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一考 | ブルイックラディ

 阿佐ヶ谷さんへ
 先日は有難うございました。貴方のような若い世代にモルト・ウィスキーのファンが増えているのを心強く思っております。先日は他にお客様がいて充分にお話が出来ませんでした。
 さて、ブルイックラディですが、新オーナーのマーレイ・マクデヴィッド社がボウモアのジム・マクイーワン氏をトレード、操業を再開したのは2001年5月21日です。従ってボトリングされているウィスキーはインヴァー・ゴードン社時代のものです。しかし、カラーリングの有無、チル・フィルターを施すか否か、そしてアルコール度数、最後にヴァッティングのセンスによってウィスキーはまったく異なる香味を持ちます。
 ボウモアの例を持ち出すまでもなく、仕込み用水、ピート、蒸留器、冷却用コンデンサー等の変更によってウィスキーは思わぬ変身を遂げます。でも、元になるウィスキーが同じであっても、上述したフィニッシュの変改によって意外な相貌になるのも事実です。
 最近、ブラッカダー社がローカスクと題するコレクションを出しました。ボトルの中に樽の木屑が入っていますが、あれは殊更らしい演出で、別に木屑が入っていようがいまいがどうでもよろしく、問題は油分を除去するか否かにあります。新しいブルイックラディはペーパー・フィルターのみでチル・フィルターを施さないことによって、樽由来の油分がウィスキーに残されています。グレンファークラスやスキャパのようなオイリーな舌触りがブルイックラディにももたらされたのです。詳しくは過去ログ14の「ヘレスの味わい」をご覧下さい。
 例えばラフロイグが時折同様のリミテッド・エディションを頒します。76年や77年蒸留の18年ものは有名ですが、89年蒸留の10年ものハイグローヴ等は典型でしょう。通常のディスティラリー・ボトルと比して1.5から4万円との値はともかく、それだけの価値はあります。同じ10年もので約6倍の価格差があるのですが、香味には20倍を超える差があると思います。ですぺらに蔵している72年蒸留の29年ものカスク・ストレングスも、これが同じブルイックラディなのかと驚かれると思います。要はボトラーズに倣い、ワン・カスクのリミテッド・エディションを蒸留所ももっと出すべき、というのが私の意見なのです。この先は俗に言うオフィシャル・ボトル、即ちディスティラリー・ボトルとボトラーズのボトルとの話につながります。次回はその話を致しましょう。

 モルト・ウィスキーにかんする書き込みを歓迎します。至らぬ店主ですが、私で間に合うことでしたら極力お応え致します。どうかよろしくお願いします。



投稿者: 一考    日時: 2002年09月12日 15:45 | 固定ページリンク





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