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一考 | 終点酒場

 「多くの方々との出逢いが一番の財産」との薫子さんの意見は正しいと思います。それにしても、当店のお客様の死亡率は目立って高いようです。掲示板での記載は遠慮しましたが、年末から年初にかけて、常連さんでもあり、若いころから親しくさせていただいた俳人が三名亡くなられました。知己の死はこの五年間で二十名を超えました。平均年齢は五十二~三歳、ちょいと若すぎるように思います。
 からだに悪い酒を売っているわけではないのだが、との問いに「この店は、手遅れさんいらっしゃい、の店なのですよ」と常連さんは応えます。沖山さんからは「終点酒場」との呼び名を頂戴しました。
 知己の死の影響なのでしょうか、二月十日からずっと体調すぐれず、何度か欠勤のはめに落入り、お客様に迷惑を掛けております。五月二日をめずらしく休業にしたのは、一日から五日までの福島、栃木のキャンプ場巡りでなんとか気分転換をはかりたいからなのです。
 それにしても、シェイクスピアの悪しき影響なのでしょうか、生死が問題となる話題が多いようです。ひとは必ず死ぬのですから自死に対して私は否定的な意見しか持たないのです。
 他者への憧憬、そしてやってくる同化、同化の過程で必ず起こる自己解体。そういった自己との論争、自らへのあらがい。言い換えれば、自分自身のマイナー哲学への忠実さ。さらに言い換えれば、生成変化や連続変化として存在するマイノリティ。再構成を常に余儀なくされる宙ぶらりんな状態に身を置くことこそが、思索だと思っている私にとって、哲学的な死と生物学的な死とがどんぶり勘定でなされるような話を聴かされるのは不愉快なのです。
 自己を信じ、神を信じるような蒙昧主義者であれば、それこそ「勝手に死ねば」としか言いようがないのです。ちなみに上記二十余名のなかにそのような方は入れていないのです。



投稿者: 一考    日時: 2005年04月25日 19:43 | 固定ページリンク





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