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一考 | 白ワインいろいろ

 ローマを州都とするラツィオ州のDOCワインではエスト・エスト・エストとフラスカーティが有名である。そのエスト・エスト・エストを飲むならイタロ・マツィオッティ社のディ・モンテフィアスコーネが秀逸である。私が飲んだものは十六種類だが、わが国に入荷されたものは二十種類を超えると聞く。要するに全部を飲んだわけではないので大きなことは言えないが。
 エスト・エスト・エストは酸味を大きな特徴とする。しかし、いくら酸味が売りのワインと言えども、酸っぱいだけで、香りに奥行きがなければ興醒めである。酸味は塩味(鹹味)、甘味、苦味と共に四原味を構成する基本的な味のひとつである。その四原味を支え補助するのが香味、辛味、渋味、えぐ味、うま味、収斂味、清涼味、滑転味、アルカリ味、金属味などだが、この内の香味だけは嗅覚の領域に属する。ワインの香りの種類と表現法についてはかつて掲示板で書いたので、ここでは繰り返さない。
 アルコール飲料にあって、「うまい」「まずい」の判断の九割が香りで決まる。残る一割の九分を四原味が占め、よく言われる辛味や渋味は一分に過ぎないと私は思っている。その比率はウィスキーもワインも同じである。
 従って、飲むまでもなく匂いを嗅ぐだけで九割方は判断できると思う。判断の対象はボディやキャラクターにとどまらず、フィニッシュにまで及ぶ。ウィスキーの場合は熟成樽の種類からカスク・コンディションまで、大略を予測することが可能である。
 エスト・エスト・エストはムスカデやシャブリ同様、「安くてマズイ」とのイメージが強い。それら比較的安価で飲めるワインこそ、多少の金数を無理していただきたいと思う。こんなことを書くのも、イタロ・マツィオッティ以外のエスト・エスト・エストを飲んでワインへのイメージを落とすぐらいなら私は水を飲んで我慢するのである。
 シャブリもここでは繰り返さない。ムスカデに関してはルイ・メテロのムスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュル・リーがお薦めである。ルイ・メテロのムスカデには1995年8月29日収穫の葡萄から造った長期熟成のプルミエ・ジュールがあり、そちらは三千円を超えるが、前者なら二千円で購入できる。イタロ・マツィオッティのエスト・エスト・エストなら千八百円ぐらいで手に入るはずである。二千円のワインをホテルやレストランで飲むとなると八千円を超す値段になる。プルミエ・ジュールを私は神戸のホテルで飲んだが、一万五千円に税サが加えられた。ただし、95年のイタロ・マツィオッティのエスト・エスト・エストなら一万円の出費も惜しくはない、それほどに美味なワインである。
 赤ワインに限らず、白ワインや日本酒にも熟成が必要なことは何度も書いてきた。前期プルミエ・ジュールほどではないにせよ、樽熟が十分になされたワインにスペインの北西、大西洋に面したリアス・バイシャスのサンティアゴ・ルイスがある。98年以降は熟成期間が短くなったと聞くが、リースリングに似たアルバリーニョ種から産出されるだけあって、柑橘系の厚い酸味と凝縮した果実味のバランスが心地よい。年初に03年ものを飲んだが、味の基本はしっかり守られていた。ちなみに、同ワインの96年ものは、添加剤の入らないボトルが間違えて輸入されている。神戸の酒屋でそれとヴィッキオマッジオのリパ・デッレ・モンドーレ(こちらは赤ワイン)をですぺら赤坂のオープニング用に十ケースずつ購入、雀躍りしたものである。
 上述したワインの一部は以下のサイトでも紹介されている。信頼できる書き込みである。
 http://www.atelier-v.jp/column.html



投稿者: 一考    日時: 2006年08月21日 10:33 | 固定ページリンク





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