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如月 | ポツドール『ANIMAL』

 劇団「ポツドール」http://www.potudo-ru.com/の最新公演『ANIMAL』を観
た(脚本・演出:三浦大輔、会場:三鷹市芸術文化センター風のホール)。
 私がこれまでに観たポツドール公演、王子小劇場、下北沢駅前劇場という小さ
なプライヴェート・ホールで行われているのだが、今回は公共団体が運営するパ
ブリックなホールでの公演ということで、観る前に、ポツドールらしさが薄まっ
てしまうのではないかと懸念していたのだが、そうした懸念はみごとに裏切られ、
ポツドールの公演の中でも屈指の作品となっていた。脚本・演出の三浦大輔さん
に心からの敬意を捧げたい。
 『ANIMAL』のストーリーは比較的単純である。
 とある橋の下に約10人の若者たちが集まり、耳をつんざくようなディスコ音
楽をかけて踊ったり、しゃべったり、たわいもないことで喧嘩したり、時間をつ
ぶしている。そのうちに橋の下の一画にテントがはられ、若者達は、一人、二人
とそのなかに入ったり、出てきたり、局面が動く。肝腎なこと(いかがわしいこ
と?)はすべてテントのなかで行われ、観客には決定的なことは何もみえない。
そうこうしているうちに、テントの中で裸になっていた若者が突然死んでしまい、
その死をめぐって若者達の間に動揺がおこる。
 さて実は、『ANIMAL』という芝居のすごさは、こうしたストーリーにはない。
 開演当初、単なる舞台音楽だと思われていたディスコ音楽はいつまでたっても
やまず、この騒々しい音楽のために、出演者のセリフは一言も聞き取れない。
 つまり、上に書いたストーリーと、それをすすめる会話は、観客の耳には最初
から最後まで一切届かないのだ!
 これはいわゆる「無言劇」ではない。セリフ(会話)があることを前提とした
芝居であり、実際、役者はみんな一生懸命口を動かしているのだが、それはまっ
たくといっていいほど聞こえない(時々、「オイ」とか「コラ」とかいう言葉が、
かろうじて洩れ聞こえてくる)。
 セリフとは聞こえるもの、芝居とはセリフを聴かせることによって意味を伝え
るものということに対する、これはなんという強烈なアンチ・テーゼ!
 芝居の進行ののなかで、途中、登場人物が二度、ディスコ・サウンドを止める
のだが、その時舞台を支配する沈黙もいい。しばらく沈黙が続いて、そこで何が
「語られる」のか、観客が固唾をのんで見守るなか、別の道場人物がまた音楽の
スイッチを入れ、それと同時に(観客には聞こえない)会話のやりとりが再開する。
 すべては示唆されるだけである。
 同公演、東京は本日が最終日だが、15日~17日まで大阪のin→dependent
theatre 2ndで大阪公演が行われる。関西地区の人はぜひ!



投稿者: 如月    日時: 2004年10月11日 21:27 | 固定ページリンク





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