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蕎麦の実の外皮を取り去った(丸抜き)ものを蕎麦米といいます。徳島、愛媛、山形では干した大根の葉や生姜、椎茸、牛蒡などとともに雑炊にしていただきます。三好郡の祖谷地方や美馬郡あたりの山村の蕎麦米は特に知られています。また新潟や山形の一部では蕎麦米の浅漬けが酒の肴として食されます。江戸期の蕎麦百珍にもそのレシピが書かれ、蕎麦通には馴染みの食べ物です。
ところが東京へ来て以来、蕎麦屋で蕎麦の実の浅漬けに出会ったことがございません。そして検索をかけて驚いたのですが、ネット上に浅漬けの記述がないのです。どうやら東京の蕎麦好きにとって興味の対象は蕎麦切りであって、懐石としての蕎麦はうっちゃられているようです。もとを正せば、蕎麦が名をなしたのは懐石料理で採り上げられたからなのです。もう少し料理人が差配する蕎麦懐石にも目を向けていただきたいものです。
さて、その蕎麦米の浅漬けのもっとも簡単な作り方を書いておきます。所要時間は二時間以内、末尾に購入先も記載しておきます。
一 しかるべき量の蕎麦米を一時間ほど水に晒した後、水切り。
二 白出汁に酒と微量の酢と塩を加え煮立てます。そこへ蕎麦米を入れて七分から十分とろ火で炊き、再度水切り。
注意事項
白出汁はインスタントの出しの素で結構ですが、その場合は塩は不要です。
酒は全量の五分の一から四分の一ぐらい。間違っても吟醸酒は用いないように。
酢は水四合にティースプーン一杯といった感じ。
蕎麦の実が水を吸って三倍ぐらいに膨らみますので、だし汁は潤沢に用意してください。
三 冷ました蕎麦米を密閉容器に入れ、三分の二ぐらいまで浅漬けの素を入れます。そうするとあら不思議、三十分で出来上がりです。
蕎麦好きにはそのプチプチ感が堪らないのですが、にべもない香味であるのも事実、カタルシスからはほど遠いと思われる向きには鷹の爪の微塵切りを一緒に漬け込むのをお薦めします。ただし、微量にしてください。
ネット検索の結果、埼玉の「米のこくまん」(http://www.kokuman.com/cargo/cargo.cgi)が最も安かったようです。蕎麦米一キロ700円、どうぞ御贔屓に。
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