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御邪魔ビンラディン伊藤 | やはり買わなくて正解だったのか!? 「岩波キリスト教事典」

さいきん岩波の本といえば、岩波文庫以外には、あんまり食指を動かされる本がありませんが、(ヘルダーリン詩集と狐物語は、たいへんよかった)それでも、「岩波キリスト教事典」、買おうか買うまいか少し迷っていたところなので、高遠先生の書き込みを見て、やはり買わなくてよかったのだ、と妙に納得しています。いずれは、カトリック大辞典の安価なCD-ROM版が出ると一番よろしいのですが、それは、一体いつごろの話になるのかな? 富山房、ガンバレ!
いつのころからか、岩波は事典、辞典関係の編集がぞんざいになっていて、「ケンブリッジ世界人名辞典」(日本語版監修者の優れた英文学者の名前でダマされるのだよな……)が、じっさいには使い物にならないという評判から、二年ほど前に十数年ぶりに版を重ねることになった「岩波西洋人名辞典増補版」が、これも、再版時に誤植の訂正を行った跡があまり見られないといったていたらくです。たとえば俳優の天知茂を「天地茂」とやるようなたぐいの誤植ならば、ある程度の同情の余地はありますが、バタイユの主著「無神学大全」を「神学大全」と正反対の意味になるような誤植をやったまま、すぐ脇に御丁寧にも原語で正確な原題を示すがごときエラーを放置しているといえば、(小生、このミスを二、三度書状で指摘していますぞ)おおよそのお察しはつくでしょう。
「広辞苑」の新版が出る周期が短くなっているのは、とりもなおさず、岩波書店じたいの経営不振のあらわれだというのは、公然と囁かれているウラ情報ですが、それでもなお、「広辞苑」1冊の値段が「ヘア・ヌード写真集」(と、今でも言うのかな?)2冊分よりも安いという事実を考えると、出来の悪さは認めつつも、コスト・パフォーマンスの高さだけは認めてやらなければいけないかもしれません。
そのむかし、岩波で仏和大辞典が計画されたことがあって、ある人が編者の河野与一氏に「どこまで進んだかね」と聞くと、河野氏いわく「Wの項まで終わったところだ」「それじゃぁ、もうすぐ完成だな」「いや、Zの方から執筆しているんだよ」というやり取りがあった由。そのうち、碩学の河野氏は天寿を全うして、仏和の原稿は宙に浮いたままですな。こうした神話的なおおらかさが、いつのまにか失われてしまったことが、最近の編集のぞんざいさを招いている一因ではないかと思います。
最後に、岩波の辞典で特に一冊だけ推奨に値するものとして、齋藤秀三郎の「熟語本位英和中辞典」が出ていることだけは、一応強調しておく必要があるでしょう。
いつもながらの、蕪雑なる感想まで。



投稿者: 御邪魔ビンラディン伊藤    日時: 2002年07月08日 01:03 | 固定ページリンク





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