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一考 | ちりめん山椒いろいろ

 静岡 舞阪 360円 小
 紀州 下津 450円 小
 広島 音戸 天日干し 735円 中
 淡路 南淡 420円 中
 淡路 津名 180円 大
 阿波 和田島 330円 不揃い
 大分 佐伯 230円 大
 鹿児島 川内 150円 極小
 鹿児島 川内 天日干し 280円 極小

 以上のちりめんじゃこが築地から到着(値は100グラム)、明日は上記と産地の異なるちりめんじゃこが十種類入荷予定。本格的にちりめん山椒に取り掛かっております。ちりめんじゃこは産地や時期によってかなり味わいが変わりますが、実山椒と共にいまが旬。その後判明したことや注意事項を書いておきます。
 まず、山椒について一言。
 ちりめん山椒が漁師料理であった頃は主として葉山椒が使われていましたが、戦後、京都の割烹で出されるようになってから実山椒が用いられました。当初、塩茹でした実山椒をそのまま使っていましたが、やがて醤油と砂糖で煮込んだ実山椒すなわち有馬山椒を用いるようになりました。「少しでも手の込んだ京料理」を地でゆく変遷だと思います。なお、塩茹だけの実山椒、有馬山椒は共に瓶詰めで売られていますので、入手は容易。
 江戸時代の文献をいくら調べてもちりめん山椒の記述がなく不思議に思っていたのですが、冷蔵庫の発達がちりめんじゃこには不可欠であることに気がつきました。ちりめんじゃこは冷蔵庫に入れても3~4日、内蔵が酸化するので一刻も早く冷凍しなければならないのです。家庭用の氷冷蔵庫が電気冷蔵庫に取って代わるのは60年代、冷凍庫付き冷蔵庫が家庭で普及するのは70年代に入ってからです。業務用冷蔵庫や氷の普及と共に、カクテルが一世を風靡したのが昭和33年。ちりめんじゃこの歴史は古く、また戦後間無しに京都の上賀茂でちりめん山椒が作られているのですが、一般家庭に普及したのはやはり昭和30年代で間違いなさそうです。
 「播麿でクギ煮を造っているところは昔からちりめん山椒も造ってい」たと書きましたが、漁師が拵える郷土料理であったちりめん山椒が京都でブランド化されるには眞空パックの技術開発も必要でした。それやこれやで、ちりめん山椒がフリークと呼ばれるひとたちを生んだのはこの20~30年のことなのです。
 香川のいりこ飯を速達で送ってもらったのですが、実態は醤油で煮詰めたいわしのかんから乾し、紀州の貝塚煮と共にちりめん山椒とは赤の他人でした。
 調理について一言。
 製法はかつて二度当掲示板で書いていますので、重複は避けます。Googleで検索したのですが、作り方はほとんどが同じ、おそらく孫引きが多いのだと思います。まず、油で十分に炒めるのと味醂ではなく砂糖を用いるのは共に食感をよくするために大事。味醂はべたつきます、ちりめん山椒は佃煮とは異なるので、味醂は使わないでいただきたい。「水と酒を浸るまで加え、灰汁を取ります」と前回書きましたが、さほど灰汁は出ません、これは塩抜きだと思ってください。ちりめんじゃこは塩茹したものを乾して作るのですから、塩抜きしないとだだ辛くなります。それを笊に取り水切りしたあと、醤油と砂糖を加えて煮詰めてください。山椒は同時に入れようが、あとから入れようが香味は変わりません。ただし、有馬山椒を用いるときはその漬け汁は除去してください、やはり辛くなりますので。醤油と砂糖の量ですが、100グラムのちりめんに30ミリリットルの同割り。繰り返しますが、醤油30ミリリットルと砂糖30ミリリットルの合計60ミリリットル、言い換えれば大さじ2杯づつです。これを超えると佃煮になりますので注意。
 しらす干しは最近は水分の多い軟らかいものが多くなり、煮て水切りしただけの釜あげしらすが出回っています。水分の多い軟らかいものは、だいこんおろしと和えたり、卵とじ、てんぷらなどにしますが、ちりめん山椒にはどうあっても、よく乾したちりめんじゃこを使ってください。食感がいのちの食べ物です。固めに硬めに作るように心掛けてください。



投稿者: 一考    日時: 2004年06月30日 21:13 | 固定ページリンク





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