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エス | 「地獄の季節」再説

僕はかの大先生から除名されましたが、そこから何かを、あるいは誰某を除名すべきグループというものがそもそも存在しなかったのですから、貴兄のおっしゃるとおりです。すべてただのけちな幻影です。
でも、ブルトンの散文とスターリン主義批判の弾劾文のなかには今読んでもとても美しいものもありますよ。たしかに小生ももうブルトンはさすがに読まなくなりましたが。

それと齋藤磯雄氏に関しては、まったく同感という他はありません。
小生もかねてから齋藤磯雄氏の翻訳に関して、巷で囁かれていたこととは反対の意見を抱いておりました。フランス語を少しかじって後に、私なりにわかったことですが、ボードレールはあんなものではありませんでした。ボードレールは擬古文で訳してはだめです。ボードレールは、もっとシャープで、もっとそっけなくて、暴力的で、どういえばいいのか、もっと現代的なのです。それに齋藤磯雄氏の訳は意味の観点から言っても原文に忠実であるとも言えません。そもそもすぐれた作家にはそれぞれ独自の文体のリズムというものがあり、それを少しでも再現しようとしない翻訳はだめな翻訳だと思います。それを試みようとしないのであれば、翻訳する意味などありません。要約を、解説を書けばいいだけなのですから。だからこそヴィアンの「墓」は「奥津城」と訳してはだめなのです。ボードレールについては、色々な翻訳を調べてみたことがあるのですが、案外、荷風の訳が忠実なことに驚いたことがありました。荷風の訳はある意味現代的と言っていいと思います。案外そんなものなのですね。
でも、私のいい加減な感想を言えば、決定的なボードレールの日本語訳はまだ存在していないと思います。
ところで、貴兄のご意見をうかがいたいのですが、平井呈一氏の翻訳についてはどう思われますか。



投稿者: エス    日時: 2006年12月01日 23:25 | 固定ページリンク





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