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一考 | 非国民のすすめ

 高遠さんへ
 齋藤貴男『「非国民」のすすめ』(筑摩書房)はぜひ読ませていただきます。ご教示かたじけなく思います。以下は例によって託つけてのはなしですので、無視してください。
 今般の中野区の小学校PTA会長辞任のはなし、北朝鮮の拉致被害者およびその家族へのいわれなき非難、イラクで拘束されたひとたちに対する悪口雑言の数々。いつから日本の大衆は弱いものいじめを専らとし、マスコミは日本的お上思想のプロパガンダと化してしまったのか。読売新聞、産經新聞、週刊新潮、または2ちゃんねるへの外務省役人のリーク、それに乗せられて浮かれるネット雀の猛々しい囀り等々。
 高橋源一郎さんの「どこかの国の人質問題」が4月19日の朝日新聞夕刊にかかげられるまでは、まさに誹謗中傷の嵐でした。民意という名の愚に反し、大胆な提言を著された高橋さんに深く感謝したいと思います。数日後に掲載されたアンケートによると国民の65パーセントが憲法改正に賛成とやら。憲法は理念であって法律とは異なるのです。時代に似うかそぐわないかが問題になるのは法律であって、憲法の領域で論議の対象になるような問題ではないのです。民が先行きいかにあるべきか、日本が遠い将来、どのような国家になるべきか、そういった子々孫々の代へのヴィジョンを描き示唆するのが憲法であり、そのヴィジョンに対する議論を深めるのが政治家本来の仕事であったはずなのです。国家、国体のためと称し人民を死の淵に追いやるような愚挙を犯した点では日本もドイツも朝鮮人民民主主義共和国もすべて同罪ではなかったか。そして、それら国家と国家の構成要員である国民、もしくは異を唱えず例え間接的にせよ独裁体制を支えた大衆、それらはすべて同罪ではないですか。ネットの匿名性、個の抽象化はひとをここまで大政翼賛会や国民義勇隊的なものの考え方へと誘うものかと愕いております。もちろん、大政翼賛会とは時代が異なります。しかしながら、強制ではなく、みずから顧みることなく多数の意見を選択したとあっては、「隣組」の時代以上に怖ろしい状況に立ち至ったのではないかと憂えるのです。
 とりわけ悲しく思ったのはですぺらのお客のなかにさえ、イラク問題に関して「好きで行ったのだから自業自得」とか「自己責任をとらせるべきで税金を使うな」とか「政府に逆らうのはけしからん」といった滅茶苦茶な暴論を吐く御仁がいらしたことです。ひとのおつむが平凡であることを非難はしません。しかしながら、凡庸を羞じることなく、あまりの民度の低さを誇らしげに表出されたら「ですぺら」の名が可哀想です。非凡とまではいかなくとも、せめてもうすこしの懐疑、屈折をお持ちいただきたい。そう冀っての掲示板だったはずなのですが。無視するしかないような書き込みに応じるのも、土方巽や寺山修司に共感を覚えるような「非国民」がひとりでも増えていただきたいがために他ならないのです。

追記
 イラクで拘束された三名はたしかに自己責任を果たしたとは言い難い部分もあります。それは彼等に対して「反日分子」との暴言を吐いて謝罪すらしない広島選出のそれこそ反日分子的政治屋や民度の低い大衆に対する非難、論難そして啓蒙をいまだ試みていない点なのです。

 この件に関し、ぜひ http://www.ac-net.org/honor/ をご覧いただきたい。



投稿者: 一考    日時: 2004年06月14日 23:34 | 固定ページリンク





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