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佐々木幹郎 | 


詩篇「木」の全文を転記しておきます。

夢から醒めたとき
すでに流されていたのだ
うぶすなの上に
母親は両手を伸ばして
一本の木につかまり
笑っていた
夢から醒めたとき
神の名も呼ばずに
口を開けていたのだ
東の海の大きな桑の木の繁る島で
銅の顔をした九羽の烏たちが
木の枝からわたしを見ていた
アマ アンマア
アマという名の海 アマという名の空
アンマア
海と空のまじわる白砂の上で
わたしは叫んだ
海と空を照らす 母のことを
アンマア
蚕のような目をして
二千年
見えない絹の糸を吐き出しながら
                (詩集『砂から』書肆山田、2002)



投稿者: 佐々木幹郎    日時: 2005年05月05日 11:21 | 固定ページリンク





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