





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