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一考 | 陽のあたらない文学館

 先日、酒井潔の「悪魔学大全2」の解説で「庶民派エンサイクロペディストの石井研堂、そのあとを継いだ和田健次や日置昌一。『東西薬用植物考』の川端勇男、『東西香薬史』の山田憲太郎、『東西沐浴史話』の藤浪剛一、『日本化粧史考』の久下司、『見世物研究』の朝倉無声、『香具師の生活』の添田知道、『賭博と掏摸の研究』の尾佐竹猛、『とらんぷ』や『奇術随筆』の阿倍徳蔵、『奇術の世界』の坂本種芳、『カメラ社会相』の片岡昇、『奇妙な存在』や『露西亜舞踊』の大田黒元雄、『夢』の研究に没頭した石橋臥波、芸者心得帳とでも称すべき『候べく候』を著した楠瀬日年、『金魚の研究』に生涯を捧げた松井佳一などなど、圏外文学のネタには事欠きません。青裳堂書店の『日本書誌学大系』の向こうを張った本朝圏外文学大系の上梓を私は心待ちにしているのです」と著しました。
 固有名詞を並べ立てるのは私の趣味ではないのですが、某編輯者に唆され、まあそれもよかろうと言うことに相成りました。この内の三冊は重版が上梓されましたが、その他の書冊はいまなお顧みられないようです。
 柵山人、坂本紅蓮洞、藤沢清造、兵本善矩、泉斜汀、荒川義英、倉田啓明は亀鳴屋さんにお任せするとして、稲垣足穂、池谷信三郎、郡虎彦、十一谷義三郎、鈴木泉三郎、鈴木善太郎、富ノ澤麟太郎、山田一夫、正岡容、西川満、大黒田元雄、木下杢太郎、牧野信一、野溝七生子などは気になる作家です。その内、郡虎彦、木下杢太郎、牧野信一は全集が出ているので不要。山田一夫と正岡容は全集ではないのですが、一応読むことが可能です。野溝七生子は小出昌洋さんが頑張っておられるのでこちらも問題なし。とすれば他の八名になります。
 毛並みの変わったところでは大泉黒石、松永延造、辻潤、武林夢想庵は纏まった形で読まれるのですが、野村隈畔の著書はただの一度も重版されていません。さらに加えるに城左門と西条八十の詩は上梓されましたが、平井功、矢野目源一、石川道雄は未刊のまま。そう言えば、石川信夫を読むのも不可能に近い・・・とこんなことを申し上げるのは他でもない。東京の某出版社が来年、この辺りの「陽のあたらない文学館」にどうやら陽を当てるらしいのです。第一回は「跫音」や「白樺になった男」を著した十一谷義三郎。正夢になりますようにと祈っています。M井さん、頼みますよ。



投稿者: 一考    日時: 2003年11月18日 00:02 | 固定ページリンク





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