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一考 | ファシズム

 かつて、某新聞社で働いていたとき、書籍の印刷を知り合いのところで出来ないかと伺いをたてた。許可を得てかなり安く見積もったのだが、大手印刷会社からこの仕事は10円でやろうとの横やりが入った。はなしはあっけなく頓挫し、それ以降理由の何如を問わず、便宜をはかるのは止めた。私がいいたいのは企業談合がなくなれば、生き残るのは大手だけで、中小の企業はすべて潰されるということである。ことの是非は問わない、事実関係を述べているまでである。

 85年のプラザ合意を持ち出すまでもなく、日本は米国との貿易摩擦を避けるため、常に内需拡大を迫られてきた。その結果、上下水道、都市公園、産業廃棄物処理場などの生活関連投資、もしくは地方空港、新幹線、道路整備など、多くの公共事業に多額の金を投じてきた。そこで問題なのは、地方の政治・経済は依然としてインフラ頼みだという点と、審議会が役所の追認機関になってしまっているとの点である。道路関係四公団民営化推進委員会の猪瀬直樹氏や大宅映子氏などは数少ない例外であって、官僚たちは意のままになる学者をしか集めない。まあ、そんなこともどうでもよい。問題は「インフラ頼み」にある。

 自民党は長いあいだ、地方支部から推薦された候補者を党本部が公認してきた。地方が欲したのは「利権」であり、必要としたのはそのための「しがらみ」だった。そうしたボトムアップ型の手法がもたらしたものは、世襲議員の横行と若手の新人の排除であった。その間に、民主党は枝野幸男氏のようなすぐれた若手を落下傘候補として陸続と地方に送り込んでいった。得票率において、民主党が自民党を追い上げていった理由はそこにある。このままでは自民党は解体する、との危機感を小泉首相が抱いたのは当然であった。しかるに、自民党の地方支部の幹部は既得権にしがみつき、仕切ってきたのは俺たちなのだと、ことここに至ってなお平気で官邸に楯を突く。談合体質が身に染みこみ、ボトムアップ型思考に馴らされたひとたちは、個々の意見の折衷にこそ平和があり、個々の意見を少しずつ取り込むことによって責任から逃れられる、それこそが民主主義だと信じているのである。時代が変われば理念も変わる、世界には掃いて捨てるほどさまざまな民主主義がある。そしてさまざまな民主主義がなければ困るのである。これこそが民主主義だというような固着した概念が生み出された瞬間、それは繭を脱ぎ捨ててファシズムに変態する。

 実体は「郵政関係者の、関係者による、関係者のための郵便事業」であるにもかかわらず、先だって坂本氏は「日本の経済発展を明治から支え、インフラ整備や国民の貯蓄・保障に多大な貢献をし日本の文化的財産でもある」と著していた。そのような「俺たちが」といった意識、言い換えれば我田引水こそが騙しであり、独善であり、エゴそのものであることに気が付かない。自民党の地方支部の幹部と同根の選民意識がふんぷんと臭うではないか。今回、小泉首相は民主党に倣い、地方支部のゴリ押しを無視し、多数の若手の落下傘候補を戦いに送り込んだ。それが奏功するかどうか、9月11日は近い。



投稿者: 一考    日時: 2005年08月25日 02:37 | 固定ページリンク





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