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一考 | もっとからだで恋を

 川上史津子さんの小説集「えろきゅん」が講談社から上梓されました。
 川上さんは舞台に立とうが、歌を書こうが、小説を著そうが、常にどこかに本音をちりばめています。ちりばめているというのは不正確かもしれません。なぜならそれは意図してちりばめられたのではないからです。

 歌集「恋する肉体 koisuru karada」飛鳥新社を上梓、直球勝負で性を詠い幅広い世代の支持を得る。自称「日本一のエロ短歌女優」

 と今回の本に記載されていますが、それはそうでしょう。貴女に癖玉は無理ですよ。だって、貴女はかくありたい、かくあらねばならないというようなディレッタンティズムやダンディズムを持ち合わせていないのだもの。構うべきなりふりがなく、のっけから解放されているのですよ、固定観念から。だからこその直球勝負なのです。知識という鎧を持たず、自らの精神に定型を、また自らの肉体に定形を持たず、とのスタンスを崩してしまえば役者はつとまりません。望まれるところの者になりおおせるのが役者の唯一のつとめなのですから。
 貴女には輝きがあります。根が純で、貴女の日々のすべてが旬なのです。既存のカタログに収まりきらない新しい文学を拵えていただければと願います。それがいかに珍妙なものであれ、不真面目なものであれ、よろしいではありませんか。そんなところからしか、明日へのステップは生まれないのですから。
 この歳になるまで、なにかありそうで何もないものばかり見せ付けられてきたような気がします。鬱屈した心情や佶屈な文章などはわたしたちの世代で終わらせるべきなのです。「浦の苫屋は朽ちやしぬらむ」の心意気が必要です。「エロティックで甘くて苦い三十一文字と恋物語」大結構、ついでにそこに「かろみ」もお忘れなく。
 みなさま、一考推薦の「えろきゅん」をお買いあそばせ。



投稿者: 一考    日時: 2003年03月19日 20:04 | 固定ページリンク





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