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一考 | シモンという名の人形

 みなさんへ
 四谷シモンさんの「人形作家」は昨今めずらしく読み応え、噛み応えのある本です。
 本書では状況劇場におけるチームとしての表現から人形作家という個の表現へと向かうシモンさんの葛藤がつまびらかに著されています。また、リメーク、コピー、量産といった作品の規格化を拒み、人形に限らず文化そのものの類型化を忌み嫌ってきたシモンさんの本音が澹澹と綴られています。
 四谷婦人会から状況劇場へ、青木画廊における狂気の第一回目の個展から疾風のような二回目の個展に至るまで、人形と共に疾駆したシモンさんの半生が克明に刻まれています。60~70年代の貴重な証言であるにとどまらず、一人のシャイな暗い美青年がどのようにして表現者に成り果せていったのか。かつて地上にあり得なかった息吹をいかにして人形に吹き込み、ヒトガタを作るとの行為のなかで自らを昇華させていったのか。華やかな表現の裏に潜む、作家の心のなかで反芻され揺れ動く怨念、遺恨の一端を読者はかいま見ることになります。
 澹澹と前述しましたが、過去の怖ろしいシモンさんを知っていればこそ、その執着のなさに私などは眩暈を感じたほどです。作り手としてのシモンと拵えられたシモン・ドールとの間に生じる呻吟、呻吟というよりは繰り返される同化と解体。その間にごろんと横たわる今ひとつの存在。私はその存在を「シモンという名の人形」と名付けたく思います。

 11月30日の土曜日7時から四谷シモンさんのサイン会をですぺらで催します。サイン入り「人形作家」の代金込みで会費は4000円です。大いに語り明かそうではありませんか。



投稿者: 一考    日時: 2002年11月09日 16:32 | 固定ページリンク





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